アクセス解析とは?分かることや手順、おすすめの無料ツールまでご紹介
この記事でわかること
- アクセス解析とは?アクセス解析の重要性
- アクセス解析で分かること
- アクセス解析の手順
- アクセス解析に取り組む際のポイント
- アクセス解析におすすめの無料ツール
執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀
アクセス解析という言葉は知っているものの、「具体的にどういったことが分かるのか、どういう手順で行うのかまでは知らない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこでこの記事ではアクセス解析の概要を踏まえつつ、分かることや手順、ポイントなどをまとめて解説します。最後に無料で利用できるおすすめのアクセス解析ツールもご紹介するので、ぜひ最後までご確認ください。
1.アクセス解析とは
まずはアクセス解析の概要や目的などについて、確認していきましょう。
アクセス解析の概要
アクセス解析とは、Webサイトに訪れたユーザーの属性や行動を分析することです。
具体的にはWebサイト上でどんなページを見ているのか、どのルートでページを辿っているのかといった情報や、ユーザーの年代や使用デバイス、アクセスしたエリアなどを把握できます。これらのデータを把握することで、Webサイトの課題を探り、より一層顧客に役立つWebサイトへと改善していくことになるのです。
アクセス解析は、Googleアナリティクスに代表されるアクセス解析ツールを利用して取り組みます。Googleアナリティクスの概要についてはこちらの記事で詳しく解説しておりますので、ぜひご覧ください。
アクセス解析はなぜ必要なのか
マーケティングにおいてアクセス解析の重要性は増しています。
インターネットが発展した現代において、顧客は自ら必要な情報を検索エンジンなどを用いて調べるという行動を取ります。
そういった顧客の情報ニーズに適切に応える上で、Webサイトは重要な役割を果たすと言えるでしょう。そのためアクセス解析に取り組み、効果検証と改善を継続することで、顧客に求められるWebサイトであり続けることが重要になるのです。
アクセス解析の成功事例
重要性をより理解していただくために、成功事例を一つご紹介します。
国産LinuxOSベンダー事業を展開するサイバートラスト株式会社はWebにおける認知度に課題を抱えていたものの、SEOをはじめとするWebサイト調整を実施しておらず、機会損失している可能性がありました。
そこで2013年6月からGoogleアナリティクスを導入し、Webサイトの効果測定を開始します。Googleアナリティクスによるアクセス解析データを元に、Webサイト調整やコンテンツ追加といったSEO対策を実施し、2013年11月時点で流入140%とコンバージョン170%という成果を得ることができたのです。
参考:【成功事例】BtoB企業におけるSEOの鍵はアクセス解析と内部施策 ディーエムソリューションズ株式会社
アクセス解析の目的
アクセス解析に取り組む最終的な目的は、Webサイトの効果を高めることです。
その過程としてWebサイトにどれくらいのユーザーが訪れているのか、どういった行動を取っているのか、といった現状を把握します。現状のデータを分析した上で課題を抽出し、Webサイトの質を高めていくことを目指すのです。
また、オウンドメディアのブログ記事やホワイトペーパーといったWebサイト上のコンテンツ効果や、目標の達成度を確認する上でも、アクセス解析は重要になります。
- 想定していた検索キーワードで流入できているのか
- コンテンツは読まれているのか
- ダウンロードページにユーザーが訪れているのか
上記のような点をモニタリングすることで、細かな改善に取り組み、コンテンツ効果を高めていくことも大きな目的と言えるでしょう。
アクセス解析で理解しておくべき用語
このあとアクセス解析について具体的な解説に入っていきますが、その前にアクセス解析を実施する上で押さえておくべき用語について簡単にご紹介します。
ここではアクセス解析の基本ツールとなるGoogleアナリティクス4の用語を中心に見ていきましょう。
【Googleアナリティクス4上の主な用語】
- イベント:ページ閲覧やクリック、スクロールなどのアクションを指す
- コンバージョン:資料請求などWebサイト上の目的が達成されることを指す
- 表示回数:Webページが表示された回数(PV数)
- 新規ユーザー数:はじめてWebサイトに訪れたユーザー数(ユニークユーザー数)
- リピーター:2回以上Webサイトを訪れたユーザー数
- エンゲージメント:Webサイトに対するユーザーの操作
【その他の用語】
- 滞在時間:Webサイトやページに滞在している時間
- 直帰率:サイトを訪れたユーザーが1ページ目だけ見て離脱した指標
- 離脱率:該当のページを見て離脱したユーザーの割合の示す指標
- 検索クエリ(キーワード):ユーザーがWebサイトに流入してきた検索ワード
