営業管理体制の確立・投資家向けKPIレポーティングの効率化に向けたSalesforce導入をご支援

営業管理体制の確立・投資家向けKPIレポーティングの効率化に向けたSalesforce導入をご支援

左からポケットサイン株式会社 BizDev マネージャー 八田隼様、Strh株式会社 取締役CTO 内山文裕、ポケットサイン株式会社 CFO 岩崎寛正 様

デジタル身分証やマイナンバーカードを用いた本人確認機能、防災ミニアプリなど、自治体向けのサービスを中心に提供しているポケットサイン株式会社。

自治体へのプロダクト導入を中心に事業成長を遂げているポケットサイン社において、営業人員増加に伴う営業管理体制の確立、及び投資家向けKPIレポーティングの効率化を目的にしたSalesforceの導入をご支援させていただきました。

今回ご支援させていただいたプロジェクトに関して、同社CFOの岩崎様、BizDevマネージャーの八田様にお話を伺いました。

公的個人認証を用いることでリアルとインターネットが1対1に結びつく世界を作り上げる

改めて御社の展開されている事業についてお伺いさせてください

岩崎様:
弊社は『信用の摩擦をゼロにする』をミッションとして掲げています。その具体的な目標として、リアル空間とデジタル空間上の個人を1対1で結びつけることを目指しています。

例えば個人でFacebookやX(旧Twitter)のアカウントを作成できますが、これまでインターネット上では個人とアカウントがN対Nの関係でした。これをマイナンバーカードに搭載された公的個人認証を用いることで、物理(リアル空間)とインターネット(デジタル空間)上の個人が1対1に結びつく世界を作り上げることが我々のビジョンです。

デジタル身分証アプリの既存顧客の大多数は自治体で、2022年8月の創業以来、2年弱の活動で順調にお客様の数も増加しトップラインも拡大しております。マイナンバーカード事業の性質上、これまでは自治体向けのサービス提供がメインでしたが、今後は民間企業向けのサービスも拡大していく予定です。デジタル身分証のほかに、本人確認サービスにも取り組んでおり、既に多数のリードを得ています。

展開されている具体的なサービスについてお教えください

岩崎様:

デジタル身分証アプリは、いわゆるスーパーアプリ *1 で、プラットフォームレイヤーとその上に乗るミニアプリで構成されています。我々はミニアプリを複数持っており、具体的な商品のラインナップとして、防災、地域ポイント、アンケート、スタンプラリー、インフラ通報などがあります。累計ユーザー数は約10万人超に達しています。

*1 プラットフォームとなる一つのスマホアプリの中に、さまざまな機能をもつアプリを統合して、日常生活のあらゆる場面で活用シーンをもつ統合的なアプリのこと


我々のアプリの面白さは、ミニアプリを増やすことが可能な点にあります。自社で開発したミニアプリを搭載するのはもちろんのこと、他社が開発したミニアプリを搭載することもできます。現在このようなミニアプリを開発・連携頂ける民間企業も積極的に探しています。

内山:
本人確認のサービスについて、1つのミニアプリとして機能があるのか、または別の独立したアプリがあるのでしょうか?

岩崎様:
現在はアプリとして提供しておらず、他社アプリ内に組み込む形やブラウザ上で提供しています。一般的なeKYC *2 とは異なり、マイナンバーカードに搭載されたICチップを利用したJPKI *3 というシステムを使用しています。

従来のeKYCでは、免許証の写真撮影やインカメラで首振り確認などが必要でしたが、マイナンバーカードを用いた本人確認はスマートフォンをマイナンバーカードにかざして暗証番号を入力するだけで実行できるので、より簡単で安全です。
現時点でマイナンバーカードの申請人数が1億人を超えており、利用者は数年前に比して大幅に増えています。

*2 「electronic Know Your Customer」の略称で、オンライン上で本人確認を完結するための技術のこと。

*3 Japanese Public Key Infrastructure(公的個人認証サービス)」 の略称で、マイナンバーカードのICチップに搭載された電子証明書を利用して、オンラインで利用者本人の認証や契約書等の文書が改ざんされていないことの確認を公的に行うための安全性・確実性を担保した本人確認を行うためのサービス。マイナンバー(個人番号)は利用しない。


