【図解】ビジネスモデルとは?キャンバスの作り方やフレームワークをわかりやすく解説
この記事でわかること
- ビジネスモデルとは?ビジネスモデルを考える2つの目的
- ビジネスモデルを構成する4つの要素
- ビジネスモデルの作成方法
- ビジネスモデルと一緒に抑えたい、戦略モデルキャンバスの記入方法
- ビジネスモデルを扱う際の注意点
執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀
変化が激しく未来予測が立てずらくなった現代。
企業にとってこの厳しい状況を乗り越えるためには、市場や潜在的ニーズを俯瞰し、客観的に分析するスキルが求められるのではないでしょうか。今回の記事を通して、ビジネスモデルの基本からフレームワークを学ぶことで、業界問わず成功パターンを理解し活用することができます。
既存ビジネスを見直したい、新規ビジネスを立ち上げたい、ビジネスモデルの構造を理解して既存のビジネス改革に活かしたい方など、是非最後までご一読ください。
目次
ビジネスモデルとは
そもそもビジネスモデルとは何でしょうか。
ビジネスモデルを最初に提唱したとされている、アレックス・オスターワルダー著書の「ビジネスモデルジェネレーションビジネスモデル設計書」によると、「ビジネスモデルとは、どのように価値を創造し、顧客に届けるかを論理的に記述したもの」であるとされています。つまり、企業がどのような事業をしており、そしてどのような資源を活用し事業を創造するかを表す、事業構造の設計モデルのことを指します。
ビジネスモデルを考える目的
ビジネスモデルを考える目的として大きく分けて2つあります。
①既存事業の革新
自社が持っている、さまざまな資源や活動について見直し、持続的に利益を上げるビジネスを構築していきます。
②新規事業の創造
新しい領域を探索し、新規事業を構築するためです。一度完璧なビジネスモデルを作ったとしても、いつまでもそのビジネスモデルを保つことはできません。
例えば、顧客のニーズの変化や、技術の進化によっても、ビジネスモデルは変わっていくのです。だからこそ、既存事業の革新と新規事業の創造を行っていくことが大切です。ニーズの変化から新規ビジネスに合わせて、ビジネスモデルを更新することで、事業を常に最新の状態に保てるだけでなく、VUCAにも対応できる事業を確立することに繋がります。
ビジネスモデルを構成する4要素
ビジネスモデルは4つの要素から成り立っています。一つずつ解説するとともに、活用できるフレームワークも一緒に紹介いたします。
WHO(誰に向けて):ターゲットは誰か、どの顧客層にアプローチするのか。
潜在顧客も含めて具体的にイメージすることが大切です。
顧客創造に役立つ、フレームワークがペルソナです。ペルソナ作成をすることで、顧客を具体的にイメージすることができるため、自社で提供したいものと提供する相手がマッチしているかを見極めたり、顧客理解につなげることができます。
参考:【DLできるテンプレート公開】ペルソナとは?作り方の5つのステップや具体的な活用方法を解説
WHAT(何を):提供価値はなにか
提供する製品・サービス/価格は顧客満足度を満たすことができるか、改めて俯瞰して確認することが大事です。
ここで役立つフレームワークがユーザーインタビューを行うことです。実際に顧客からヒアリングを行うことで、リアルな声を聞くことができ、企業側からは想定することができなかった、顧客ならではの新しい視点から認識することができ、提供価値を見直すことができます。
参考:【ユーザーインタビュー設計方法】インタビューの目的や進め方のコツまで解説!
HOW(どのような方法で):どのようにして価値を提供するか
どのような方法で顧客に認知してもらい、どのタイミングで価値を提供するか、一連の流れの中でしっかりと検討することが大切です。
顧客行動の理解に役に立つフレームワークが、カスタマージャーニーマップです。カスタマージャーニーマップを作成することで、顧客が課題を抱えるところから自社製品/サービスを手に取り、その後の契約に繋がるまでの流れを可視化することができます。
参考:カスタマージャーニー作成の教科書【テンプレート無料公開】
WHY(なぜ):なぜ利益を生み出せるのか
WHO/WHAT/HOWだけでは、ビジネスモデルは完成しません。なぜそれが利益に繋がっているのか、どういうプロセスによって競合他社と差別化しているのかまで明確に確立するところまでがビジネスモデルです。
ビジネスモデルの作成
ビジネスモデルキャンバス
このビジネスモデルを可視化し、理解しやすくしたものがビジネスモデルキャンバスです。
①顧客セグメント
ターゲットとなる顧客のセグメントや市場を明確にします。特定の顧客層に焦点を当て、そのニーズや特性を深く理解することで、効果的なマーケティングや顧客満足度の向上を図ることができます。また、潜在的な顧客の期待値を明確にし、彼らの嗜好や課題に対応する価値提案を磨くことが必要です。
参考:顧客セグメントとは?作り方や活用の流れ、成功事例を分かりやすく解説
②価値提案
顧客にどのような価値を届けるのかを定義します。自社製品やサービスの特徴、優れている点、また顧客の課題解決に対してどのようなアプローチによって提供するかなど明確にします。顧客が真に求める価値を把握し、製品やサービスが提供する解決策や利益を魅力的に伝え、競争力を高める取り組みが求められます。