- リファラ:どのページ(広告)から、Webサイトに来たのかを表す
2.アクセス解析で分かること
次にアクセス解析で分かることについて、確認していきましょう。
1.訪問ユーザーの特徴
アクセス解析で分かることとして、まず挙げられるのがWebサイトに訪れたユーザーの属性や特徴です。例えば以下のような情報が把握できます。
- 訪問ユーザーの性別
- 訪問ユーザーの年代
- 流入に用いたデバイス
- 居住エリア
- 使っているブラウザ
- 使用言語
- 興味のあるカテゴリ
- 新規流入かリピート流入か
これらのデータを参照することで、Webサイトに訪れているユーザー像を把握することが可能です。
2.訪問ユーザーの行動
次に挙げられるのはWebサイトに訪問したユーザーの行動です。
アクセス解析を行うことで、Webサイト上でどういった行動をしているかを確認することができます。具体的には以下のような点を把握できるでしょう。
- 閲覧しているWebページ
- 閲覧している時間
- Webページを閲覧した順番
- Webページ上のリンクをクリックしたかどうか
3.訪問ユーザーの流入経路
訪問ユーザーがどういった経路でWebサイトに入ってきたのかも、アクセス解析に取り組むことで確認することが可能です。Webサイトへの代表的な流入経路としては、以下のようなものが挙げられます。
- Organic Search:検索エンジンからの検索流入
- Organic Social:SNSからの流入(広告は含めず)
- Paid Search:検索連動型広告からの流入
- Paid Social:SNS上の有料広告からの流入
- Display:ディスプレイ広告からの流入
- Referral:ニュースサイトやポータルサイトからの流入
- Direct:ブックマークやメルマガのURLなどからの流入
これらの点を把握することで、想定している経路からのWebサイト流入が実現できているかを探り、改善すべき点があれば対応していくことになるでしょう。
4.Webコンテンツの効果測定
Webサイト全体の効果だけでなく、Webサイト上で展開しているブログ記事などのコンテンツ効果を測ることもできます。SEOを目的としたコンテンツの場合、狙った検索キーワードで流入しているかは勿論、検索順位なども把握することができるのです。
また閲覧時間や最後までスクロールされたかといった、Webコンテンツが最後まで読まれているかといった点もチェックできます。
3.アクセス解析の手順
ここからはアクセス解析の具体的な手順についてご紹介します。
アクセス解析前の準備
アクセス解析を行うには、まずアクセス解析できる環境を整える必要があります。
まずどういったデータを計測したいのか、何を解析したいのかを社内で検討した上で、それらのデータを正しく解析できるアクセス解析ツールを選定します。選定したアクセス解析ツールによっては、WebサイトのHTML内にタグを埋め込むといった対応が必要なケースもあるでしょう。
またデータのモニタリングやレポート抽出といったアクセス解析業務について、専任の担当者を配置するなど、運用体制の構築も必要と言えます。
1.Webサイトの目的を明確にする
アクセス解析の環境を整えた後は、まずWebサイトの目的を明確化することから始めます。
アクセス解析の対象となるWebサイトには様々な種類があり、サイトが異なれば当然目的も異なります。しかし目的が曖昧になっているケースも案外多いのです。目的が曖昧であれば、目指すべきゴールが分からず、どのデータを解析すべきかも決めることができません。
そのため、まずはWebサイトの目的について改めて明確化し、そこから逆算してKGI(重要目標達成指標)やKPI(重要業績評価指標)として設定することで、定量的に効果を検証できるようにしておく必要があると言えます。
2.Webサイトの現状を把握する
次に実際にアクセス解析ツールを用いて、Webサイトの現状を確認していきます。
アクセス解析ツールでは数多くのデータをチェックできますが、全てを確認することは時間的にも工数的にも難しいと言えるでしょう。
そのためKPIとして設定している指標を中心に、現状のデータを確認していくことになります。おすすめのアクセス解析ツールについては、本記事の最後にご紹介します。
3.Webサイトの改善点を抽出する
続いてWebサイトの改善点を抽出することになります。
先のステップで確認した現状のデータとKGI・KPIとの差を確認しながら、Webサイトにおいて改善すべき点を検討していきましょう。
アクセス解析に取り組みはじめて間もない段階では、改善点も数多く見つかるケースが多くなりますが、全てを一度に改善していくことはできません。改善によって得られる効果の高いものや、ユーザ―ビリティに関わるようなものを中心に、優先順位を付けて対応していきましょう。
4.モニタリングと改善のPDCAサイクルを回す
改善を実施した後は、再びWebサイト効果のモニタリングを実施します。
このモニタリングによる効果検証と改善のサイクルを回していくことで、ユーザーにとって価値があり、マーケティングにおける実成果に繋がるWebサイトへと成長させていくことができるでしょう。