営業管理体制の確立と投資家に対するKPIレポーティングを目的にしたSalesforce導入

今回ご支援させていただいた組織の体制について教えてください

岩崎様:
まず我々の組織体制について説明させていただきます。現在メンバーは55名ほどです。組織は大きくエンジニアリンググループ、ビジネスグループ、コーポレートグループの3つに分かれています。Salesforceの導入はビジネスグループで行い、セールスユニットから利用を始めて、現在はマーケティングやBizdev、カスタマーサクセス、プロジェクトマネジメントまで活用が広がっています。


Salesforceの導入背景について教えてください

岩崎様:
2つの軸があります。1つ目は営業観点です。元々社長が1人で営業をしていましたが、メンバーが増えてきて、商談フェーズの管理やナレッジの共有など組織的な営業体制を作るためには従来のNotionやスプレッドシートを用いた管理では限界を感じたため、Salesforceを導入しました。

2つ目はKPI管理です。投資家向けの月次レポートで重要なパイプライン管理をSalesforceで行うことができるようになりました。これまでは情報確認をするために社長にヒアリングをしてレポートを作成しなければならなかったですが、今はSalesforceにきちんとデータが記録されているため、すぐに欲しい情報にアクセスできる環境が構築できました。

今後は人事評価制度の一環として、メンバーの進捗管理や目標管理にSalesforceを活用していく予定です。


スピード感があり認識齟齬のなくスムーズにプロジェクトをリードいただけた

具体的なプロジェクトの内容を教えてください

内山:
今回は大きく2ステップでご支援をさせていただきました。

第1ステップとして、ポケットサイン社の現状の業務をヒアリングさせていただいて、どのような課題があるのかを明らかにしました。その上で、Salesforceを導入すると業務がどう変わり、その効果がどう現れるのかを一通り整理し、あるべき姿を描きました。次に、第2ステップとして、Salesforceの実際の構築に入りました。これが大まかな流れです。

このプロセスの中で特に気を付けたのは、2ヶ月という短期間でスピーディーに構築を進める必要があったことです。まだ案件受注をしていない提案の段階で岩崎さんや八田さんから現状の業務について詳しく伺っていたので、プロジェクトキックオフの時にはすでにAs-Isの業務フローと、Salesforce導入後のTo-Beの業務フローをある程度把握していました。これにより、当初からスピード感を持って進めることができたと思っています。

八田様:
認識齟齬なく構築してもらえたことは、プロジェクト進行においてすごく楽でした。キックオフ時点で提示してもらったAs-Is業務フローに関しても、ほとんど修正するところなく、スムーズにご支援いただいたと思っています。


プロジェクト進行において注意されたポイントはありますか?

八田様:
自治体の入札フローが複雑なので、慎重に議論をしていただきました。設計の中で取引先のレコードタイプをいくつに分類するか議論になり、最終的には弊社要望で4つに設定いただきましたが、今となってはストラさんにご提案いただいた2つにしておけば良かったかなとも思っています。やはり構築や活用支援の実績豊富なストラさんの言うことを素直に聞いておくのがベストだったなと(笑)

内山:
当時かなり議論になりましたね(笑)

弊社のご支援に対する印象を教えてください

岩崎様:
やはり対応のスピードが一番印象的でした。2か月というシステム構築としては短い期間内に対応していただき、非常に良かったです。また、アウトプットの品質やコミュニケーションも非常に良かったです。

定量的な物差しで議論ができるような状態になり、利用ユーザーは当初の2倍に

Saleforceを導入してから、御社内の業務や営業を含めたビジネス部門の方の意識が変わったことなどありますか?

