インバウンドマーケティングとは?メリットや手法、実施の流れまで詳しく解説
この記事でわかること
- インバウンドマーケティングとは?その他マーケティングとの違い
- インバウンドマーケティングが求められる背景
- インバウンドマーケティングのメリット・デメリット
- インバウンドマーケティングの具体的な手法や流れ
- インバウンドマーケティングの成功事例・失敗事例
- インバウンドマーケティングを成功に導くポイント
執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀
広告運用や営業活動でなかなか顧客を獲得できずに困っている。
この記事は上記のようなお悩みを抱えている方に向けて、インバウンドマーケティングという手法をご紹介します。
具体的にはインバウンドマーケティングの意味やメリット・デメリット、取り組みの流れや成功のポイントなどを簡単に解説していきます。成功事例や失敗するケースなどもご紹介しているので、ぜひ最後までご確認ください。
BtoBマーケティングの基本的な考え方や戦略策定のプロセスから知りたい方はこちらの記事も併せてご覧ください。
参考:BtoBマーケティングとは?戦略の立て方やそのプロセス、成功事例までプロが解説
目次
1.インバウンドマーケティングとは
はじめに、インバウンドマーケティングの概要や求められている背景などについて解説します。
インバウンドマーケティングの概要
インバウンドマーケティングとは、有益なコンテンツを提供することで、顧客の興味・関心を引きつけ、購買に繋げるためのマーケティング手法です。
WebサイトやSNSといった様々な顧客接点を活用しながら、顧客が必要とする情報やコンテンツを提供していくことになります。顧客の自発的な情報収集を前提とした手法となるため、顧客からネガティブな印象を抱かれやすい広告などとは異なり、顧客との良好な関係を構築する手法としても期待できるでしょう。
インバウンドマーケティングとその他のマーケティングとの違い
ここでインバウンドマーケティングとその他のマーケティングの違いについて、確認しておきましょう。
アウトバウンドマーケティングとの違い
アウトバウンドマーケティングとは、企業側が顧客に対して製品やサービスに関する情報を提供して購買を促進する手法です。インバウンドマーケティングとは異なり、あくまで企業側から消費者に対して働きかける手法と言え、広告やDM、テレビCMなどの手法が中心となります。
コンテンツマーケティングとの違い
コンテンツマーケティングは、顧客にとって有益なコンテンツを提供することで、顧客の購買意欲を促進させる手法です。インバウンドマーケティングに内包される概念と言え、ブログ記事やホワイトペーパーの提供など、オウンドメディアによるコンテンツ配信を中心とする形になります。コンテンツマーケティングの種類や基本手順、成功事例などはこちらの記事で詳しく解説しておりますので、ぜひご覧ください。
アカウントベースドマーケティングとの違い
アカウントベースドマーケティングとは、優良な顧客をターゲットアカウントとして設定し、そのアカウントからの売上を最大化させるための手法です。ターゲットアカウントである企業に特化したアプローチを実施することになり、インバウンドマーケティングに限らず、広告などのアウトバウンド的なアプローチも含まれます。
なぜインバウンドマーケティングが求められるのか
インバウンドマーケティングが求められる理由としては、以下の2点が挙げられます。
理由①:SNS・インターネットの普及による顧客行動の変化
一つ目の理由としては、SNSやインターネットの普及によって顧客行動が変化したことが挙げられます。企業からの情報を待つ受動的な購買行動から、自ら購買検討に必要な情報を集める能動的な購買行動が主流となったのです。
こういった背景の中で、顧客が求める情報を企業が提供する必要性が生じ、インバウンドマーケティングという考え方や手法が登場したと言えるでしょう。
理由②:アウトバウンドマーケティングの効果減少
先に挙げた顧客行動の変化によって、従来企業が展開していた広告やDMを中心とするアウトバウンドマーケティングの効果が相対的に減少したことも、理由として挙げられます。
顧客自らが情報を取りに行く手段が乏しかった時代では、アウトバウンドマ―ケティングも有効に作用していましたが、今では顧客は簡単に製品・サービスに関する情報を得ることができます。そのためインバウンドマーケティングの重要性が相対的に高まってきたのです。
【補足】顧客の購買検討プロセスについて
インバウンドマーケティングを理解する上で、押さえておくべき顧客の購買検討プロセスについて、基本的な内容を押さえておきましょう。インバウンドマーケティングでは、顧客の購買検討プロセスを以下の4つの段階に分けて考えていきます。
