CRMとは?導入メリットや機能、選び方やおすすめツールまで解説
この記事でわかること
- CRMとは?CRMとSFA・MA・ERPとの違い
- CRMのメリット・デメリット
- CRMの主な機能一覧
- CRMの導入ステップとツールの選び方
- おすすめのCRMツール
- CRM導入の成功事例
- CRM活用を成功させるポイント・定着化させるポイント
執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀
- CRMとは何か知りたい
- CRMの導入メリットやできることを知りたい
- おすすめのCRMが知りたい
この記事は上記のような思いを抱えておられる方に向けて、CRMの概要から必要な理由、導入メリット、機能などをまとめてご紹介していきます。導入の手順やおすすめのCRMツール、選び方なども併せてご紹介していますので、ぜひ最後までご確認ください。
目次
1.CRMとは
まずはCRMの概要や必要とされる理由、SFAなどとの違いについて確認していきましょう。
CRMの概要
CRM(Customer Relationship Management)は、顧客に関する情報を一元的に管理することで、適切なアプローチを実現し、顧客との良好な関係性を構築していく一連の取り組みのことです。
CRMという言葉は、上記の取り組みに用いられる顧客管理ツールを指して使われることも多く、本記事でもツールのことを指すという前提で解説を進めていきます。CRMは主に既存顧客に関する情報を管理する際に活用され、大きくクラウド型とオンプレミス型の2つの種類があります。それぞれ以下のような特徴が挙げられるでしょう。
クラウド型CRM
クラウド型CRMはインターネット経由で利用するCRMであり、アカウントさえ用意すれば、様々なデバイスで利用できるという特徴があります。自社サーバーにシステムを構築する必要がなく、導入後すぐに利用できます。またメンテナンスなども不要であるため、より手軽に活用できるでしょう。
オンプレミス型CRM
オンプレミス型CRMは、自社サーバー内に構築するCRMです。自社の目的や用途に合わせて自由にカスタマイズできるという利点はありますが、構築まで時間がかかる上、クラウド型よりも高額な費用がかかります。
CRMはなぜ必要なのか
ここでなぜCRMが必要なのか、その理由を確認しておきましょう。
必要な理由①:価値観やニーズの多様化
一つ目の理由は、価値観やニーズの多様化です。
供給が需要を上回り、様々な類似品・サービスで溢れた社会において、顧客の価値観やニーズは多様化しています。
そういった状況の中でマーケティングを成功させるには、顧客一人ひとりに合わせた対応やコミュニケーションが求められます。そこで各顧客の情報を適切に管理し、分析できるCRMが必要とされるようになったと言えるでしょう。
必要な理由②:LTVの重要度の高まり
LTV(顧客生涯価値:顧客が生涯にわたってもたらす利益)の重要度が高まってきたことも、理由の一つとして挙げられるでしょう。年々人口が減少している中で、似たような製品・サービスは数多く存在しているため、これまでよりも新規顧客を獲得する難易度が高まっています。
そのため既存顧客のLTVを最大化する考え方も重視され始めたのです。LTVを高めるには顧客との良好な関係構築が不可欠と言え、CRMも併せて求められるようになったと言えます。
参照:LTV(ライフタイムバリュー)とは?顧客生涯価値の意味から向上施策まで解説
必要な理由③:人手不足による効率化への転換
理由の最後に挙げられるのは、人手不足による効率化への転換です。
技術発展に伴い、マーケティング活動において分析できる情報や管理すべきデータは増えています。
しかしマーケティング活動に携わる人手が不足しているため、より少ない人手でも必要な業務に従事できる環境の構築が求められるでしょう。効率的かつ効果的なマーケティングを実現する上で、CRMをはじめとするツールの活用は不可欠となっているのです。
CRMとSFA・MA・ERPとの違い
CRMと関連する言葉としてSFAやMA、ERPがあります。CRMとの違いを理解するために、それぞれ概要についてここで押さえておきましょう。
SFAとは
SFA(Sales Force Automation)とは、営業支援ツールのことを指します。
主に商談プロセスにいる顧客に関して、商談内容やスケジュールなどを管理でき、営業部門内で活用されることが多くなるでしょう。
