【CXとは?】カスタマーエクスペリエンスの意味から向上のための活用方法を解説!

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【CXとは?】カスタマーエクスペリエンスの意味から向上のための活用方法を解説!

この記事でわかること

  • カスタマーエクスペリエンスとは?
  • カスタマーエクスペリエンスとユーザーエクスペリエンス・カスタマーサティスファクション・カスタマーサクセスとの違い
  • カスタマーエクスペリエンスが重要視される理由
  • カスタマーエクスペリエンスの向上によるメリット
  • カスタマーエクスペリエンス向上の事例

執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀

カスタマーエクスペリエンス(Customer Experience=CX)とは、「顧客体験」や「顧客体験価値」というように訳されます。マーケティングの考え方の一つで、顧客が商品やサービスに触れることで得られた体験を価値として提供することに重きを置くことを言います。

CXは企業や顧客にどのように関わってくるのでしょうか。この記事では、CXの言葉の意味から特徴、そしてCXの重要性と向上させるメリットなどをわかりやすく紹介します。今後のマーケティング戦略の参考にしてみてください。

カスタマーエクスペリエンスとは?

カスタマー エクスペリエンスとは、略してCXとも呼ばれるビジネス用語のひとつで、「顧客が体験する価値」を意味します。「顧客が体験する価値」を意味します。顧客が製品またはサービスを購入したときに購入したものだけではなく、購入時に得る体験も含めてCXと呼びます。

顧客がある製品やサービスを購入するとき、企業との接触や対話を通じて得る全体的な体験を指し、これは該当の商品やサービスだけでなく、顧客が企業との接点全体において感じる感情や満足度など心理的価値を指します。これらを改善することで、顧客満足度の向上や、企業の成長につながると考えられているのです。

具体的には、ある製品を購入した際に、購入後のフォローやメンテナンスを手厚く実施している企業は、顧客に対して購入製品以外でも価値ある体験を与えたということになります。

また、サービスを購入する際に購入者が気持ち良いと感じる接客対応や、店内の雰囲気が好ましい、ということも高いCXを提供することができると言えます。

顧客の価値観が多様化する中で、いかに顧客が満足感を得られる体験を提供できるかどうかがということが重要になってきています。

CXと他の用語との違い

ビジネス用語のなかには、CXと間違えやすい用語がいくつかあります。この章ではそれぞれについて解説します。

ユーザーエクスペリエンス(UX)との違い

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ユーザーが、ひとつの商品やサービスを通じて得られる体験にのみ限定した体験のことを指します。これと比較してCXは商品・サービスの認知、購入の検討、購入など、企業と顧客の一連の流れで得られるすべての体験のことを示します。

例えば、飛行機を利用した時に得る体験はUXですが、チケットを検索したり、窓口で購入、またはカスタマーサポートに問い合わせるといった、飛行機の利用に関わる全ての体験をひとまとめにしたのがCXです。CXには、商品やサービスを利用することで得られる体験も含まれるため、UXはカスタマーエクスペリエンスの一部分であるといえます。つまり、UXはCXの中にUXが内包されているものと考えて良いでしょう。

カスタマーサティスファクション(CS)との違い

 

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CSは顧客満足度のことで、顧客が商品・サービスを利用してどの程度満足したかを数値化したものです。CXに対する顧客からのフィードバックがCSに繋がります。企業が継続的に利益を出していくためには良い顧客体験を提供し、CSを維持ないし向上させることが重要と言えます。

具体的には、CSは顧客の満足度の維持や不満を解消することを目的として行われますが、CXはマイナス要因をなくすことや満足度を維持することを重要視するのではなく、顧客に対して期待以上の体験価値を提供することを目的とします。

顧客の行動プロセスを可視化する際には、カスタマージャーニーマップを利用すると便利です。こちらの記事でカスタマージャーニーについて詳しく解説しています。

また、ダウンロードしてすぐにご活用いただける無料テンプレートも公開しておりますので、是非ご覧ください。

カスタマーサクセスとの違い

カスタマーサクセスとは「顧客のビジネス成果を最大化することを目的とした、顧客との継続的な関係を構築するプロセス」のことです。カスタマーサクセスとCXの違いは、顧客を成功へ導く施策であるか顧客の体験を計測し向上させる施策であるかです。

カスタマーサクセスとは、どのような活動をすれば顧客の成功に寄与できるのかを明らかにし、定量・定性的に評価することで達成度合いを見える化します。顧客が設定した目標を達成し、事業として成功できるようサポートするのに対し、CXは顧客の体験を向上させるようにアプローチするものです。いずれも顧客をフォローするという観点では同じように見えますが、フォロー後に達成させたい目標が異なってきます。

