Salesforceの重複ルールとは?一致ルールとの違いや具体的な設定方法について解説

この記事をシェアする

         x facebook
Salesforceの重複ルールとは?一致ルールとの違いや具体的な設定方法について解説

この記事でわかること

  • Salesforceで重複ルールを設定するメリット
  • Salesforceにおける一致ルール・重複ルールの設定方法
  • 重複ルールを活用する際の5つの注意点

執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀

自社の取引先データや営業活動データを有効活用するために、Salesforceを導入されている企業はたくさんいらっしゃるかと思います。

そういった企業のご担当者様から、弊社によくご相談いただくことの一つが「重複データの管理」についてです。

Salesforceの運用が始まり、営業メンバーやマーケティングメンバーが進んでデータの入力をしてくれるようになると、「Salesforceに同一企業が存在していて、どちらにデータを紐づけて良いかわからない」といった課題が発生します。

これはユーザーが既存データの確認を怠ってしまい、新規で取引先などのレコードを作成してしまうことに起因しており、放っておくと自社のSalesforceデータはどんどんと正確性を失ってしまい、扱いにくいデータになってしまいます。

そこで本記事では、Salesforceの標準機能である「重複ルール」を用いた重複データの管理方法について、その概要や設定方法について解説します。

自社のSalesforceに蓄積されたデータを社内外で有効活用するためにも、ぜひ本記事を参考に重複データ管理方法について検討してみてください。

まずSalesforceの全体概要について詳しく知りたいという方はこちらの記事からご確認ください。

はじめに、Salesforceの重複ルールとはなにか、その重要性や概要について解説します。

Salesforceの重複ルールとは?

重複ルールの管理は、重複データが増えてしまうことを防ぐため、Salesforceの運用初期に正しく設定することが非常に重要です。

重複データが存在することで起こる問題や重複データを管理するためのSalesforce機能について改めてご認識いただいた上で、自社のSalesforce環境を見直すきっかけにしてみてください。

Salesforceで重複ルールを管理することの重要性

まずは重複ルールを管理することの重要性について、そのメリットと重複データが存在することで起こりうる問題の両面から解説します。

社外の信頼性を高める

重複データの削減は、顧客や取引先との信頼関係を築く上で非常に重要です。

例えば、取引先や取引先責任者のレコードに重複データが存在すると、レコードの最新性を管理することが難しくなり、複数の異なる営業担当から同一内容のメールや連絡をしてしまう懸念があります。

連絡を受けた企業の担当者は、自身の連絡先データ管理が正しくされていないことやテンプレートのようなメールを複数受け取ることで、その企業に対する信頼性を失ってしまいます。

また、顧客情報が重複していると、過去のやり取りが正確に把握できず、顧客対応が不適切になる可能性もあります。

結果として、BtoBマーケティングにおいて重要であるカスタマーサクセスが上手くいかず、会社全体の売り上げが下がってしまうことにもつながります。

カスタマーサクセスについて詳細を知りたい方は以下の記事も参考にしてください。

参考:カスタマーサクセスとは?役割や具体的な施策について解説

社内の業務効率を向上させる

社内での業務効率を向上させるためにも、重複データの削減は不可欠です。

重複データが存在すると、顧客の同じ情報が複数の場所で管理され、更新や検索に余計な時間がかかります。

限られた時間の中で、営業担当者がアプローチできる取引先担当者数にも影響してしまい、マーケティング活動においては、Salesforceから送信できるメール上限数の無駄使いにもつながるため、効率的な事業活動の妨げとなってしまいます。

また、分析やレポート作成においてもデータの整合性が保たれず、重複データから誤った結果が導き出され、正しい意思決定ができないリスクがあります。

重複データを削減することは、企業の評価や売上においても重要な要素の一つと言えます。

Salesforceの重複ルールと一致ルールの違い

./media/Salesforceの重複ルールとは?一致ルールとの違いや具体的な設定方法について解説/duplicate-rules

次に、Salesforceの重複ルールについて、概要を見ていきましょう。

重複ルールは同じくSalesforceの「一致ルール」と合わせて取り扱う機会が多いため、それぞれのキーワードについて違いを踏まえて解説します。

重複ルール

Salesforceの重複ルールとは、新規保存・更新されるデータが既存データと重複すると判断された際に実行されるアクションのルールを指します。

例えば、同一名の顧客情報が登録される際に、Salesforceが既存レコードと一致するかを確認し、重複が検出された場合にユーザーへアラートを表示したり、保存をブロックすることができます。