他にも営業リストの作成や予実管理といった、営業活動に役立つ機能が豊富に搭載されています。上記のようにSFAはあくまで実顧客になる前の顧客を管理するためのツールであり、主に既存顧客の管理を行うCRMとは、対象となる顧客層が異なると言えるでしょう。
参照:SFAとは?基礎知識からCRMやMAとの違いや導入ポイントをわかりやすく解説
MAとは
MA(Marketing Automation)とは、マーケティング支援ツールのことです。
見込み顧客に関する情報を管理できる上、特定属性を持つ見込み客や特定アクションを行った見込み客を抽出してリスト化したり、購買意欲を数値化したりできる機能が搭載されています。
他にもメール自動配信やフォーム作成といった役立つ機能も多数あり、利用することでマーケティング活動全体を効率化することができます。先述のとおりMAは見込み顧客を主な管理対象としているため、CRMやSFAよりも前段階で活用されることが多いと言えます。
参照:MA(マーケティングオートメーション)とは?機能や選び方、おすすめツールまで紹介
ERPとは
ERPとはEnterprise Resource Planningの略称となっており、企業経営の資産(ヒト・モノ・カネ・情報)を適切に分配・活用するための考え方を意味する言葉です。
そこから転じて、人事労務や財務、生産管理などを統合した基幹システムを指す言葉としても使われています。上記のように顧客管理システムであるCRMとは、そもそもシステムの基になる概念や目的が異なるのです。
2.CRMのメリットとデメリット
CRMの概要を押さえていただいたところで、メリットとデメリットについてもご紹介します。
CRM導入のメリット
まずはCRM導入のメリットとして以下の5つを確認していきましょう。
メリット①:顧客情報を一元管理できる
一つ目のメリットは、顧客情報を一元管理できるという点です。
CRMは顧客担当者のプロフィール情報に加え、受注履歴やこれまでの商談内容など、様々な情報を集約できます。そのため顧客に関する情報を一元的に管理でき、様々な情報を組み合わせた分析も効率的に取り組めると言えるでしょう。
メリット②:業務の効率化
続いてメリットとして挙げられるのは、業務の効率化です。
CRMには顧客管理機能だけでなく、メール配信機能や分析機能、見積書などの取引関連書類を作成する機能が搭載されています。
これらの機能を活用することで、既存顧客へのマーケティング活動を効率化させることができるでしょう。業務効率化によって得られたリソースを活用し、顧客とのコミュニケーションをより密に行うといった対応をすることで、良好な顧客関係構築に繋げられるのです。
メリット③:対応漏れなどのミス防止
対応漏れなどのミスを防止できる点も見逃せません。
CRMには商談情報やアポイントなどのタスクを管理できる機能があります。
これらの情報は関係者全員が把握できるため、担当者自身が万が一忘れてしまっていても、メンバー同士でフォローしあうことができるのです。そのため機会損失や顧客からの信用低下に繋がる、対応漏れといったミスを未然に防ぐことができます。
メリット④:部門間の情報連携をスムーズに行える
部門間の情報連携をスムーズに行えるという点も、メリットとして挙げられます。
顧客に関する様々な情報を一元管理できるCRMは、アカウントさえ付与すれば、営業部門やカスタマーサポート部門も参照できます。
そのため、営業やカスタマーサポート担当が顧客対応を行う際に、必要な情報をスムーズに共有できるのです。顧客接点を担う各部門での連携が適切に行われていれば、顧客対応にバラつきや矛盾が生じず、信頼度も高めていくことができるでしょう。
メリット⑤:顧客との良好な関係を構築できる
メリットの最後に挙げられるのは、顧客との良好な関係を構築できるという点です。
CRMを導入することで、顧客に関する様々な情報を基に、多角的な視点から分析することができ、顧客の求めているアプローチや情報提供に繋げることができます。その結果、顧客からの信頼度も高まり、良好な関係構築を実現できるでしょう。
CRM導入のデメリット
メリットと併せてデメリットについても押さえておきましょう。
デメリット①:コストが掛かる
デメリットとしてまず挙げられるのは、コストが掛かるという点です。
CRMの多くは有料システムとなるため、導入するために一定の費用がかかります。
ベンダーによって費用は変わりますが、クラウド型の場合は数万から数十万円、オンプレミス型であれば数十万から数百万円の費用がかかるでしょう。またクラウド型の場合は月額費用、オンプレミス型であればメンテナンス費用などが、運用コストとしてかかってくるのです。