4.アクセス解析に取り組む際のポイント
アクセス解析の手順を見ていただいたところで、ここからはアクセス解析に取り組む際に押さえておきたいポイントを5つご紹介します。
ポイント①:データを蓄積していく
一つ目のポイントはデータを蓄積していくという点です。
アクセス解析は一時的に行えば効果が出るといった類のものではなく、継続的に実施してこそWebサイトの改善に繋げていくことができます。
また過去のデータと比較分析するケースも多くあるため、データを蓄積していくことが重要になるのです。ただし、解析ツールによってはデータ蓄積できる期間が短いものもあるため、CSV出力しておくなど、必要な時に参照できるようにしておくとよいでしょう。
ポイント②:解析・改善のPDCAサイクルを回し続ける
次に挙げられるのは解析・改善のPDCAサイクルを継続するという点です。
アクセス解析を導入して、データはモニタリングしているものの、改善策の立案や実施といった具体的なアクションにまで繋げられていないケースも散見されます。
しかしアクセス解析を行うのは、Webサイトやコンテンツの改善・効果向上が本来の目的であるはずです。そのため、アクセス解析ツールを導入して満足するのではなく、日々のモニタリングや改善活動のPDCAサイクルを継続的に回していく必要がある点は押さえておきましょう。
ポイント③:ユーザー視点で仮説を立てる
ユーザー視点で仮説を立てるという点も、重要なポイントになります。
アクセス解析ツールで把握できる指標は、あくまで表出している現象に過ぎず、その現象が起きている原因は、自分たちで仮説を立てて考察していく必要があるのです。
その際、企業側の視点で仮説を立てるのではなく、ユーザーの気持ちや立場になって考えていくことが求められます。Webサイトを構築する際にペルソナ(詳細なターゲット像)を策定している場合、そういった情報も参照しつつ、アクセス解析からの改善策立案に繋げるとよいでしょう。
ポイント④:レポートを複数名でチェックする
続いて挙げられるのは、レポートを複数名でチェックするという点です。
アクセス解析ツールを使って、Webサイトの状況をモニタリングしたりレポートを抽出したりする作業自体は、担当者が一人で担っていても問題はありません。
しかしレポートの考察や改善点の検討は、アクセス解析担当者だけで実施せずに、Webサイト運用の関係者全員で行いましょう。複数名でチェックすることで、改善点を検討する際の客観性や多様性を担保することができ、より効果的な施策立案に繋げられる可能性が高まると言えます。
ポイント⑤:必要に応じてプロのアドバイスや支援を受ける
ポイントの最後にご紹介するのは、プロのアドバイスや支援を受けるという点です。
アクセス解析でどの指標を見るべきかは勿論、正しいKGI・KPIの策定、レポートからの考察・改善策の立案は、専門的な知見が必要なケースも往々にしてあります。
社内にアクセス解析に精通している人材がいる場合は別ですが、もし社内にそういったノウハウがない場合は、アクセス解析に関するコンサルティングやサポートを提供してくれるプロに支援をお願いするのも一つの方法と言えるでしょう。
5.アクセス解析におすすめの無料ツール
最後にアクセス解析を行う上で役立つ無料のツールをご紹介します。
アクセス解析と言えばこれ!Googleアナリティクス4
おすすめツールとしてまずご紹介するのは、「Googleアナリティクス4(GA4)」です。
Googleアナリティクス4はGoogleの提供する無料のツールとなっており、アクセス解析ツールの中で最も有名なものの一つと言えます。
Webサイト上のクリックや問い合わせフォーム送信、最下部までスクロールしたかといった指標を自動で収集可能です。他にも計測したい行動をイベントとして手動でカスタマイズ設定することで、深いレベルでのアクセス解析を実現できるでしょう。
Googleアナリティクスのメリットや導入方法、初期設定などはこちらの記事で詳しく解説しております。
流入前の分析ならGoogleサーチコンソール
次におすすめツールとしてご紹介するのは、「Googleサーチコンソール」です。
Googleアナリティクス4と同じくGoogleが無料提供しているツールで、流入キーワードや表示順位といった、Webサイトの流入に関する情報を分析することができます。GoogleサーチコンソールとGoogleアナリティクス4の双方を活用することで、流入前から流入後の行動に至るまで、一貫した分析を実現できるでしょう。
またGoogleアナリティクス4と連携させることで、Googleアナリティクス4の管理画面上で、Googleサーチコンソールのデータも確認できるため、効率的にアクセス解析に取り組むことができます。
コンテンツのどこが見られているのかが分かる!User Heat
続いてご紹介するのは、「User Heat」です。
User Heatはヒートマップ分析を行うためのツールとなっています。ヒートマップとは、ユーザーのマウスの動きを追跡することによって、Webページやコンテンツ上の注目している箇所を色で可視化させる技術を指します。
