CDPとは?導入でできることやメリット・デメリットをわかりやすく解説
この記事でわかること
- CDPとは何か?導入によってできること
- CDPとプライベートDMP、パブリックDMPの違い
- CDPのメリットやデメリット
- CDPを導入する際の注意点
執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀
CDPの特徴や導入するメリット・デメリットがわからないという悩みを抱えていませんか。
CDPとはCustomer Data Platformの略で顧客の属性データや行動データを一元管理し、データの統合や分析ができるプラットフォームです。データを統合することで、顧客ごとの分析が簡単にできるだけではなく、社内での情報のやり取りもスムーズになります。
しかし、情報を一元管理することは、情報管理がずさんだと漏洩のリスクが伴います。
CDPにはメリット・デメリットが存在しており、両方を理解しないと、最大限使いこなせません。
本記事では、CDPの概要や導入するメリット・デメリット、導入する際の注意点などを解説します。本記事を読むことで、CDPの概要が理解でき、導入する際の判断ができるでしょう。
目次
1. マーケティングにおけるCDPとは?わかりやすく解説
CDP(Customer Data Platform)とは、顧客情報を集めて、データを統合し分析するデータプラットフォームのことです。CDPのデータソースは多種多様であり、Webログやアプリログ、広告データ、ソーシャルデータなどから情報を収集・統合することができます。
現代では顧客はスマホやPC・タブレットなど様々なデバイスやチャネルを利用して生活しており、顧客に関わる様々なデータを一元管理していないと、本来は同一の顧客を別の顧客や複数の顧客と認識してしまうなどいったことも起こりえます。
そうすると、企業やブランドが顧客体験を毀損するようなコミュニケーションを行ってしまうリスクや、顧客にとって本当に有益な情報や体験を提供できなくなる可能性があります。
CDPを活用することで個人に関わる様々なデータを一元管理でき、顧客ごとの消費行動を正確に把握・分析して顧客の理解を深め、顧客に寄り添ったマーケティングコミュニケーションを行うことができるようになります。
マーケティングにおいて、詳細な顧客情報を適切に一元管理することは、一貫性のある顧客体験を提供するうえでとても重要です。
たとえば、ECサイトでランニングシューズを購入するとします。その際にCDPで保持しているデータを活用して、顧客好みかつランニングシューズに合うウェアをおすすめされたら、顧客にとって良い体験を提供できていると言えるでしょう。
CDPは顧客に、適切なタイミングで適切な商品を届ける一助になります。
2. CDPとプライベートDMP・パブリックDMPの違いを解説
CDPと同様、顧客情報を集め、分析できるプラットフォームであるDMPを紹介します。
DMPとはデータマネジメントプラットフォームのことで、CDPと同じ分析ツールという点で似ており、誤った認識をしている方も多いでしょう。そこで本章では、DMPのうちプライベートDMP・パブリックDMPとCDPの違いを解説します。
CDPとプライベートDMPの違いとは?
プライベートDMPとは、自社内で集めたデータを管理するプラットフォームです。
自社で集めた顧客情報を管理するプラットフォームで、異なるツールやシステム、オフラインデータフォーマットを統合できます。
CDPとプライベートDMPは、自社で顧客情報を収集・分析できる点で共通しており、大きな機能の違いはありません。プライベートDMPを活用する際は、集めた顧客データの活用方法や目的を決めておかないと、導入しても十分な効果が得られないため、注意が必要です。
CDPとパブリックDMPとの違いとは?