デメリット②:業務フローの再構築が必要
続いて挙げられるデメリットは、業務フローの再構築が必要であるという点です。
CRMを導入した場合、顧客情報の入力といった新たな作業が生じるため、それを前提とした業務フローに修正しなければなりません。
最適な業務フローを構築するには、CRMが絡む業務だけでなく、その前後も踏まえて調整する必要があり、それだけ工数や時間がかかってくるのです。
デメリット③:定着や効果が出るまでに時間がかかる
デメリットの最後にご紹介するのは、定着や効果が出るまでに時間がかかるという点です。
CRMを導入しても、現場に定着するまでには一定の時間がかかります。
またCRM内に顧客情報が蓄積されなければ効果的な分析もできないため、マーケティング上の成果が出るまで、一定期間にわたって運用しなければなりません。
3.CRMのできること【主な機能一覧】
続いてCRMができることとして、主な機能を紹介します。
機能①:顧客情報管理
一つ目にご紹介する機能は、顧客情報管理です。
CRMでは顧客担当者の所属部署や役職、電話番号やメールアドレスなどといった基本的な情報を網羅して管理できます。
他にも企業内における担当者同士の繋がりや、これまでの受注履歴といった情報も蓄積できるのです。またSFAやMAといった役割を併せ持ち、既存顧客は勿論のこと、見込み顧客に関する情報を管理できるツールもあります。
機能②:商談・問い合わせ管理
次に挙げられる機能は、商談・問い合わせ管理機能です。
顧客担当者とこれまで実施してきた商談の内容は勿論、企業への問い合わせ内容といった情報を管理できます。商談や問い合わせに関する情報を適切に管理しておくことで、自社の担当者が変わっても、これまでの経緯を踏まえたアプローチが実現できるでしょう。
機能③:タスク管理
続いて挙げられる機能は、タスク管理機能です。
CRMでは、訪問やフォロー連絡といった顧客対応に関するタスクを管理できます。CRMのタスク管理機能を活用することで、マーケティングチーム全体の作業状況や進捗などを把握し、最適なリソース配分にも繋げることが可能です。
またメンバーが突然休んでしまった場合でも、CRMの情報を参照することで他のメンバーがフォローでき、機会損失を最小化できるでしょう。
機能④:マーケティング支援
CRMは情報を管理する機能だけでなく、マーケティング活動を支援する機能も搭載されています。
例えば顧客に対してメールを配信する機能や問い合わせフォームを作成する機能、蓄積している顧客情報を属性や取引回数、取引金額などによって分析する機能などが挙げられます。その他、顧客に関する資料などをシステム内で共有するための機能なども搭載されているのです。
機能⑤:帳票作成・管理
次に挙げられるのは、帳票作成・管理機能です。CRMでは以下のような帳票を作成・管理できます。
- 見積書
- 請求書
- 受注書
- 発注書
- 契約書
また作成した帳票をメール配信機能を用いて送付できるため、これらの機能を併せて活用することで事務的な業務も効率化できるでしょう。
機能⑥:外部サービス連携
機能の最後に挙げられるのは外部サービス連携です。
CRMによっても異なりますが、主にSFAやMA、名刺管理システムといった外部サービスと連携できます。関連システムと連携させることで、見込み顧客から既存顧客に至るまで、適切に顧客情報を管理でき、アプローチも最適化させることができるでしょう。
4.CRMの導入ステップとツールの選び方
ここからはCRMの導入ステップとツールの選び方についてご紹介します。
CRMの導入ステップ
まずは導入ステップから確認していきましょう。
ステップ①:導入目的の明確化
まずは、CRM導入の目的を明確化します。
CRMは冒頭で述べたように顧客と良好な関係を築き、その結果として自社のビジネス発展に繋げていくことを目的としたツールです。
とはいえ企業によって、「顧客情報の管理を最適化したい」「既存顧客に関する分析を行いたい」といったように細かな目的は異なるでしょう。そのため、自社の顧客管理にどういった課題があり、具体的にどのような目的や目標を達成するためにCRMを導入するのかを明確にし、関係者全員で共通認識を持っておくことが重要になります。目的の認識が関係者間でぶれていると、意図したような活用がされず、成果も上げにくくなるでしょう。
ステップ②:業務フローの再構築
次に、業務フローの再構築へと入ります。
CRMを導入した場合、顧客情報の入力やツールを用いた分析など、これまでとは違った作業が発生することになるでしょう。