Attract(引きつける)
まだ自社のことを知らない未認知顧客に対してコンテンツを提供し、自社の製品・サービスを知ってもらう段階
Convert(理解を促進する)
自社製品・サービスを認識した見込み顧客に対して、興味や理解をさらに深めてもらうためのコンテンツを提供していく段階
Close(顧客化する)
自社製品・サービスへの理解も深まり、他社と比較しながら購買検討をしている見込み顧客に対して、自社を選んでもらえるようにアプローチしていく段階
Delight(満足させる)
既存顧客に対して、様々なコンテンツ提供やコミュニケーションを図ることで、リピート促進などを狙う段階
2.インバウンドマーケティングのメリット
続いてインバウンドマーケティングのメリットをご紹介します。
メリット①:費用対効果が高い
一つ目のメリットは費用対効果が高いという点です。
インバウンドマーケティングで制作するコンテンツは、一時的な運用となる広告とは異なり蓄積できるため、継続的に効果を発揮する資産となります。コンテンツが資産化すれば、広告を打たずとも集客や購買といった成果に繋げることができるため、高い費用対効果を発揮するでしょう。
メリット②:顧客との良好な関係が構築できる
二つ目のメリットは顧客との良好な関係が構築できるという点です。
インバウンドマーケティングでは、顧客が必要とする情報や役に立つコンテンツなどを提供していくことになります。顧客ニーズを押さえ、価値のあるコンテンツを提供し続けることで、顧客から良い印象を抱かれやすくなり、結果として良好な関係を築きやすいという特長があります。
メリット③:顧客データを細かく分析できる
顧客データを細かく分析できる点もメリットとして挙げられるでしょう。
インバウンドマーケティングでは、Webを介した施策を実施することが多くなります。そのため、Webトラッキングデータや広告へのリアクションといった顧客に関するデータを取得しやすいのです。これらの顧客データを分析することで、マーケティング施策改善などに活かすことができるでしょう。
メリット④:質の高い見込み顧客の獲得に繋げられる
次に挙げられるのは質の高い見込み顧客の獲得に繋げられるという点です。
インバウンドマーケティングに取り組むことで、見込み顧客の購買検討段階に合わせて、適切な情報やコンテンツを提供できます。これらの取り組みを通じて購買意欲を高めることができ、見込み度の高い顧客の獲得に繋げられるのです。
メリット⑤:SNSとのシナジーを発揮しやすい
SNSとのシナジーを発揮しやすいという点も見逃せません。
インバウンドマーケティングでは、様々なコンテンツを提供していくことになります。SNSはこれらコンテンツの拡散経路としても活用できるため、相性が良いのです。SNSは情報を発信できるだけでなく、見込み顧客の声を分析して施策改善に活かすソーシャルリスニングに活用できるなど、応用が利きやすい点も利点と言えるでしょう。
3.インバウンドマーケティングのデメリット
メリットを押さえていただいたところで、デメリットについても確認しておきましょう。
デメリット①:成果が出るまでにある程度の期間が必要
デメリットとしてまず挙げられるのは、成果が出るまでにある程度の期間が必要であるという点です。インバウンドマーケティングの中心となる手法はWebコンテンツの提供ですが、これらのコンテンツが実際に集客効果を発揮するまでには、ある程度の時間がかかります。そのためWeb広告やSNS広告などと比較して、即効性に乏しい点は注意が必要です。
デメリット②:情報発信を継続するための体制構築が必要
次に挙げられるデメリットは、情報発信を継続するための体制構築が必要であるという点です。インバウンドマーケティングで成果を挙げるには継続的な情報発信が必要であるため、取り組みは長期にわたるものになります。そのため情報コンテンツの制作や配信、効果検証から改善までのサイクルを、継続運用できる体制を構築することが求められるのです。
デメリット③:社内の理解が必要
社内の理解が必要である点もデメリットとして挙げられるでしょう。
先に挙げた成果が出るまでに時間がかかるという特性上、取り組みを開始しても効果がわかりづらく、社内から見ると無駄な取り組みのように映ってしまう恐れがあります。また多くのリソースを割いて運用体制を構築する必要もあることから、上層部を含めた関係者の理解を得た上で取り組まなければ、途中で頓挫してしまう可能性があるでしょう。
4.インバウンドマーケティングの具体的な手法
ここからはインバウンドマーケティングの具体的な手法について、先ほど紹介した購買検討プロセスごとにご紹介します。