また、取引先・取引先責任者・リードには「標準重複ルール」も用意されており、重複データの発生を防ぐための運用をすぐに開始することも可能です。

<標準重複ルール>

標準重複ルール

一致ルール

一方で一致ルールとは、重複レコードを検出するためのルールを設定する機能です。

「重複ルール」は重複レコードが見つかった際のアクションを決めるのに対して、「一致ルール」はレコードが重複していると判断するための基準を定義します。

例えば、既存レコードと新規作成レコードにおいて、メールアドレスや名前など特定の項目が一致している場合、2つのレコードは”重複している”と判断されます。

任意に設定した一致ルールに基づいてSalesforceは一致するレコードを検出し、重複ルールと連携して重複データの保存をブロックする際のアクションを起こすことができるため、2つのルールは組み合わせて活用されます。

また、一致ルールにも重複ルールと同様に「標準一致ルール」が用意されています。

<標準一致ルール>

標準一致ルール

Salesforceの一致ルール・重複ルール設定方法

ここまでSalesforceの重複ルールについて、概要や重要性について解説いたしました。

ここからは実際にSalesforceの重複ルールを設定する方法について、一致ルールの設定方法と合わせて、キャプチャを用いて解説します。

ぜひ本章を参考に、自社の運用に沿った重複ルールの設定をしてみてください。

一致ルールの設定方法

はじめに一致ルールの設定方法について解説します。

1.Salesforceの「設定(右上の歯車アイコンから選択)」をクリック

1.Salesforceの「設定(右上の歯車アイコンから選択)」をクリック

2.左側にある「クイック検索」ボックスに「一致ルール」と入力し、表示される「一致ルール」 を選択

2.左側にある「クイック検索」ボックスに「一致ルール」と入力し、表示される「一致ルール」 を選択

3.「新規ルール」をクリック

3.「新規ルール」をクリック

4.新規に作成する一致ルールを適用する任意のオブジェクトを選択し、「次へ」をクリック

※本記事では「取引先」オブジェクトを対象に「取引先の名前が一致しているか判断する」ためのルール作成を行います。

4.新規に作成する一致ルールを適用する任意のオブジェクトを選択し、「次へ」をクリック

5.「ルールの詳細」および「一致条件」を設定し、「保存」をクリック

※「一意の名前」とは、APIなどプログラム上で作成した一致ルールを認識するための名称です。

また、「説明」は任意入力ですが、後から作成したルール内容がすぐにわかるように記載することを推奨します。

「空白項目をマッチング」にチェックをつけることで、「比較対象レコードの該当項目が両方空白の場合も”一致”していると判断」されるため、自社Salesforceに空白項目を含むレコードを作成されることを防ぐことにもつながります。

5.「ルールの詳細」および「一致条件」を設定し、「保存」をクリック

6.新規ルールを保存後、「有効化」をクリック

6.新規ルールを保存後、「有効化」をクリック

7.「状況」が「有効」になったことを確認して完了

7.「状況」が「有効」になったことを確認して完了

重複ルールの設定方法

次に重複ルールの設定方法について解説します。

重複ルールを設定する上で、本記事で作成した一致ルールを用いるため、まだ作成していない方はまず一致ルールの作成から行いましょう。

1.Salesforceの「設定(右上の歯車アイコンから選択)」をクリック

1.Salesforceの「設定(右上の歯車アイコンから選択)」をクリック

2.左側にある「クイック検索」ボックスに「重複ルール」と入力し、表示される「重複ルール」 を選択

2.左側にある「クイック検索」ボックスに「重複ルール」と入力し、表示される「重複ルール」 を選択

3.「新規ルール」をクリックし、重複ルールを設定する任意のオブジェクトを選択

※本記事では「取引先」オブジェクトに重複ルールを設定します。

3.「新規ルール」をクリックし、重複ルールを設定する任意のオブジェクトを選択

4.新規に作成する一致ルールを適用する任意のオブジェクトを選択し、「次へ」をクリック

※本記事では「取引先」オブジェクトを対象に「取引先の名前が一致しているか判断する」ためのルール作成を行います。

4.新規に作成する一致ルールを適用する任意のオブジェクトを選択し、「次へ」をクリック

5.「ルールの詳細」および「アクション」「一致ルール」を設定し、「保存」をクリック

※レコードセキュリティレベルは「共有ルールを適用」を選択することを推奨します。

「共有ルールをスキップ」は、レコードの重複を検出する際に「ユーザーのアクセス権に関係なくすべてのレコードが比較」されます。そのため、実際に重複データが見つかった際に、ユーザーがアクセスできる対象レコードではないため、対応が困難になってしまう場合があるので注意してください。