岩崎様:
あります。オペレーションがガラッと変わって、定量的な物差しで物事を測れるようになりました。年度内の売上や契約総額の入力がシステムによって義務化され、きちんと定量面を見て議論ができる状態になりました。
また、商談のフェーズをしっかり分けて管理できるようになったので、今どのプロジェクトがどこのフェーズなのかを意識しながら業務出来ることの重要性を身に染みて実感しています。

八田様:
後は全員が同じ情報にアクセスして知見を共有できる様になったのも大きいと思っています。今は人数が少ないので、全員がすべての案件の進捗を意識して取り組むことも大事だと考えていて。定期的に行っているプロジェクトミーティングで、全案件を全員で確認する時間を設けています。おそらくNotionやスプレッドシートだと長時間かけて共有しなければいけないことも、Salesforceを導入したことでレポートやダッシュボードを使って短時間で実施できており、すごくミーティングが楽になりました。

情報管理という観点だと、以前まではどこに架電したかの記録が整理されておらず、架電漏れ・重複架電などの課題がありましたが、Salesforceにその記録を入力したり”次のステップ”を入力しておくことでそういった課題も解消することができました。また、記録が残っていることでメンバー間での情報共有や相談・会話の機会創出にも繋がっています。

今後のSalesforceの活用に関して、展望をお教えください

岩崎様:
今使っている機能は本当に基礎的な部分だと思っているので、今後応用的な機能を作っていきたいと思っています。KPI管理の高度化や、ダッシュボード不足の解消、業務の自動化などもやりたいと考えています。

社員への定着も進めていて、実は今は契約初期の2倍のライセンス数を契約して、営業以外にもマーケやBizDev、PMも利用しています。
導入当初は定着させるまでに結構大変なシステムだなと感じましたが、折を見てSalesforceしか使うしかない状態にすることで、導入から1~2か月で完全移行することができました。

弊社のご支援の中で印象に残っていることを教えてください

岩崎様:
繰り返しになりますが、やはりスピード感を持って取り組んでもらえたことが一番良かったと思っています。一般的な感覚と比べてベンチャー企業にとっての2か月はそれでも長いので、その期間内で対応いただけたのは非常に良かったです。

八田様:
私はシステムに対してあまり強い方ではないので、そういった相手でもきちんと理解できる言葉でコミュニケーションいただいている感覚はありました。
また期限・時限もきちんと管理したうえで、進めていただけた点も好印象でした。

内山:
非エンジニアの方にもわかりやすくご説明するという点は常日頃から心がけていことなので、そのように評価いただけて大変光栄です。
また、今回のSalesforce構築の進め方の中で、週次で機能ごとに詳細要件定義や設計を進めていくやり方を取らせていただきました。その週ごとに構築する機能を共有したうえで決めなければいけないことを議論し、次の週で要件・設計を盛り込んだ実際のSalesforce環境をご覧いただくことで、機能に対するご理解を深めていただくことや、双方認識齟齬のないシステム構築を実現できたと考えております。

ストラのSalesforceの構築支援をおすすめするとしたら、どのような企業におすすめしますか?

岩崎様:
拡大スケール中のシリーズA辺りのベンチャーに特におすすめします。

よく「シリーズAの段階ではまだ必要ない」といった話を聞きますが、急成長を目指すベンチャー企業こそ最初の段階で導入しておくことで、Salesforceの運用を軌道に乗せるまでのコストを下げられますし、むしろ一定拡大した組織でのリプレイスはかなりスイッチングコストが高いと思うので、むしろシリーズAのベンチャー企業こそ導入するべきだと考えています。

執筆者 内山文裕

青山学院大学卒業後、株式会社ユニバーサルコムピューターシステムに入社。
大手商社のB2B向けECサイトの構築にて会員登録、見積・注文機能、帳票出力などECにおける主要機能のフロント画面・バックエンドの開発に従事。 その後アクセンチュア株式会社に入社。デジタルコンサルタントとしてWebフロントエンド・モバイルアプリの開発やアーキ構築を主に、アパレル・メディア・小売など業界横断的にシステム開発を支援。また、ビッグデータを活用したマーケティング施策の策定やMAツールの導入・運用支援にも従事。
2022年2月にStrh株式会社の取締役CTOに就任。デジタルプロダクト開発の支援やMAツール導入・運用支援を行っている。

▼保有資格
Salesforce認定アドミニストレーター
Salesforce認定Java Scriptデベロッパー

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