パブリックDMPとは、企業が顧客データを集めるためのプラットフォームであり、主に匿名のデータである3rd Partyデータを扱います。
3rd Partyデータは、インターネット上の行動であるサイト訪問や検索履歴から集められるもので、具体的な個人を特定する情報は含まれていません。
パブリックDMPを使うことで、企業が直接入手できない顧客の行動や興味を把握できます。たとえば、顧客の年齢や性別、Webサイトでの閲覧履歴、検索履歴など自社で収集することが難しい情報も手に入れられます。
パブリックDMPは関連サイトから膨大なデータを収集でき、自社でアプローチできない匿名ユーザーの情報を得ることができるため、新規顧客の獲得を目的にした広告配信のターゲットデータなどに向いているでしょう。
パブリックDMPは外部サイトの匿名データ(3rd Partyデータ)を収集・活用するのに対して、CDP・プライベートDMPは主に自社で収集した個人情報データ(1st Partyデータ)を含むすべてのデータを収集・活用する前提となっているため、CDPとパブリックDMPは補完関係にあると捉えることもできます。
3. CDPの導入によってできる3つのこと
CDPを導入することで、何ができるか気になる方も多いでしょう。CDPの導入によってできることは以下の3つです。
CDPは顧客の性別や行動データなどを活用し、分析することでより深く顧客理解ができます。それぞれ詳しく解説します。
①データ収集・蓄積
CDPでは、ファイルアップロードやデータ連携によって顧客の年齢や趣味、購買履歴などのさまざまな情報を収集し一元管理することができます。
CDPの中には、オフラインの情報を活用できる機能も備わっているため、実店舗での顧客の行動パターンやアンケート結果などのデータの活用が可能です。
CDPは自社のデータしか集められない点がデメリットですが、パブリックDMPと一緒に活用することで、外部のデータを取り入れられます。そのため、主観的なデータと客観的なデータを組み合わせられるため、より詳細な顧客データを集められます。
CDPで集めたデータの利用方法を明確にしていないと、収集したデータが無駄になる可能性があるため、目的を事前に決めることが大切です。
②集めたデータの加工・統合
CDPでは、集めたデータを個人を識別するIDと結び付けることで1人1人の詳細データを個別管理できます。
集めた情報が多いほど精度の高い顧客情報を得られるため、顧客の悩みやニーズを深堀して分析可能です。ただし、収集したデータは個人を識別するためのID(IDやメールアドレスなど)と紐づけるためのデータ加工が必要なので、すべてのデータが分析や施策に利用できるわけではありません。
③データの分析・施策への連携
CDPでは名前や年齢、購入履歴などの顧客情報を活用することで、自社の商品やサービスに興味を持っている顧客情報を分析する元データを作成できます。
CDPで収集・統合したデータをもと多種多様なデータを分析することで、1人1人の顧客のより詳細なプロフィールやインサイトを導き出すことが可能です。また、分析で得られた情報をもとに、個々の顧客に合わせたマーケティング施策を展開できます。つまり、年齢や性別といった基本属性情報だけではなく、行動・購買データなどより深いレベルで顧客を理解してアプローチできます。
ただし、CDPで統合したデータをどのように分析ツールやMA、広告配信システムなどに連携するかは予め設計しておかないと、CDPで統合しただけのデータになるので注意が必要です。
4. CDPを導入する3つのメリット
CDPを導入するメリットには、リアルタイムでの顧客分析や顧客に合わせた施策の検討などがあります。CDPを導入するメリットは以下の3つです。
メリットを理解することで、企業が抱えている問題を解決できるかを判別できます。
リアルタイムで顧客分析ができる
CDPは顧客情報を一元管理し、リアルタイムで分析を行えるため、マーケティング施策やプロモーションを素早く効果的に実施できます。
例えば、CDPはリアルタイムでの分析ができるため、顧客が自社のWebサイトに訪れたときに、これまでの行動履歴をもとに最適な商品を提案するといった事も可能になります。CDPを導入することで、即座にデータにもとづいたマーケティング施策の立案が可能となり、顧客満足度の向上や売上の増加につながるでしょう。
顧客1人1人に合わせた施策を検討できる
従来のマーケティング手法では、マス層に対する施策が多く行われていたため、1人1人に合ったマーケティングができませんでした。
それに対して、CDPは顧客データを集約して解析するため、1人1人の顧客について深く理解ができます。顧客の深い部分まで分析できるため、それぞれの顧客のニーズや嗜好に合わせた施策を短時間で設計できます。顧客1人1人のニーズや嗜好に合わせた施策を実施することで、顧客満足度が向上し、結果的に企業の収益増加へとつながるでしょう。
社内で情報共有が容易にできる
CDPは顧客情報を1か所にまとめられるので、社内のさまざまな部門やチームの情報を簡単に共有できます。
分散していた顧客情報を一元管理できるため、製品開発やマーケティング、セールスなど、各部門が情報を活用しやすくなります。
たとえば、マーケティング部門が実施したキャンペーンの効果を、セールス部門が有効に活用すれば、顧客に対して効果的なアプローチが可能です。CDPの導入により、各部署が協力しやすくなるだけではなく、企業全体が一体となって顧客に価値を提供できるでしょう。
5. CDPを導入する2つのデメリット