Googleアナリティクス4などで確認できる指標だけでは、Webページ内の細かな課題は分かりにくいと言えるでしょう。その点、User Heatを用いることで、Webページ上のユーザー行動を視覚情報として捉えることができるため、より精度の高い課題設定に繋げることができるのです。
競合サイトの効果を分析できるSimilar Web
おすすめツールとして次に挙げられるのは「Similar Web」です。
Similar Webは競合サイト分析に使えるツールとなっており、流入キーワードや表示順位といったアクセス状況を把握することができます。競合他社のWebサイトが対策しているキーワードを把握し、自社がまだ対応できていないものはないかを探るといった活用方法が挙げられるでしょう。
無料版でも十分に活用できますが、有料版に切り替えることで、より細かな競合サイトの分析が実現できます。
レポート共有を効率化!Looker Studio
続いてご紹介するのは「Looker Studio」です。
Looker StudioはGoogleの提供するツールで、アクセス解析によって得られたデータをグラフや表などを使って分かりやすく可視化できるツールです。チーム内での共有や公開、共同作業がしやすくなっており、アクセス解析データから示唆を得たり、改善策を検討したりする際に重宝するでしょう。
またスプレッドシ―ドなど、他のGoogleサービスにも接続することができ、レポート化も効率よく進めることができます。
GA4が難しい方におすすめ①:忍者アクセス解析
先ほどアクセス解析ツールの代表としてGoogleアナリティクス4(以下、GA4)を紹介しましたが、GA4は活用の難易度が高いという難点があります。
対して「忍者アクセス解析」は、簡単にアクセス解析が可能な無料ツールであり、モバイル端末でも使用できるという特徴があります。データの蓄積期間が最大4か月間とやや短めではあるものの、無料版でも全ての機能が使えるため、基本的なアクセス解析であれば忍者アクセス解析で十分と言えるでしょう。
GA4が難しい方におすすめ②:Juicer
GA4が難しい方には、「Juicer」もおすすめです。
Juicerは基本的な機能を全て無料で利用でき、アクセス状況などを見やすいグラフや理解しやすい言葉で表現してくれるため、アクセス解析初心者でも使いやすくなっています。またアクセス解析のデータを基に、Webサイトのペルソナを自動生成する機能なども搭載されているため、アクセス解析から改善策の立案までを効率的に行えるでしょう。
【補足】アクセス解析ツールを選ぶポイント
補足としてアクセス解析ツールを選ぶポイントについて、簡単に確認しておきましょう。
アクセス解析ツールを選ぶ際は、まずWebサイトの目的に照らし合わせつつ、機能は勿論、使いこなせるかといった点を主軸に選択します。
先述のとおりGoogleアナリティクス4は高度な分析ができますが、その分設定などが難しいため、導入しても使いこなせないといった事態に陥るケースもあるでしょう。そのため、使いこなせるかどうかという点を重視して考えてみることをおすすめします。
また目的や必要な機能によっては有料ツールが必要となるケースもあるため、無料ツールだけに固執せず、自社にとって本当に必要なツールを選びましょう。
6.まとめ
今回はアクセス解析をテーマに、把握できる情報や手順、おすすめの無料ツールなどをまとめて解説してきましたが、いかがでしたか。
インターネットやSNSが発展した現代において、Webサイトは顧客との重要な接点となります。Webサイトの果たすべき役割もその分増えていると言え、如何に効果的なWebサイトを構築・運営できるかが、マーケティングの成否を分けると言っても過言ではありません。
ぜひこの記事を参考に、効果的なアクセス解析を始めていただければ幸いです。
Strhではアクセス解析をはじめとした、マーケティング戦略の策定から施策の実行支援まで実績をもったコンサルタントがご支援可能です。マーケティング活動でお困りごとがございましたらまずはお気軽にお問い合わせフォームよりご連絡ください。
執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀
大学卒業後、株式会社TBI JAPANに入社。株式会社Paykeに取締役として出向し訪日旅行者向けモバイルアプリ及び製造小売り向けSaaSプロダクトの立ち上げを行う。
アクセンチュア株式会社では大手メディア・総合人材企業のセールス・マーケティング領域の戦略策定や業務改革、SFA・MAツール等の導入及び活用支援業務に従事。
株式会社Paykeに再入社し約10億円の資金調達を行いビジネスサイドを管掌した後、Strh株式会社を設立し代表取締役に就任。
▼保有資格
Salesforce認定アドミニストレーター
Salesforce認定Pardotスペシャリスト
Salesforce認定Pardotコンサルタント
Salesforce認定Sales Cloudコンサルタント