③チャネル
顧客に自社製品/サービスを提供するにあたり、どのチャネルを利用することが適切であるかを検討します。顧客にどのタイミングで知ってもらい、どういった流れで提供するかを明確にします。
製品やサービスの提供方法は顧客体験に大きな影響を与えるので、効果的なチャネル戦略を構築し選択されたチャネルを通じて製品を適切に届けることで重要です。
④顧客との関係性
どのようにして顧客との関係性を築き、維持していくか。目指すべき理想的な顧客との関係性を設定した上で、コミュニケーションシナリオや顧客との関係性を測るための指標を設計します。
⑤収益の流れ
どのように収益を生むのか、具体的なステークホルダーや商流、収益の発生源を特定します。どのように顧客から収益を得るか、価格設定戦略や収益モデルを考慮します。
⑥主なリソース
このビジネスモデルを構築・運用を行うためにどの程度のリソースが必要になるか、具体的に明記します。それらにかかるコストも合わせて算出しておきましょう。
⑦主な活動
誰がどのようなタスクをいつまでに行うのか、具体的な活動内容を検討します。中核的な活動にフォーカスし、効率的かつ効果的な遂行を図ることで生産性を向上させます。製品開発、マーケティング、サポートなどの主要な活動を最適化することが競争力の源になります。
⑧主なパートナー
どのような外部のパートナーやリソースとパートナーシップを得ることができるかを検討します。ターゲットなるパートナーリストの作成や提供価値の棚卸し、両社にベネフィットを生み出すことができる協業案の検討などを行います。
⑨コスト構造
何にどのくらいコストが発生するかを明確にします。事業の立ち上げ・運用、リソースの調達、アクティビティの実施、設備調達コストなど具体的な費目と価格を検討します。
一緒に抑えたい戦略モデルキャンバス
自社のビジネスモデルを作成する際に、戦略モデルキャンバスを活用する方法もあります。戦略モデルキャンバスとは、書籍「この一冊で全部わかるビジネスモデル: 基本・成功パターン・作り方が一気に学べる」に掲載されているビジネスモデル作成のフレームワークです。
ここでの戦略モデルとは、誰に(ターゲットユーザ)、何を(自社製品/サービス)、どのような魅力で、自社のどのような資源を活かして提供するのかを表すモデルのことです。このモデルを検討することで、ビジネスモデル全体を表すことができます。
ビジネスモデルキャンバス/戦略モデルキャンバスを扱う際に注意すること
①まずは簡単に記載する
様々な部門や担当者と練り上げていくものなので、まずはシンプルな文章で短くまとめ簡単に内容を記載した上で、それをベースに議論を行い内容を充実させていきましょう。
②短時間でまとめる
何も思い浮かばない場合は無理に考えず、他の要素に移るようにしましょう。埋まらない内容についても様々な人から意見をもらいながら内容を詰めていくことが重要です。
③何度も検討し直して内容を更新させる
冒頭でも述べたように、どれだけ良いビジネスモデルを作り上げたとしても、保ち続けることはできません。外部の変化に伴い、ビジネスモデルも柔軟に変化させることが大切です。
まとめ
変化の激しい予測不可能な時代に対応し、事業としても企業としても進化していくために大事なことは何でしょうか。それは、「深化、伸化、新化」の3つの進化を遂げることです。
既存の事業において顧客の潜在的ニーズにアプローチすることで、事業を深化させるだけでなく、新たな付加価値を見出し、伸化します。そしてそれだけにとどまらず、既存事業から新規事業に発展させ、新規事業を通して新規顧客に対してもアプローチを行うという点で、新化していきます。これらを同時に行うことができて、初めて企業は進化している、と言うことができるのです。
今回ビジネスモデルについて学び、ビジネスモデルキャンバスの書き方だけでなく、ビジネスモデルを活用する根本的な目的も理解頂けたと思います。今後の活動に是非ご活用ください。
Strhでは、新規事業開発支援についても実績のあるコンサルタントが一貫して支援しています。マーケティング活動に関してなにかお困りごとがありましたら、お問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。
執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀
大学卒業後、株式会社TBI JAPANに入社。株式会社Paykeに取締役として出向し訪日旅行者向けモバイルアプリ及び製造小売り向けSaaSプロダクトの立ち上げを行う。
アクセンチュア株式会社では大手メディア・総合人材企業のセールス・マーケティング領域の戦略策定や業務改革、SFA・MAツール等の導入及び活用支援業務に従事。
株式会社Paykeに再入社し約10億円の資金調達を行いビジネスサイドを管掌した後、Strh株式会社を設立し代表取締役に就任。
▼保有資格
Salesforce認定アドミニストレーター
Salesforce認定Pardotスペシャリスト
Salesforce認定Pardotコンサルタント
Salesforce認定Sales Cloudコンサルタント