CDPを導入する前に、デメリットも把握しておく必要があります。
CDPを導入するデメリットは主に以下の2つです。
メリットだけではなく、デメリットまで把握しておけば、CDPを導入することで新たな問題が発生する可能性を未然に潰せるでしょう。
セキュリティリスクを考慮し対策する必要がある
CDPは大量の顧客データを一元管理できますが、1箇所にまとめているため、セキュリティ対策が不十分な場合、情報漏洩のリスクが高まります。
すべての個人情報を1か所で管理する以上、高度なセキュリティが必要です。
企業がセキュリティ対策を怠ったままCDPを導入すると、不正アクセスによって顧客データが漏洩し、顧客からの信用を失う可能性があります。
一方、顧客情報を1か所に集めることで、他部署との連携が円滑にでき、質の高いマーケティング施策ができます。CDPのメリットと情報漏洩のリスクを前もって認識し、適切なセキュリティ対策を行うことで、顧客管理を安全に行えるでしょう。
CDPを活用する人材・部門に依存するリスクがある
CDPは多くの顧客情報を収集でき、精度の高い分析が可能な反面、専門的な知識とスキルが要求されます。
CDPを活用できる人材がいない場合、費用対効果が低くなる可能性があります。
企業に専門的な知識を持った人材が不足していると、データの分析やマーケティング施策が効果的にできず、期待される成果を上げられないことが考えられるでしょう。
それゆえ、CDPを効果的に活用するには、運用体制の充実や専門的なスキルを持った人材確保が重要です。
Strh株式会社では、CDPを使用したデータ分析やマーケティング戦略策定~運用支援までend to endでご支援可能です。マーケティングに精通したプロが課題・ニーズに合わせたソリューションを提案し、企業の事業拡大をサポートいたします。まずはこちらからお気軽にご相談ください。
6. CDPを導入する際の3つの注意点
CDPを導入する際は、データを統合する目的を決めたり、社内全体で協力体制を構築することが大切です。CDPを導入する際の注意点は以下の3つです。
- データを統合する目的を設定する
- 導入後のKPIを決める
- 社内全体で協力する体制を作る
CDPの導入を失敗しないためにも参考にしてください。
データを統合する目的を設定する
CDPはさまざまな顧客情報を収集できますが、目的が不明確だと、どのデータをどのように活用するのかが曖昧になります。
目的設定ができていないと、どの部門でもCDPのデータを有効に使えず、ただ、様々なデータが蓄積されているだけの箱になってしまいます。
このような事態を未然に防ぐためにも、導入目的やその後の活用イメージは明確にもった上でCDP導入前には各部門と連携し進めることが重要です。
導入後のKPIを決める
KPIを定めないままでは、目標達成に近づいているのかがわからず、不明確な基準で無駄なデータ収集や統合を繰り返してしまう可能性があります。したがって、CDP導入効果を振り返るためにも導入前にKPIの設定が大切です。
KPIが設定されていれば、途中経過を常にチェックでき、必要な調整が行いやすくなるため、無駄な投資や施策を生むリスクを抑えられます。
参照:BtoBマーケティングのKPI設計についてプロが徹底解説
社内全体で協力する体制を作る
CDPで統合するデータやそのデータを活用するのは、マーケティング部門のみならずさまざまな部門であり、各部門が協力しないと効果的なデータ活用は行えません。
CDP導入を成功させるには、ただ導入するだけではなく、社内全体での協力体制が必要です。それゆえ、プロジェクトチームを作って、ほかの部署と一緒に取り組むことが効果的です。
7. まとめ
本記事では、CDPの概要や導入するメリット・デメリット、導入する際の注意点などを解説しました。
CDPとは、顧客情報を収集・統合・蓄積することができるプラットフォームです。
CDPを活用することで顧客の詳細分析や顧客に合わせたマーケティング施策の実施が容易になります。
しかし、CDPを使いこなすためには、導入目的やデータ活用イメージはもちろん、経験と知識を持った人材が必要不可欠です。これらが十分でない場合は、導入してもメリットを最大限活かせません。こういったメリットやデメリットを正しく理解し、是非CDPの導入や活用を進めていただけますと幸いです。
Strhではマーケティング戦略の策定から施策の実行支援まで、ワンストップでのご支援が可能です。マーケティング活動でお困りごとがございましたら、まずはお問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。
執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀
大学卒業後、株式会社TBI JAPANに入社。株式会社Paykeに取締役として出向し訪日旅行者向けモバイルアプリ及び製造小売り向けSaaSプロダクトの立ち上げを行う。
アクセンチュア株式会社では大手メディア・総合人材企業のセールス・マーケティング領域の戦略策定や業務改革、SFA・MAツール等の導入及び活用支援業務に従事。
株式会社Paykeに再入社し約10億円の資金調達を行いビジネスサイドを管掌した後、Strh株式会社を設立し代表取締役に就任。
▼保有資格
Salesforce認定アドミニストレーター
Salesforce認定Pardotスペシャリスト
Salesforce認定Pardotコンサルタント
Salesforce認定Sales Cloudコンサルタント