カスタマーサクセスについて詳しくはこちらの記事で解説していますのでぜひご覧ください。

なぜCXが重要視されるのか

スマートフォンの普及に伴い、インターネット上の多彩なサービスが登場し、顧客との接点も多様化している中で、SNSやウェブサイトを通して情報収集を行うことは、今や当たり前の世の中になりました。個人の情報発信も活発になり、SNSやブログで発信する情報が、企業の商品やサービスの評判に影響を与えるようにまでなっています。これは企業と顧客との接点が飛躍的に増加し続けていると言えるため、提供する顧客体験の質の高さというものはますます重要になってきています。

また、顧客との接点を通じて得られた情報を活用し、顧客の属性や嗜好に合わせたサービスを提供することが可能になったことも、CXの重要性を高める要因であると言えます。生活スタイルや価値観の多様化などにより、従来のように商品・サービスを一方的に押し付けるだけでは、顧客はその商品やサービスを購入してくれません。オンラインやリアル店舗にかかわらず、顧客が商品やサービスの購入・利用にあたって満足感や顧客の期待を超えた体験を提供するということが、極めて重要になっていると言えるのです。

CX向上によるメリットとは?

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多様な商品やサービスが市場にあふれる今、商品やサービスの価格や機能といった部分だけで、競合他社と差別化するのが困難です。このような状況で、良質CXを提供することができれば、競合他社との差別化につながりますし、顧客満足度を上げ、顧客の定着化や長期的な企業価値の向上を実現できるのです。

ここではCXの向上により得られるメリットを具体的に4つ紹介します。

1.リピーター・ファンの獲得

CXを向上させ顧客からの評価が上がれば、ロイヤルカスタマーやリピーターの獲得につながります。「またこの企業の商品を使いたい」と感じてもらえれば、継続して商品・サービスを利用してもらえる可能性が高くなり、売り上げの安定化にもつながるでしょう。

2.ブランディングの向上

CXの向上に継続的に取り組むと、ファンが増える=ブランドイメージの向上にもつながります。ブランドイメージが向上することで、リピート顧客の増加だけでなく、社会的な評価が向上する利点もあり競合他社との差別化に役立ちます。また、企業や商品の認知度も向上させることができます。

良質なCXを提供することで顧客の製品に対するロイヤリティ(愛着)が高まり、一定数がファン化します。ファン化した顧客が増えれば、既存顧客からの売上増加に期待できます。

3.口コミが宣伝になる

顧客に良質なCXを提供し信頼関係を構築することができれば、SNS等で口コミを発信してくれます。顧客によるリアルな口コミは宣伝として効果的です。口コミによって良い評判が広まれば多くの人に商品・サービスを知ってもらうことができ、新規顧客獲得にもつながります。個人が世界へ向けて簡単に情報を発信できるようになり、これにより企業が広告宣伝費をかけずとも、優良顧客によって勝手に製品やサービスの魅力が広がっていくという現象が起こっているのです。

4.競合との差別化

商品・サービス自体の価値に顧客体験を通じた感情面での価値をプラスすることによって、自社の商品・サービスを選んでもらえるようになります。わずかな価格差でも、少しでも安いほうへと顧客は流れてしまう傾向にあるため、サービス自体の価値に加えて、体験を通じて顧客の需要にマッチする体験を提供できれば、競合より優位に立つことが可能です。

CX向上に向けた他社事例

ここでは他社がどのようにCXの提供を進めてきたのか、成功事例を紹介します。

1.スターバックス

スターバックスでは、自社のミッションを実現するための方法として顧客への特別な体験の提供を積極的に採り入れています。

店舗を「サードプレイス(第三の場所)」というコンセプトで位置付けており、家具やディスプレイなど店内の内装にこだわったり、落ち着いたBGMを流したりするなど、顧客に上質なひとときを与えられるよう工夫しています。接客、香り、BGMなど、来店することで得られるすべての体験を「スターバックス体験」としており、コーヒーという商品を提供するだけでなく、スターバックスで得られる体験そのものを提供し、顧客獲得につなげているのです。

2.ザ・リッツ・カールトン

世界規模でホテルチェーンを展開しているザ・リッツ・カールトンは、顧客の期待以上のサービスの実現に向けて、ES(従業員満足度)とCS(顧客満足度)を重視した経営を行っています。具体的にはスタッフに1日2,000ドルという、高額な決裁権を与えています。顧客のわずかな言葉や態度を見逃さず、顧客の期待以上の感動を生むサービスを行うためであり、だからこそ、迅速・的確なサービスが実現できるのです。

また、接客の際には顧客に対しどんな要望にも「No」と言わないことを徹底しています。代替案を提案するなど、スタッフが自ら考え、高い意識を持った対応を行っています。

1日2,000ドルの決裁権の実現は難しくても、想像がつかないような驚きのサービスを考えられれば、顧客の心を掴めるかもしれませんね。

3.ANA

ANA(全日本空輸株式会社)は社内にCX推進室を置き、CX向上に向けてさまざまな取り組みを行っています。コロナ禍の減便時にも、丁寧な接客態度で高い評価を得ており、2022年のCXランキングで3位にランクインしたほどです。

顧客の体験シーンを28個に整理した「ANA  Customer Experience」では、顧客の旅の流れを28個のシーンとしてとらえ、それぞれのシーンをシームレスにつないで、最高の顧客体験を提供できるように努めています。