Attract/認知段階における手法
Attract段階では、まだ自社のことを知らない未認知顧客を中心にアプローチしていきます。この段階での具体的な手法としては以下のようなものが挙げられるでしょう。
SEO
SEOは検索エンジン最適化のことを指し、Googleなどの検索エンジンで検索された際に上位表示されるようにする施策です。SEOを行い、自社製品・サービスに関連したキーワードで検索された際に上位に表示されれば、認知獲得に繋げることができるでしょう。
ブログ記事
見込み顧客にとって役に立つ情報を記事として提供していきます。
ブログ記事自体にSEOを施すことで、Webサイト自体のSEO効果も高まるため、より一層認知拡大が期待できます。品質の高いブログ記事が蓄積されれば、安定した認知獲得・集客効果を見込めるでしょう。
参照:オウンドメディアとは?意味やメリット、立ち上げの手順まで簡単解説
SNS運用
SNS運用もAttract段階に有効な手法です。
SNSを運用し、有益な情報などを投稿することで、SNSユーザーの認知を得ることができるでしょう。またX(旧Twitter)やInstagramは拡散力に優れているため、ブログ記事などのコンテンツの拡散経路としても有効活用できます。
Convert/調査・理解段階における手法
Convert段階では、自社のことを認知してはいるものの、まだ興味や関心の度合いが低い見込み顧客が主な対象となります。そのため以下のような手法を用いて、見込み顧客の興味・関心の度合いを高めていく必要があるでしょう。
メールマガジン
見込み顧客に対して役立つ情報やイベント開催のお知らせなどをメールで配信します。
顧客と定期的な接点を持つことができる上、理解してほしい情報をいくつかの段階に分けて配信することなども可能であるため、Convert段階における有力な手法になるでしょう。
参照:【マーケ担当者必読】メールマーケティングとは?メルマガとの違い、メリット・デメリット、具体的な手法等について解説
セミナー/ウェビナー
製品・サービスに関連するテーマのセミナーやウェビナーを開催します。
見込み顧客の抱えている課題とその解決策をテーマとしたセミナー/ウェビナーを開催し、解決策の一つとして自社の製品・サービスを紹介する形になるでしょう。また参加費用の有無によって、集められる見込み顧客の質や数が変わるため、目的に応じて費用設定を検討すると良いでしょう。
参照:ウェビナーとは?メリットや開催ステップ、おすすめ配信ツールをご紹介
Close/比較・検討段階における手法
Close段階では、自社製品やサービスについて関心が高まり、他社製品も含めて検討している見込み顧客に対して、自社を選んでもらえるようにアプローチしていきます。具体的には以下のような手法を活用することになります。
事例コンテンツ
自社の製品やサービスの事例を紹介するコンテンツは、Close段階において強力な手法となります。自社製品・サービスの強みや効果を、既存顧客の生の声と併せて事例コンテンツとして訴求することで、信憑性のある情報として見込み顧客に伝えることができます。既存顧客へのインタビューコンテンツなども用意できれば、より一層効果が増すでしょう。
ホワイトペーパー
ホワイトペーパーはブログ記事よりも専門的・技術的な内容をまとめた資料です。
ボリュームも多いため、購買意欲が高まってきた見込み顧客にとっては、価値のある情報として訴求できます。ホワイトペーパーの多くはダウンロードコンテンツとして提供するため、見込み顧客のメールアドレスなどを獲得する手段としても役立つでしょう。
参照:ホワイトペーパーとは?効果やメリット、作り方までまとめて解説【事例付き】
Delight/リピート・口コミ段階における手法
Delight段階は、既に一度自社の製品・サービスを利用したことがある既存顧客に対して、リピートやポジティブな口コミ拡散を促進するためのアプローチを実施します。
具体的には以下のような手法を用いることになるでしょう。
会員限定コンテンツやオプション
既存顧客に対して会員制度などを設け、限定コンテンツやオプションなどを提供します。
製品・サービスを利用する際の疑問に先回りして応えるコンテンツや、フォローなどのオプションサービスなどを用意しておけば、継続利用やリピート促進に繋げられるでしょう。
これら顧客ロイヤルティ(企業や製品・サービスへの愛着度)を高める施策を展開することで、既存顧客との関係性もより強固なものとなり、ポジティブな口コミの発生も狙うことができます。
チャットボット
チャットボットを活用することも手法として挙げられます。
