Salesforce・Account Engament活用支援。マーケティング活動と連動した運用高度化と定着化・内製化を推進
目次
事業成長に向けて顧客接点の強化が急務であった
改めて御社の事業内容について教えていただけますか?
山崎:弊社は企業の若手人材層の育成に関する様々な研修・人材組織開発の支援をしています。特に大手企業様向けに弊社独自で作成している研修サービスの提供や、若手人材に特化した採用、導入研修をはじめとする各種プログラムの提供、組織アセスメント、コンサルティングサービスなどを提供しています。
これまでは事業基盤として上記サービスを主体に行ってまいりましたが、今後は更なる事業成長に向けて、「オンボーディング」をキーワードに、いかに若手人材が新しい組織にスムーズに適応し、パフォーマンスを発揮できる環境・組織づくりをサポートする事業を推進しています。
弊社の親会社であるセルムは経営層やミドルマネジメント層向けの人材育成や組織づくりの支援を手掛けている一方、弊社は若年層に特化することでサービス提供体制を尖らせています。
今回支援させていただいた組織の体制について教えてください。
山崎:私は営業企画部のマーケティングチームに在籍しております。マーケティングチームは4名おり、営業支援を目的としたデジタルマーケティングをはじめ、調査レポートの企画・作成、社内ツールの管理・運用・定着化支援など、社内の潤滑油となるよう営業支援の文脈で様々な業務をサポートしております。
今回ご相談をいただいた背景について教えてください。
山崎:それまでのPR活動としては、年に1度の大きなイベントや、役員の体制変更に伴う一般的なプレスリリース程度しか行っていませんでした。
弊社のビジネスはお客様の組織に伴走し、パートナーシップを強固に構築することが強みでもありますが、その反面、営業リソースが限られている中では現場負荷が高くなりやすいという側面があります。既存のお客様だけに限っても、当時は営業1人あたり10〜15社ぐらいの既存顧客を担当している状況でした。
加えて新規のお客様も合わせると、1人当たりの営業担当に30〜40社程度のお客様を担当している状況です。この場合、大きな案件があった際に、上手くリソースを事前にコントロールしないと他のお客様との連絡頻度が減ってしまった結果、新たな商品のコンセプトなどをディスカッションして、案件化するような活動が後手に回ってしまうリスクがあります。
そのため、様々な情報をお客様に届けるにあたり、営業担当が属人的にお客様と直接的に接点を作ることとは、全く別のコミュニケーション手段を確立する必要がありました。
お客様に提供したい情報が100だとしたら、現場の営業担当のリソースのみでは70しか提供できていなかったものを90や100、120に引き上げていくために、マーケティング活動を推進する体制を作ろうというところが始まりだったと記憶しています。
将来の内製化も見据えたきめ細やかなフォローが決め手
外部企業の支援を受けようと思った背景について教えてください。
山崎:とはいいつつも、どこの企業でもそうだと思うのですが、限られたメンバーで事業展開をしている弊社にとっては、デジタルマーケティングを本格的に展開していくには社内単独ではリソースやノウハウが不足している状況です。デジタルマーケティングに精通している責任者が仮にいたとしても、具体的な施策に落とし込み、それを現場でのオペレーションも踏まえて戦略的に稼働させるためには外部の知見も加えることが必要で、弊社はその状況にあったと考えておりました。
また、Salesforce・Account Engagementに関するシステム面でのノウハウについて、外部の知見やリソースをお借りしたいということもありました。担当役員もその点を課題に思っていたので、Salesforceの営業の方と情報交換も定期的に行っていました。
当時、私がマーケティングチームに着任した際も、社内でSalesforceに詳しい人間がいることでもう一つ上のステップに組織がレベルアップできるポテンシャルがあるので、そこを目指してほしいということを、担当役員から期待として伝えられていました。自分たちで何ができるのかを理解して 「こうしたい」を具体化してシステムを充実させていく、 あるいは社内の活用度を上げていく、社内のリテラシーを上げていくということを行いつつ、効率的に抜け漏れなく、きちんとお客様に価値を提供できる組織体制を作ることを意図として当時会話していました。
杉山:当時の担当役員の方もおっしゃっていましたが、課題背景としては、1人当たりの既存顧客に対する営業負荷が大きく、営業人員に対してお客様の対応件数がとても多くなりやすい。これから更に事業規模を拡大していくためには、既存顧客への価値提供の追究はもちろんのこと、新規開拓も進めたいとなるとリソースを同時に割くことは今のままでは難しいという点がありました。
営業人員の採用は並行して行っていくものの、お客様のニーズや案件の状態にあわせて、営業が直接対応する、デジタルコミュニケーションを中心にお客様が求めるタイミングを察知して弊社メンバーが駆けつけるというように、お客様の期待に応えつつ営業リソースを最適化することで、新規開拓にあてる工数を確保する体制を作ることが必要と、最初の方はよくおっしゃられていたので、その辺りも課題背景としてあったと認識しております。
ストラの最初の印象などはいかがでしたでしょうか?