そのため、入力や分析を行うタイミングなどを他業務との兼ね合いも踏まえて決めていき、それに基づいた業務フローを再構築しなければなりません。
ステップ③:ツールの選定
業務フローが構築できた後は、導入するツールを選定するステップへと入ります。
CRMを提供するベンダーは数多くありますが、目的や現在導入しているツールとの互換性などを踏まえて、自社に適したツールを選定しましょう。ツール選定のポイントはこの後詳しくご紹介します。
ステップ④:運用開始
無事ツールを選定・導入できた後は、運用を開始します。
あらかじめ定めた業務フローに従ってデータの入力を継続的に行い、顧客に関する情報を蓄積していきましょう。あとはデータ更新や分析といったPDCAサイクルを回し、顧客と良好な関係構築するためのアプローチに繋げていくことになります。
CRMツールの選び方
それではCRMツールの選び方について、6つのポイントをご紹介します。
選ぶ際のポイント①:要件に対して必要な機能はあるか
CRMを選ぶ際のポイントとしてまず挙げられるのは、必要な機能があるかどうかです。
自社の目的や目標を踏まえつつ、必要な機能があるかをチェックしましょう。顧客情報の管理や分析だけでよいのか、それともマーケティングを支援する機能も必要なのか、あらかじめ運用シーンを想定しておき、そこから逆算して考えることをおすすめします。
選ぶ際のポイント②:操作はしやすいか
続いて挙げられるのは、操作しやすいかという点です。
どれだけ高度な機能が搭載されていても、それを使いこなせなければ成果を得ることはできません。そのため、実際に利用するメンバーの視点で、操作しやすいか、使いこなせるかといった点を確認するようにしましょう。
選ぶ際のポイント③:セキュリティは強力か
次にポイントとして挙げられるのは、セキュリティは強力かという点です。
CRMは顧客に関する情報を管理するツールですが、管理する情報の中には連絡先などの個人情報も含まれることになります。そのためCRMを選定する際は、セキュリティ面についてもしっかりとチェックするようにしましょう。
選ぶ際のポイント④:コストは適切か
コストが適切かどうかも重要なポイントです。
自社の予算と照らし合わせて、導入や運用コストが妥当かを確認しましょう。またクラウド型の場合、アカウント数が増えた場合の料金変更などについても確認しておくことで、後々になって予算が足りなくなるといったリスクを避けることができます。
選ぶ際のポイント⑤:拡張性や他ツールとの連携は可能か
次のポイントは、拡張性や他ツールとの連携が可能かどうかという点です。
CRMの多くはSFAやMAなどと連携できる機能を有していますが、自社で既に導入しているツールと連携できなければ意味がありません。
そのため自社で利用しているツールとの互換性や連携ができるかも、重要な選定基準となるでしょう。またCRM自体の機能拡張性なども把握しておくこともポイントになります。
選ぶ際のポイント⑥:サポート体制は充実しているか
最後のポイントは、サポート体制が充実しているかという点です。
CRMの導入に関するコンサルテーションは勿論、導入後の操作レクチャーといったサポートメニューを提供しているベンダーのツールを選定すれば、CRMの運用も軌道に乗せやすいと言えます。そのため、単純な機能面だけでなく、サポート体制の有無などについてもあらかじめ確認しておきましょう。
5.おすすめのCRMツール7選
導入ステップと選び方をご理解いただいたところで、おすすめのCRMツール(クラウド型)をご紹介します。
1.GENIEE SFA/CRM
おすすめのツールとして、まずご紹介するのは「GENIEE SFA/CRM」です。
GENIEE SFA/CRM(旧ちきゅう)は株式会社ジーニーが提供するCRMツールです。
入力や分析などを直感的に操作できるシンプルな管理画面となっており、定着率99%の実績を誇っています。Gmailやスラックといったツールとも連携でき、入力作業や報告などを自動化することも可能です。
また月額2,980円のプランもあるため、低コストで運用できる点も特徴と言えるでしょう。詳細はこちらの公式サイトからご確認ください。
2.Service Cloud
次にご紹介するのは「Service Cloud」です。
Service Cloudは株式会社セールスフォース・ジャパンが提供するCRMです。
顧客情報や商談管理機能などに加えて、顧客からの問い合わせ対応を支援する機能が豊富に搭載されており、様々なチャネルからの問い合わせ内容を一元的に管理できます。