また、企業の長期的成長を目指すESG経営の一環として、「ANA Future Promise」にも取り組んでいます。具体的には地域の人々や文化、環境に貢献するための支援活動や、CO₂削減や資源循環の取り組み、医療や人道支援などが含まれます。また、NPSを活用してCXを数値化し、顧客の不満解消に取り組むことで、サービスの改善を行っています。

4.オリエンタルランド

日本人のみならず、訪日外国人にも愛されているテーマパーク「東京ディズニーランド」を運営しているオリエンタルランド。常に最高のカスタマーエクスペリエンスを提供するために、ゲスト一人ひとりのニーズ・ウォンツを把握した対応を心がけていることが特徴です。キャスト(従業員)がサービスを提供するプロセスに、さまざまな指標・マニュアルが設けられています。

これにより、リピート率は9割以上へと伸び、東京ディズニーリゾート全体の入園者数も3,000万人を超えるほどの人気です。ゲストを杓子定規で捉えるのではなく、一人ひとりの人間として接しつつ、キャスト自身の工夫によって最高の顧客体験を提供しています。

近年は、IT分野への投資も積極的に行っています。来園者の混雑緩和やアトラクションの待ち時間軽減を目指しており、専用アプリではクーポンの発行やトレンド情報の発信も可能です。

5.星野リゾート

「星のや」や「リゾナーレ」など、さまざまなリゾート施設を運営している星野リゾート。1990年代から継続して綿密な顧客満足度調査を実施しており、顧客の生の声を集めることに注力しています。顧客がどういったニーズをもち、どのような点に満足しているか、逆にどこに不満をもっているかを顧客の声やフィードバックをもとに、客観的なデータとして捉えるよう努めています。またさまざまな顧客体験のどの要素が利益に直結するのかを導き出し、どのような活動に注力すべきかを明らかにしているのも特徴です。つまり、顧客体験をデータとして捉えることで、顧客満足度と利益の双方に貢献しているといえるでしょう。

さらに、スタッフには複数の業務を担当するマルチタスクを義務化しており、広い視点から提供するサービスを捉えられるように設計。全員が顧客と向き合う体制を整えているからこそ、カスタマーエクスペリエンスが向上し成長し続けられているといえるでしょう。

6.Amazon

Amazonが世界最先端企業になれた要因は、「地球上で最も顧客第一主義の会社」のビジョンと、カスタマーエクスペリエンスへのこだわりだと言われています。Amazonの創業者ベゾスは、品ぞろえを増やして顧客の選択肢が増えれば、カスタマーエクスペリエンスが高まると考えました。Amazonのサイトに人が集まれば、Amazonでモノを売りたい事業者が集まり、さらに品ぞろえが増えてカスタマーエクスペリエンスが高まる好循環が生まれます。また「低価格・品揃え・迅速な配達」に重要なニーズがあり、このニーズは今も昔も将来も求められていると考えています。

また、人は利便性が高まってもそれまで感じていなかった不便を感じ取るようになるため、要求されるサービスもより高度に変化することです。そのため、Amazonはどれだけ商品やサービスを進化させたとしても、さらなる進化を求めて歩みを続けています。

事実、閲覧・購入履歴に合わせておすすめの商品を表示するレコメンド機能をはじめ、Amazonは新しい価値を提供し続けており、企業としての地位を確固たるものにしています。

これらのように多くの企業がCXの改善に力を入れており、ここで紹介した以外の企業でも素晴らしい取り組みをされている企業事例は数多く存在します。この機会に事例を探してみてはいかがでしょうか。

まとめ

CXとは顧客が商品を購入する際の体験だけにとどまらず、購入前から購入後のサポートまで一貫した購買プロセスをとりまく重要な体験であり、より良質なCXの提供は、顧客満足度の向上に繋げることができたり、様々なプラスの相乗効果を発揮することが可能になります。

Strhはお客様のマーケティング課題に合わせたソリューションのご提案はもちろんのこと、お客様のリソースや活用状況に合わせたオーダーメイドのCX改善をサポートいたします。

まずはお気軽にお問い合わせフォームよりご相談をお待ちしております。

執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀

大学卒業後、株式会社TBI JAPANに入社。株式会社Paykeに取締役として出向し訪日旅行者向けモバイルアプリ及び製造小売り向けSaaSプロダクトの立ち上げを行う。
アクセンチュア株式会社では大手メディア・総合人材企業のセールス・マーケティング領域の戦略策定や業務改革、SFA・MAツール等の導入及び活用支援業務に従事。
株式会社Paykeに再入社し約10億円の資金調達を行いビジネスサイドを管掌した後、Strh株式会社を設立し代表取締役に就任。

▼保有資格
Salesforce認定アドミニストレーター
Salesforce認定Pardotスペシャリスト
Salesforce認定Pardotコンサルタント
Salesforce認定Sales Cloudコンサルタント

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