山崎:当時、私もSalesforceについて分からないことだらけだったことを踏まえて、初めてお話した際は事細かに丁寧に色々と教えていただき、相談がしやすくて助かると感じました。参画前にはこちらは本当にゼロからキャッチアップしている状況なので、ストラさんからすると「そんなことも知らないの?」といった空気になってしまい、相談しにくさを感じたらやりにくいかもなという心配はありました。
しかし、ストラさんはフランクで「誰でも最初ははわからなくて当たり前ですから」というスタンスだったのでとても相談しやすかったです。「これって何ですか?その単語は何ですか?オブジェクトって何ですか?」のようなところから始まったので、そういったところも含めて丁寧に一つ一つ教えていただけたのはとても助かりました。
具体的には操作一つとってもきちんと時間を取ってレクチャー・トレーニングいただけたのは、非常に助かりました。ストラさんの立場に立つと「これぐらいだったらうちでやっちゃいますよ」と巻き取った方が早いと思いますが、社内の管理者や担当者を育てるという目的に沿って伴走いただいておりました。レクチャーの時間を確りとっていただき、動画にも残すことでスキル・ノウハウを社内に蓄積することもできました。もし、新たに担当となった後任が来ても、滞りなく引き継ぐことが可能な体制を確立できているところが非常にありがたく思っています。
Account Engagementの再構築からスタートし、営業に向けたSales Cloud活用支援までスコープを拡張
プロジェクトのご支援の内容について教えてください。
杉山:「Account Engagement(旧 Pardot)を導入したけどどのように活用すればよいのか?」というのが最初のご相談でした。目的の1つであったAccount Engagementを活用してデジタルコミュニケーションを自動化していくためのロードマップや、誰に対してどのようなコミュニケーションを行うかが設計されていなかったので、ファーストキャリアさんの中で何から手をつけたらいいのか分からない状態だったのだと思います。
まずアセスメントを行い、営業・マーケティング領域の中で利用しているAccount Engagement以外のシステム・ツールはもちろん、営業やマーケティングの業務を調査し、実態を掴み課題を整理するところからスタートしました。
当時はSalesforceとAccount Engagementが連携されておらず、それぞれ独立して利用されていてAccount Engagementにリストを直接インポートして、メールを送信するといった活用実態でした。Account Engagementを活用する前にそもそもデータ活用の土台ができていないので、データクレンジングを行った上で、SalesforceとAccount Engagement、並びにSalesforceとSansanをきちんと連携させて活用の土台を整えるところが最初の最初でしたね。
別文脈でご支援させていただいていたマーケティング戦略策定プロジェクトと並行しながら進行していたのですが、Account Engagementがやっとマーケティングオートメーションとして使える状態になった後に、一度営業担当を含めて「そもそもMAって何?」「MA活用の目的や営業にとってのメリット」などについての説明会とトレーニングを実施させていただきました。それまでの間に担当役員の方や前任担当者の方も踏まえてAccount Engagement活用の目的を定義して、全社としてMA・SFAの展開方針などを固めさせていただき、全社への活用の機運を高めていきました。
その上で、目的とアセスメント結果から整理された課題に対して具体的な取り組みが進行していったという流れです。
山崎:セミナーについての取り組みはよく覚えていて、自社webサイトとAccount Engagementで作成したフォームを連携させるために、iframeで自社webサイトにフォームを埋め込んでデータが自動的にAccount Engagement及びSalesforceに連携されるといった状態を作りました。
マーケティング活動として情報発信から接点を持ち、リアルな場で情報提供とコミュニケーションを行って商談に繋げていくという方針となり、これまで頻度高く実施できていなかったセミナー施策を毎月実施していくことになりました。そういったマーケティング方針に合わせてMAツールをセミナー集客やその後のリードナーチャリングに活用していく基盤を構築していくところについて、ご支援初期の段階からサポートいただきました。
杉山:山崎さんが仰られた通り、Salesforce・Account Engagementの活用支援はマーケティング側の支援と連動している部分がかなりありまして、セミナーに関しても佐藤さんと取り組ませていただいたマーケティング戦略に基づいて洗い出された1つの施策で、どのようにセミナーの集客数を増やせるか、セミナー後のフォローはどうすべきか、 営業への連携の自動化など、そういったオペレーションをMAを使って効率化していきましょうと。そして、そのAccount Engagementへの実装の落とし込みを山崎さんと一緒に取り組みました。
Sales Cloud側への支援範囲が拡張したきっかけは何でしたか?