その他、問い合わせに対する自動レスポンス機能やタスク割り当ての自動化機能などもあるため、顧客対応の効果を高めるとともに、生産性向上にも繋げられるでしょう。詳細についてはこちらのサイトをご確認ください。
3.kintone
続いてご紹介するのは「kintone」です。
引用:kintone
kintoneはサイボウズ株式会社が提供する、ノーコード・ローコードで業務アプリを作ることができるツールです。
顧客・案件管理は勿論、問い合わせ管理や受発注管理など、様々な用途の機能をカスタマイズでき、自社に合ったCRMを手軽に構築することができます。
その他、名刺管理システムやマーケティングオートメーションなどのシステムとも連携できるため、効率的な運用を実現できるでしょう。詳細についてはこちらの公式サイトをご確認ください。
4.Knowledge Suite
「Knowledge Suite」もおすすめツールとして挙げられます。
Knowledge Suiteはブルーテック株式会社が提供するツールです。
CRMだけでなくSFAやグループウェアとしての機能が搭載されており、マーケティングや営業活動をトータルに支援できるという特徴があります。
SaaS型を採用しており、利用したいときに利用した分だけ費用がかかる仕組みとなっているため、ユーザー数などの制限もありません。詳細については公式サイトをご確認ください。
5.HubSpot CRM
次におすすめのツールとして挙げられるのは、「HubSpot CRM」です。
引用:HubsSpot
HubSpot CRMは、HubSpot社が提供するCRMツールです。
顧客情報やコンタクト管理、取引のトラッキングなど、基本的な機能を全て無料で利用でき、必要に応じて高度な機能が含まれた有料版に切り替えることもできます。
ユーザー数やストレージ容量なども無制限となっているため、高いコストパフォーマンスを発揮するでしょう。詳細はこちらのサイトからご確認ください。
6.Zoho CRM
おすすめツールの最後にご紹介するのは、「Zoho CRM」です。
引用:Zoho CRM
Zoho CRMはゾーホージャパンが提供するCRMです。
Zoho CRMには「Zia」と呼ばれるAIが搭載されており、蓄積した情報を基にどの顧客にアプローチすべきかを提案してくれたり、顧客ごとに電話が繋がりやすい時間帯などを示したりしてくれます。
また電話やメールをCRMと連携させることで、CRM上から架電やメール送信でき、それらのデータを自動的にCRM内に蓄積できる機能も搭載されているのです。より詳しい機能については、公式サイトからご確認ください。
6.CRM導入の成功事例
ここでCRM導入の成功事例についてご紹介します。
事例①:株式会社ニューズピックス
一つ目にご紹介する事例は、メディアプロデュースサービスなどを提供している株式会社ニューズピックスです。ニューズピックスが法人向けに提供するeラーニングサービス「NewsPicks Learning」は、顧客に関するデータが蓄積できていないという課題を抱えていました。
そこでCRMを導入し、カスタマージャーニーにおける全てのプロセスに関するデータを集約し、運用することにしたのです。その結果、顧客に関するリアルタイムのデータや、キャンペーンごとのマーケティング効果などを正確に把握できるようになり、顧客に合わせた売上管理を実現することができました。
事例②:株式会社エヌ・ティ・ティピー・シーコミュニケーションズ
次にご紹介する事例は、ネットワークサービスを提供している株式会社エヌ・ティ・ティピー・シーコミュニケーションズ(以下、NTTPC)です。NTTPCは営業業務の属人化や施策効果が可視化されていないという課題を抱えている中、顧客行動やマーケティング・営業プロセスの可視化を目的としてCRMを導入しました。
各マーケティングプロセスで得た顧客情報や営業部門が保有するデータをCRMに集約した上で、公式サイトの問い合わせフォームを全てCRMで作成したのです。結果、顧客の流入経路や行動に関するデータを可視化でき、確度の高い見込み顧客数を約2倍増加させることができました。
事例③:ソウルドアウト株式会社
続いてご紹介するのは、ネットビジネス支援事業を行うソウルドアウト株式会社の事例です。ソウルドアウトはアウトバウンド(企業から顧客に対して宣伝などを行う手法)型の営業が中心となっていたため、営業部門への負荷が集中し、業務効率も低くなっていました。
そこでインバウンド(顧客からの問い合わせを増やす手法)への転換と効率的なアプローチを目的として、CRMを導入しブログやダウンロードコンテンツを作成したのです。その結果、ブログなどを中心にインバウンドでの見込み顧客流入が実現し、営業担当者の負荷も減少させることができました。