「アクション」では、取引先の名前が重複するレコードを作成した時にユーザーへアラートを出すため、「作成時のアクション」と「編集時のアクション」を「許可」にし、「アラート」(任意で「レポート」にも)にチェックを入れておきましょう。

5.「ルールの詳細」および「アクション」「一致ルール」を設定し、「保存」をクリック

6.新規ルールを保存後、「有効化」をクリック

6.新規ルールを保存後、「有効化」をクリック

7.「有効」にチェックが入ったことを確認して完了

7.「有効」にチェックが入ったことを確認して完了

Salesforceの重複ルールを活用する際の5つの注意点

.media/Salesforceの重複ルールとは?一致ルールとの違いや具体的な設定方法について解説/duplicate-rules

Salesforceの重複データを管理するために必須の重複ルール・一致ルールですが、活用する上でいくつか注意すべき点があるため本章で解説します。

重複ルールと一致ルールの上限数

各オブジェクトで有効化設定できる重複ルールは最大 5 件です。

また、一つの重複ルールには最大3件の一致ルールを追加することが可能ですが、オブジェクトごとに設定できる一致ルールは一つのみで、重複ルールを複数使用する際には最大5件の有効な一致ルールを含めることが可能です。

そのため、一致ルールや重複ルールはオブジェクト毎にあまり細かく分けて作らないようにしましょう。

※重複ルールに同一オブジェクトの一致ルールを設定する際のエラー表示

重複ルールに同一オブジェクトの一致ルールを設定する際のエラー表示

重複・一致ルールとユーザアクセス権の関係

重複ルールと一致ルールを設定した際に一致ルールが重複を判定するため、ユーザーが参照する項目へのアクセス権を持っていない場合は重複ルールが動作しません。

例えば、営業担当者が取引先の電話番号へのアクセス権を持っていない場合、システム管理者がその項目を使用する一致ルールを作成しても、営業担当者がレコードを作成・更新する際に重複は識別されません。

グローバル選択リストでは重複ルールが動作しない

重複ルールによるアクションは、グローバル選択リスト値では動作しません。

<グローバル選択リスト>

グローバル選択リスト

重複ルールが実行されない場合

次の場合、重複ルールが実行されず重複レコードが保存されてしまいます。

  • リードが取引先または取引先責任者に変換され、さらに「Apex リード変換の使用」が有効でない場合
  • 「復元」ボタンを使用してレコードを復元した場合

重複ルールのアラートが表示されない場合

次の場合、重複ルールによるアラートは表示されず、レコードの保存ができません。

  • データインポートツールを使用してレコードを追加した場合
  • Salesforce API を使用してレコードを追加または編集した場合

SalesforceAPIについては以下の記事も参考にしてください。

参考:Salesforce APIの完全ガイド:基礎から応用まで徹底解説

まとめ

本記事では、Salesforceを効果的に運用するための一致ルールと重複ルールについて解説してきました。

自社のSalesforceに重複データが蓄積されるのを防ぐイメージはお持ちいただけたでしょうか?

Salesforceの重複ルールを正しく設定することで、自社の顧客データや営業活動データの価値を向上させ、社内外の業務効率につながります。

一方で、複雑すぎる重複ルールを設定するとユーザーのデータ入力の妨げとなる場合もあるため、現場のヒアリングを通して、自社にマッチした重複ルール設定をトライ&エラーで行うようにしましょう。

ストラではSalesforceへのデータ蓄積のルールを始め、Salesforceが自社内で効果的に運用されるための支援を幅広く行っています。
自社のSalesforce運用や現場の活用にお困りのご担当者様は、ぜひこちらのお問い合わせフォームより、まずは弊社へお気軽にご相談してみてください。

Salesforce、Sales Cloud、及びその他はSalesforce, Inc.の商標であり、許可のもとで使用しています

執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀

大学卒業後、株式会社TBI JAPANに入社。株式会社Paykeに取締役として出向し訪日旅行者向けモバイルアプリ及び製造小売り向けSaaSプロダクトの立ち上げを行う。
アクセンチュア株式会社では大手メディア・総合人材企業のセールス・マーケティング領域の戦略策定や業務改革、SFA・MAツール等の導入及び活用支援業務に従事。
株式会社Paykeに再入社し約10億円の資金調達を行いビジネスサイドを管掌した後、Strh株式会社を設立し代表取締役に就任。

▼保有資格
Salesforce認定アドミニストレーター
Salesforce認定Pardotスペシャリスト
Salesforce認定Pardotコンサルタント
Salesforce認定Sales Cloudコンサルタント

この記事をシェアする

x facebook