山崎:当初はAccount Engagement活用というスコープのみでしたが、プロジェクト途中で、Salesforceを営業側が現場で使いきれていないのでどうにかしたいと。そこでストラさんにご相談し、改めて営業の活用実態について営業本部長やマネージャー、担当者にヒアリングをいただき課題整理からサポートいただきました。
杉山:営業の活用課題を整理させていただき、様々な取り組み内容をご提案しましたが、その中でまず取り組ませていただいたのが、営業ダッシュボード構築を行い予実管理をSalesforce上で行える仕組みを構築するということでした。誰がどの程度受注していて、パイプラインとしてどの程度の金額を保有しているのか、活動量はどの程度なのかなどの営業パフォーマンスを可視化することで、そのダッシュボードをもとにマネージャーは営業メンバーにコミュニケーションを行うといった業務運用に、担当役員の方の号令で進めていきました。そこを皮切りに大小様々なSalesforce活用・改修をサポートさせていただきました。
山崎:自分たちで改修にトライしようとしたこともあり、Salesforceのヘルプや担当営業に問い合せることもあったのですが、弊社のSalesforce環境や事業モデル、活用実態について深くご理解いただくまでには時間がかかるため、一般的な設定方法や操作方法のレクチャーに留まるリスクもありました。そうすると、「その項目を作る意味やそれによる影響」などの補足説明までは難しく、こちらとしても実現したいことができなかったり、追加で疑問が出てきてしまい立ち止まったりしてしまうことも多いです。そのため、弊社の環境や現場の状況も深く理解していただけている「杉山さん、ストラさんに相談したい」となることが多く、とても心強かったです。
その他にもキャンペーンメンバーでの管理や業績推移・予実管理ダッシュボードの構築、パラメータを用いたリードソース別のパフォーマンス計測の仕組化、KPI管理などほんとに大小いろいろな取り組みをご一緒させていただきました。
支援前後で、社内の意識や業務オペレーションで何か大きな変化がありましたか?
山崎:基本的なことではありますが、レポートを見て自分の数字を把握する、案件の進捗状況、フェーズ変更などの操作は、営業メンバーみんなができるようになっていますし、 レポートを見て最新のデータを確認するという癖づけはある程度できてきたと思います。
あとは、私の業務の一つである社内マーケティングを行う際、 テーマごとのデータ報告や管理用のExcel作成が不要になりました。例えば、キャンペーンメンバーの一覧のリンクを共有すれば、タイムリーにセミナーのお申し込み状況が確認できるようになったり、どの会社に誰がフォローして、結果どうだったのかといったフォロー状況の管理が、それ専用のダッシュボードを追加することによってできるようになりました。今まで残せていなかったデータがSalesforceに残せるようになり、タイムリーに可視化できている状況です。また、社内発信する側としても発信するための資料作成が不要となり、そういったところはありがたい変化として感じております。
開発パートナーとしての、深い顧客理解をもとにしたSFA・MA活用支援の重要性
プロジェクトで良かったことや印象に残っていることはありますか?