事例④:フローバル株式会社
配管部品の開発・製造を行うフローバル株式会社の事例もご紹介します。フローバルは、配管部品.comというサイトを運営していましたが、サイトの認知やサイト経由での成約に課題を抱えていました。
そこでCRMを導入し、集約した顧客データを元に細かな顧客セグメント分析を行い、その分析内容に基づいたメルマガを配信したのです。その結果、メルマガからの売上が倍増しただけでなく、効果の低いメルマガなどが浮き彫りとなり、費用対効果の高いマーケティング活動を実現しました。
事例⑤:株式会社東洋経済新報社
最後にご紹介するのは、東洋経済オンラインなどを運営する株式会社東洋経済新報社の事例です。東洋経済新報社は紙メディアの読者データやオンラインメディアの会員データ、法人顧客のデータなどが分散しており、さらにオンラインメディアの来訪者データを把握できていないといった課題を抱えていました。
そこでCRMを導入し、多岐にわたる顧客データを統合する取り組みを行ったのです。その結果、サブスクリプション制のオンラインメディアについて、離脱の原因分析や対策検討といった具体的なアクションに繋げられるようになりました。
7.CRM活用を成功させるポイント
事例を確認いただいたところで、CRM活用を成功させるポイントについて確認していきましょう。
ポイント①:導入目的と導入成果を明確にする
ポイントとしてまず挙げられるのは、導入目的と導入成果を明確にするという点です。
なぜCRMを導入するのかを明確にしておかなければ、現場で実際に利用するメンバーが活用の意義を見出せず、結局活用されなくなってしまうといったリスクが生じてしまいます。
また、CRM導入によって「どういった成果を得たいのか」といった点も、目的と併せて明確にしておきましょう。導入目的と導入成果双方を明確にしておくことで、必要なアクションや管理すべき情報の精査ができ、精度の高い運用を実現できるのです。
ポイント②:運用体制を整備する
二つ目のポイントは、運用体制を整備するという点です。
先ほどCRMの導入にあたって業務フローを再構築すると述べましたが、運用体制自体を整備することも必要になります。
CRMを組み込んだマーケティング活動を行う上で、必要な人材を確保し、CRMを活用できる運用体制を構築しましょう。顧客に関する情報入力は各担当者が行うとして、入力情報を分析して示唆を導く担当などを設置しておくことで、成果を最大化させることができます。
ポイント③:ツール運用の定着化に力を入れる
続いてのポイントは、定着化に力を入れるという点です。
CRMに限った話ではありませんが、これらのツールは定着するまで時間がかかります。
とはいえ、時間をかければ勝手に定着するというものではありません。定着化させるための様々な取り組みを通して、ようやく現場にCRMの存在が溶け込み、利用することが当たり前の環境を生み出せるのです。定着化させるための方法については、後ほどご紹介します。
ポイント④:データの入力と更新を徹底する
データの入力と更新を徹底するという点も、重要なポイントになるでしょう。
CRMで成果を出すには、CRMに適切にデータが蓄積される必要があります。
またデータを蓄積するだけでなく、情報を常に最新にしておくために、定期的な更新を行う必要があるでしょう。そのためには業務フローの再構築と併せて、データ入力や更新を行うタイミングを明確にした上で、入力漏れを防ぐための対応が求められます。
ポイント⑤:上層部の理解や協力を得る
次に挙げられるのは、上層部の理解や協力を得るという点です。
CRMは効果が出るまでにある程度時間がかかるため、周りから「多くの費用をかけたのに、何も成果を生み出していない」といった、ネガティブな印象を抱かれてしまうリスクがあります。
そのため、あらかじめ成果を得るには中長期の運用が必要である旨を上層部に対して説明し、理解を得ておく必要があるのです。上層部の理解を得ておくことで、仮にネガティブな意見が出ても、トップダウンでCRMの必要性などを伝えてもらうことができ、周りの理解や納得も得やすくなります。
ポイント⑥:分析と改善のPDCAを継続する
ポイントの最後に挙げられるのは、分析と改善のPDCAを継続するという点です。
CRMのデータを分析し、アプローチを改善したとしても、一度の改善で精度が一気に高まることは稀と言えます。