既存顧客が抱く疑問に対して、タイムリーかつ的確に応えられるチャットボットを用意すると良いでしょう。チャットボットによって課題解決策を示したり、役立つ資料を案内したりすることで、既存顧客側の調べる工数を削減でき、顧客満足度の向上に繋げられます。
ソーシャルリスニング
ソーシャルリスニングに取り組むことで既存顧客の生の声を収集できます。
製品・サービスを実際に利用した感想にはポジティブなものもあれば、当然ネガティブなものも含まれます。こういったネガティブな声を的確に拾い、製品・サービス改善に繋げていくことで、継続利用やリピート促進を狙うことができるでしょう。
またポジティブな口コミを投稿者の許可を得た上でPRなどに二次利用すれば、新しい見込み顧客の獲得にも繋げることができます。
5.インバウンドマーケティングの基本的な流れ
具体的な手法をご確認いただいたところで、ここからはインバウンドマーケティングの基本的な流れを4つのステップに分けてご紹介します。
ステップ①:現状分析
はじめのステップは現状分析です。
自社製品・サービスの強み・弱みの分析は勿論のこと、競合製品・サービスに関する分析も実施する必要があるでしょう。また顧客ニーズについても、今満たせているニーズとまだ満たせていないニーズを整理し、現状を把握することが求められます。
さらにインバウンドマーケティングの運用体制における課題も、併せて抽出しなければなりません。運用体制を構築する上で、必要な人材やスキルが足りていなければ、新しい人材を確保するなどの対応が必要になるでしょう。
ステップ②:ペルソナ・カスタマージャーニーの策定
次に行うのはペルソナとカスタマージャーニーの策定です。
現状分析の内容も踏まえつつ、具体的なターゲット像であるペルソナを策定しましょう。
ペルソナを策定する際は年齢や性別といった人口統計的属性だけでなく、趣味や価値観、購買傾向といった心理的属性なども踏まえて作成することがポイントです。
詳細なペルソナが完成した後は、そのペルソナの各購買検討段階における悩みや抱えている課題、欲している情報などをまとめたカスタマージャーニーを策定します。購買検討段階については、先ほどご紹介した「Attract・Convert・Close・Delight」を活用しましょう。
ステップ③:コンテンツの設計・制作
続いては先のステップで策定しているカスタマージャーニーを基に、必要なコンテンツの設計や制作を実施していきます。
この際、コンテンツを単体で捉えるのではなく、コンテンツ同士の繋がりを俯瞰しながら設計を行うことが重要になるでしょう。コンテンツ同士が適切に繋がっていれば、AttractからDelightに至るまで効果的にアプローチすることが可能です。
また関係者間で「何のためにあるコンテンツなのか」について認識を揃えるためにも、設計したコンテンツは先述のカスタマージャーニーに追記することをおすすめします。
後は設計したコンテンツを実際に制作していくことになります。必要に応じて外部協力会社などを活用しながら、質の高いコンテンツを制作しましょう。
ステップ④:運用開始・効果検証
コンテンツの制作が終われば、インバウンドマーケティングの運用を開始します。
運用開始後は定期的に効果検証を行い、効果に応じてコンテンツを改善するなど、運用〜施策改善のPDCAを回していきましょう。また当初想定していたコンテンツ以外にも、必要となるコンテンツが出てくる可能性もあるため、その場合は追加コンテンツの制作も実施していくことになります。
6.インバウンドマーケティングの成功事例
続いてインバウンドマーケティングの成功事例をご紹介します。
成功事例①:サイボウズ株式会社
一つ目にご紹介するのは、サイボウズ株式会社の事例です。
参照:サイボウズ式
サイボウズは、会社組織のチームワーク向上などを支援するためのグループウェアを開発・提供している会社です。チームワークや組織作りに悩む顧客がターゲットであることから、「サイボウズ式」というオウンドメディアを運営し、組織作りのアイデアなどに関するブログ記事を提供しています。
成功事例②:アイリスオーヤマ株式会社
成功事例として次にご紹介するのは、アイリスオーヤマ株式会社の事例です。
参照:アイリス暮らし便利ナビ
アイリスオーヤマは、家電や収納用具といった生活用品を製造販売する企業であり、「アイリス暮らし便利ナビ」というオウンドメディアを運営しています。ECサイトも兼ねたオウンドメディア上で、自社製品の使い方は勿論、読み物としても楽しめる4コマ漫画などのコンテンツを提供しつつ、販売まで繋げている好事例と言えるでしょう。
成功事例③:シャープ株式会社
成功事例の最後にご紹介するのは、シャープ株式会社です。