山崎:たくさんありますが総じて言えることは、Salesforceについて分からないことがあった時や「やりたいことはあってもマニュアルやヘルプページを探しきれない」「できるんだろうけどやり方がわからない」といった際に、ヘルプサイトには一般的な例が記載されていますが、弊社のビジネスに合わせてカスタマイズしているので、自社だとどのように適応できるのかが分かりづらくなりがちです。
そういった際に、弊社の事業や顧客、システム環境まで深く理解した上できちんと入り込んでくれて、改修目的や具体的な解決方法、改修による影響範囲などを弊社に合わせて伴走をしながら指導・ご支援いただけました。
先ほどもお話に挙がったマーケティング施策に伴うSFA・MA活用支援においては、システム構築後に実際に運用すると見えてくる課題があるため、運用開始後のサポートも必要になります。実際に、私自身も施策の実行業務を通して、SFA・MAに関する知識やスキルが向上していき、それまで気づけなかった小さなエラーに目がいくようになりました。
例えば、セミナーに申し込んでくれたお客様のアクティビティログを見ると、申し込みフォームを通過時に「エラー」と表示されているケースがありました。原因を調べてみると、申し込みフォームの電話番号入力の際、ハイフンの有無でエラーになっているのではないかということが分かりました。
これはユーザーにとって不親切であるため、ストラさんに相談し、電話番号の入力ガイドを追記するというフォームの微修正を速やかに行っていただきました。
その後、申し込みフォームを通過時の「エラー」はほとんど見られなくなりました。
また、売り上げの予実差の精度向上策の一つとして検討していたSalesforce改修についてご相談したこともありました。これまでのご支援を通じて、弊社のSFA環境・基幹システム、現場の運用方法など、弊社への深い理解があるストラさんだからこそ、的確なアドバイスをいただけると思ったからです。
相談した結果、改修そのものは可能だけど、新しいツールの導入コスト、業務フロー変更に伴い発生する工数やメンバ-の負担など、改修自体の可否以外の観点から忌憚のない意見をいただけました。当初は見えていなかったことが明らかになり、大変参考になったことを覚えております。
システム構築はもちろんのこと、その後の運用サポートや質疑応答・エラー対応にとどまらず、壁打ち相手としてご意見や事例を共有いただけたり、その場面に応じて支援スタンス変えて対応いただける、そのような柔軟なスタンスが個人的にはすごくありがたいと思っています。
一時期、自己研鑽でストラのSalesforce管理者育成講座のような講座がないかなと思っていたんですよ(笑)
個人的にすごくいいなとは思っていて、仮に自己研鑽としてSalesforceのプライベートアカウントを作ったとしても、多くの人は目的意識が強くないと最後までやりきれないなと思います。事前に目標を立てて、決めたものを半年、一年かけて作るためにサポートいただくというイメージで開催してもらえると良いなと思いました。基本的に操作・設定は人材育成も兼ねて担当者が行い、質問に答えたりアウトプットにフィードバックを行っていくイメージです。ストラさんがそういった講座をやればSalesforceエンジニアのキャリアを歩みたい人にとってはとても良い環境になるのではないかと思います。
今後のSalesforce・Account Engagement活用の展望を教えてください。
山崎:やりたいことはたくさんありますが、直近で言うとAccount Engagementから配信しているメルマガのパフォーマンスを改善したいです。これまで2、3週間に1回だったものが、組織体制が変わった結果人数も増え、ブログを月に何本か作れる体制が整い、メルマガもウィークリーで配信しています。毎週配信しているので仕方のない部分もありますが、パフォーマンスが以前と比較して課題感があり、そういったパフォーマンス改善も注力する必要があると考えています。
あとは、やはり営業との連携にも注力していきたいです。セミナーへの参加をきっかけとして、案件化して受注するというところが一つのゴールだと思うので、まだ使いきれていないSalesforceの機能の活用も含めて、営業とよりスムーズに連携できればなと思います。
弊社のサービスを薦めるとしたら、どういった企業に対してお薦めしますか?
山崎:SalesforceやAccount Engagamentを導入したけどなかなか活用が進まない、社内の活用レベルが上がらない、そもそもどんな機能あるのか分からないといった、昔の我々みたいな状態の企業にお薦めしたいですし、そのような企業の数はとても多いと思います。
本当はSFAやMAを使えば良い商品・サービスはもっと世の中に広められるし、また、商談の機会損失も減らせる可能性は多分にあると思います。弊社のような人材開発サービスだけでなく、ハード・ソフト、伝統的な産業の企業も一歩踏み出して、ストラさんと一緒に形にして取り組んでみるというのは、レバレッジが効いて良いのではないかと思います。
何より寄り添って丁寧に一からレクチャーもしてもらえるので、時間はかかるかもしれないですが、自律自走して最終的には自分たちで運用をしていけるようになり、そうしたらまた次の課題に対してご相談していけるので、ストラさんはパートナーとして非常に心強いです。
また、Webサイト改修やLP制作、コンテンツマーケティングなどマーケティング側の施策もサポートいただけるので、システムだけではなくマーケティング活動全般の強化を考えられている企業にとっても、とても良いパートナーだと思います。