分析結果から仮説を立て、実際の施策に反映させて検証を重ねていくという作業を、何度も繰り返して行うことで、はじめて精度の高い改善に繋げられるのです。そのためにはCRMを導入しただけで満足するのではなく、分析とアプローチ改善のPDCAサイクルを継続的に回していきましょう。
参照:【初めてのデータ分析】ビジネスマン必須スキル!知っておきたいデータ分析の基本
8.CRMを定着化させる方法
最後にCRMを定着化させるための方法をご紹介します。
方法①:導入前の教育を実施
一つ目に挙げられるのは、導入前にCRMに関する教育を現場に対して実施すると言う方法です。
CRMが何かは勿論、導入の目的や活用することで現場にとってどんなメリットがあるのかといった点を、しっかりと伝える場を設けましょう。
また導入予定のCRMに関する資料や、分かりやすいマニュアル・FAQなどを事前に準備しておくことで、定着しやすくなります。
方法②:運用負荷をできる限り減らす業務フローの設計
現場の運用負荷をできる限り減らす業務フローを設計することでも、定着化に繋げることができます。
CRMを導入したからには、これまでになかった作業がどうしても発生してしまいますが、その負荷を丸ごと現場に投げてしまっては、定着するどころか使われなくなってしまうでしょう。
そのため現場メンバーでなければならない作業以外は、管理側や別の部門に対応してもらうなど、業務フローの設計において工夫する必要があるのです。
方法③:マネジメントによる積極的な活用
続いて挙げられるのは、マネジメントによる積極的な活用です。
マネジメント側が会議体や日々の業務コミュニケーションにおいて、積極的にCRMのデータを基に会話や意思決定を行うことで、現場に対してCRMを活用する方針や意思を明確に示すことができます。
ただ単に使うように指示するよりも、マネジメントが率先垂範している中で、活用していくように指示する方が現場からの納得感も得やすく、定着も見込まれるのです。
方法④:RPAの活用
RPA活用も有効な方法となります。
RPA(Robotic Process Automation)とは、ロボット技術を活用して単純作業を自動化させる手法です。
CRM運用とRPAを併せて活用することで、入力作業といった単純業務を自動化できます。入力を中心とした単純作業が削減されれば、現場の負荷も減少し、継続して運用される可能性も高くなるでしょう。
方法⑤:定着支援サービスを利用する
方法の最後にご紹介するのは、定着支援サービスの利用です。
CRMを提供するベンダーの中には、現場への定着支援を行ってくれるベンダーもあります。
こういったベンダーが提供しているサポートを積極的に活用することで、CRMの現場定着を促進できるでしょう。
参照:Salesforceを定着化させるには?活用課題や定着化に向けたハードル、取り組み事例を解説
9.まとめ
今回はCRMをテーマに概要や機能、導入ステップや活用のポイントなどをまとめて解説してきましたが、いかがでしたか。
新規顧客の獲得が難しくなっている状況において、既存顧客と関係性を構築し、LTVを最大化させるアプローチは、あらゆる企業にとって重要な課題と言えます。良好な関係性を構築するには、顧客が求めているものを深く考察し、適切なタイミングで適切な情報やコンテンツを提供していかなければなりません。そういった取り組みにCRMは必要不可欠なツールと言えるでしょう。
ぜひこの記事を参考にCRMの導入や活用をご検討ください。
Strhではマーケティング戦略の策定から施策の実行支援まで、ワンストップでのご支援が可能です。マーケティング活動でお困りごとがございましたら、まずはお問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。
執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀
大学卒業後、株式会社TBI JAPANに入社。株式会社Paykeに取締役として出向し訪日旅行者向けモバイルアプリ及び製造小売り向けSaaSプロダクトの立ち上げを行う。
アクセンチュア株式会社では大手メディア・総合人材企業のセールス・マーケティング領域の戦略策定や業務改革、SFA・MAツール等の導入及び活用支援業務に従事。
株式会社Paykeに再入社し約10億円の資金調達を行いビジネスサイドを管掌した後、Strh株式会社を設立し代表取締役に就任。
▼保有資格
Salesforce認定アドミニストレーター
Salesforce認定Pardotスペシャリスト
Salesforce認定Pardotコンサルタント
Salesforce認定Sales Cloudコンサルタント