家電メーカーであるSHARPはX(旧Twitter)の運用を行い、Xのユーザーと気軽に交流しています。上記画像にあるように自社製品・サービスに関する情報だけでなく、一人のユーザーとして気軽な投稿もしており、これらの投稿を通じて多くの見込み顧客と良好な関係性を構築していると言えるでしょう。
7.インバウンドマーケティングの失敗事例
次にインバウンドマーケティングにおける失敗事例をご紹介します。
失敗事例①:マーケティングに割く人的リソースが十分にない
一つ目に挙げられるのは、マーケティングに割ける人的リソースが十分にないケースです。
インバウンドマーケティングは、ここまでご説明してきたように継続した取り組みが必要となります。そのためインバウンドマーケティングの運用に耐えうる体制構築が欠かせませんが、マーケティングに割ける人的リソースが十分にないと、運用体制の構築や維持ができません。その結果インバウンドマーケティングに取り組みだしても途中で頓挫するなど、失敗に終わってしまうことになるでしょう。
失敗事例②:ターゲット設定が曖昧になっている
続いて挙げられるのは、ターゲット設定が曖昧になっているケースです。
先に流れのところで詳細なターゲット像としてペルソナを策定することを述べました。
しかし、もしターゲット設定が曖昧でペルソナも策定していなければ、顧客がどういった情報やコンテンツを必要としているかも把握できません。その結果、誰も求めていないコンテンツ制作に時間や費用をかけてしまうなど、費用対効果の悪い活動になってしまうでしょう。
失敗事例③:効果検証をしない
効果検証を行わないケースも、失敗に直結すると言えます。
どれだけ念入りに調査して制作したコンテンツでも、実際に効果を発揮するかどうかは配信してみなければわかりません。そのためコンテンツを配信した後は効果検証を行い、必要に応じて改善していく必要があります。
もし効果検証を実施しなければ、どれだけ効果が出ているのかは勿論、どういった点に課題があるのかも把握できず、取り組み全体が失敗に終わってしまうでしょう。
8.インバウンドマーケティングを成功に導くポイント
それではインバウンドマーケティングを成功させるには、どういった点を押さえておくべきなのでしょうか。
インバウンドマーケティングを成功に導くポイントとして以下の4点をご紹介します。
ポイント①:顧客を徹底的に理解する
一つ目のポイントは顧客を徹底的に理解するという点です。
顧客ニーズが多様化した現代において、顧客にはそれぞれ悩みや課題があり、全く同じニーズを抱えているというケースは少なくなっています。そのためインバウンドマーケティングに取り組む場合、「誰のどんな悩み・ニーズに対してアプローチするのか」という点を明確にする必要があるのです。そのため先の流れで解説したように、ペルソナやカスタマージャーニーの策定を通じて、顧客への理解を深めることが重要になります。
顧客を徹底的に理解することで、インバウンドマーケティングにおける各手法の精度も向上し、集客や購買にまで着実に繋げることができるでしょう。
ポイント②:MAやGA4などのツールを活用する
二つ目のポイントはマーケティングオートメーション(以下MA)やGoogleアナリティクス4プロパティ(以下、GA4)などを活用するという点です。
インバウンドマーケティングではメールを配信することは勿論、各施策の効果検証などに取り組むことになります。その際MAやGA4などのツールを活用することで、効率的に行うことが可能となるのです。
MAはメール自動配信や顧客情報の管理は勿論、確度の高い見込み顧客を抽出するのに役立つため、インバウンドマーケティングのプロセス全体を効果的に実施できます。GA4はWebサイト上の見込み顧客の行動データを細かく分析できるため、顧客理解にも役立てることができるでしょう。主なマーケティングオートメーションについては、後ほどご紹介します。
ポイント③:関連部門との連携体制を構築しておく
関連部門との連携体制を構築しておくことも忘れてはいけません。
インバウンドマーケティングは、マーケティング部門だけでなく営業やカスタマーサクセス、インサイドセールス部門などと連携するシーンも多くなります。
そのためあらかじめ協力できる関係性を築き、連携体制を構築しておくことが重要になるでしょう。関連部門での適切な連携が実現すれば、インバウンドマーケティングにおけるあらゆる顧客接点において、効果的なコミュニケーションが可能となります。
ポイント④:支援会社を活用する
ポイントの最後にご紹介するのは支援会社を活用するという点です。
インバウンドマーケティングは様々な手法を駆使する上、継続した取り組みが必要であるため、専門チームを配置することが理想と言えます。
そういった特性上、自社内で人材リソースやマーケティングに関するノウハウが不足している場合、取り組みの難易度がかなり高くなります。その点マーケティング支援会社のサポートを受けることで、足りないリソースやノウハウを補い、効果的なインバウンドマーケティングを実現できるでしょう。専門的なノウハウを持ったスペシャリストに支援してもらうことで、比較的短期間で購買などの成果に繋げやすい点も見逃せません。
9.インバウンドマーケティングマーケティングに役立つ主なツール
最後にインバウンドマーケティングに役立つツールとして、以下の3つのツールをご紹介します。
1.Marketing Cloud Account Engagement(旧Pardot)
はじめにご紹介するのは、Marketing Cloud Account Engagementです。
参照:Salesforce Marketing Cloud Account Engagement
Marketing Cloud Account Engagement(旧Pardot)はSalesforceが提供するツールです。メール配信の自動化や顧客情報管理、スコアリング(購買への影響度を踏まえて、顧客行動に点数を付ける機能)など、MAとしての豊富な機能があることは勿論のこと、SFAとの連携性も高い点が特長と言えます。既に営業部門でSalesforceを導入している場合は、特におすすめのツールとなるでしょう。
参照:Account Engagement(旧 Pardot)とは?機能や特徴、他のMAツールとの比較も含めて徹底解説
2.Adobe Marketo Engage
次にご紹介するのはAdobe Marketo Engageです。
Adobe Marketo EngageはAdobeが提供しているツールであり、高度な分析機能が特長のマーケティングオートメーションとなります。CRM(既存顧客の情報を管理するためのツール)などと連携させることも可能で、顧客に関する細かな分析を実施することで、購買意欲を促進させるポイントを効率的に把握することが可能です。
3.Hubspot Marketing Hub
主なツールとして最後にご紹介するのはHubspot Maketing Hubです。
Hubspot Marketing HubはHubspotが提供するツールです。
Hubspotは複数のシステムで構成されており、Marketing Hubはその構成要素の一つとして、マーケティングオートメーションの役割を担っています。営業支援の「Sales Hub」や、コンテンツ管理機能を持つ「CMS Hub」などと連携させることで、インバウンドマーケティング全体の効率化が可能となるでしょう。
10.まとめ
今回はインバウンドマーケティングの意味やメリット・デメリット、取り組みの流れなどをまとめて解説してきましたが、いかがでしたか。
現代の顧客は自らインターネットやSNSを用いて情報を収集できるため、広告やDM、飛び込み営業などのアプローチに対して、ネガティブな印象を抱くことが多いと言えます。
そのためこういったアウトバウンド的な取り組みではなく、顧客の情報収集ニーズに応えるインバウンドマーケティングの重要性が高まってきているのです。体制構築や継続的な取り組みが必要である点は否めませんが、しっかりとポイントを押さえて取り組めば、高い購買促進効果を発揮するでしょう。
ぜひこの記事を参考に、インバウンドマーケティングに取り組んでみてください。
またStrhはマーケティングに関する支援やコンサルティングサービスを提供させていただいております。もし「インバウンドマーケティングに取り組みたいけど、何から始めていいかわからない」といったお悩みがございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせフォームよりご連絡ください。
執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀
大学卒業後、株式会社TBI JAPANに入社。株式会社Paykeに取締役として出向し訪日旅行者向けモバイルアプリ及び製造小売り向けSaaSプロダクトの立ち上げを行う。
アクセンチュア株式会社では大手メディア・総合人材企業のセールス・マーケティング領域の戦略策定や業務改革、SFA・MAツール等の導入及び活用支援業務に従事。
株式会社Paykeに再入社し約10億円の資金調達を行いビジネスサイドを管掌した後、Strh株式会社を設立し代表取締役に就任。
▼保有資格
Salesforce認定アドミニストレーター
Salesforce認定Pardotスペシャリスト
Salesforce認定Pardotコンサルタント
Salesforce認定Sales Cloudコンサルタント