MA(マーケティングオートメーション)の導入を失敗しないために!導入プロセスやよくある失敗を解説
この記事でわかること
- MA(マーケティングオートメーション)の基本知識と導入目的
- MA(マーケティングオートメーション)の具体的な導入プロセスと各プロセスの検討事項
- MA(マーケティングオートメーション)導入・運用におけるよくある失敗例
- MA(マーケティングオートメーション)導入にあたって押さえておくべき4つのポイント
執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀
営業・マーケティング活動を効率化するために、多くの企業が導入しているマーケティングオートメーションツール(以下、MA)。
弊社がご支援させていただく企業様でも、MAを導入したものの「想定したより効果実感がない」「メール配信するだけのツールになってしまっている」企業も多いのが実情です。
- MAツールを導入してみたものの、どのように活用してよいかわからない
- 導入したのに操作方法が難しく、社内で普及しなかった
- ただメールを配信するだけのツールになっている
多くの方が1度はこのような悩みを抱えた経験があるのではないでしょうか?
ツールの導入に躍起になりすぎて、もしくは導入したこと自体に満足してしまい、その先に何を達成したいのかという本来の目的から遠ざかっている可能性があります。
本記事では、導入してはみたものの、「上手く使いこなせていない気がする」「もっと効率的に使えるのではないか?」そんなお悩みを抱える方に向けて、MA導入のプロセスやポイント、MA導入、運用時にハマりがちな失敗例をご紹介します。
参照:マーケティングオートメーション(MA)とは?機能や選び方、おすすめツールまで紹介
目次
1. MA(マーケティングオートメーション)とは
マーケティングオートメーション(MA)とは、見込み顧客の獲得や育成といったマーケティング活動を効率化させるためのツールです。
メール配信や顧客リスト作成といった作業を自動化できたり、顧客のWebサイトにおける行動データを取得したり、マーケティング活動を支援するための機能が豊富に搭載されています。
2. MA(マーケティングオートメーション)を導入する目的
そもそも目的が明確でない企業が多いゆえに、MAの導入は失敗に終わるケースが多いとも言われています。では、導入に成功し上手く使いこなしている企業はどのような目的を置いているのでしょうか。
1.見込客と継続的な関係構築強化
多くの企業が自社のwebサイトからや運用型広告、展示会などで見込客(リード)を獲得していると思います。
しかし、その見込客は当然すべてがすぐに商談や受注に繋がることはありません。見込客の自社の商材への興味関心度や意向度は様々で、多くの場合はまだまだ商材への興味関心度は低いでしょう。そのような見込客に対して、マーケティングでは興味関心・意向度を把握しながら、見込客が欲しい情報を可能な限りリアルタイムに届けるためのコミュニケーションを継続的に行う必要があります。
MAを活用するとこのような顧客の自社商材への興味関心度の把握や、興味関心度をもとにした適切かつ継続的なコミュニケーションを自動で行うことができます。多数の見込客に対して人手を使ってこのようなコミュニケーションを継続的に行うのは現実的ではありませんが、MAを使うことでマーケティング工数負荷を下げながら、見込客と関係構築を行うためのコミュニケーションを強化することができるでしょう。
2.既存顧客に対するエンゲージメントの強化
エンゲージメントとは「企業と顧客との間に生まれる信頼性や絆」といった意味を持つ言葉です。製品やサービスのコモディティ化が進み、技術力の向上や競合の参入で他社でも多く作られるようになりました。
製品やサービスの差別化ポイントがなくなったことで競争率が高まりました。そこで、顧客エンゲージメントを高めて、継続的な収益を安定的に得られる方向に舵を切る企業が増えたと考えられます。
時代の変化とともに顧客エンゲージメントが重視されるようになりました。Pardotを使って既存顧客の購買プロセスやインサイトを可視化し、顧客が求める情報やサービスを必要なときにタイムリーに届けることができ、エンゲージメントを高めることができます。既存顧客といっても、それぞれの顧客のニーズは様々。それぞれの顧客に必要なものを届けることがエンゲージメントの強化に繋がります。
3. 休眠・失注顧客の掘り起こし
休眠顧客とは一度接点を持ったものの何らかの理由により手付かずで休眠状態(コミュニケーションを取ることが困難または取っていない状態)になった顧客のことを指します。休眠顧客を掘り起こし、再度アプローチすることで新規アポイントの獲得や商談数の増加を期待することができ、結果として売上につながる可能性があります。
失注顧客も同様で、失注後再度アプローチを行うタイミングを特定するために、MAのwebサイトアクティビティログトラッキング機能や、メールへのリアクションなどから、別商材への興味感心や同じ商材の再検討の兆候を掴んでコミュニケーションを行うことができます。新規リードの獲得数が鈍化し獲得効率が悪化した際、これまでに接点のあった休眠・失注顧客に対してコミュニケーションをすることで、新規リードより商談獲得効率や受注効率を上げられる場合もあります。MAにより難易度の高いと言われている休眠へのアプローチを効率的に行うことができます。
4. リードや見込み客に対する営業効率の向上
MAツールでリードの管理・評価を行うことで、有望なリードを見極めて的確に営業活動へ繋げることができ、見込み客に対する営業効率の向上が期待できます。
また、スコアリングやグレーディングなどの機能を活用することで、リードステージに合わせたコミュニケーションの個別化やニーズの喚起・リアルタイムでの検知なども行うことが可能です。
参照:スコアリングとは?BtoBマーケティングにおけるリードスコアリングのポイントについて解説
参照:【完全ガイド】Account Engagement(旧 Pardot)のスコアリングとは?スコアリングカテゴリとの違いや活用方法を解説
実際は上記のような目的に対して測定可能な指標と定量的な目標値を設定して、MAツールの導入目的を明確にすることが望まれます。ツールを導入するには様々な目的があるかと思いますが、企業ごとに課題を深堀、必要な要素を分解すれば、目的がさらに明確化していきます。
企業によっては、この時点でMAツールの導入が必要ではないと感じる場合もあるかもしれません。導入を検討する際には必ず、各社の現状課題を明らかにした上でMAツールを導入して「何の課題を解決したいのか?」「何を達成したいのか?」を明確にし、社内で共通認識として持ちましょう。
3. MA(マーケティングオートメーション)導入のプロセス
ここからは具体的にMAの導入のプロセスを解説します。
営業・マーケティング課題の整理
営業やマーケティング業務のフローを可視化し、どの業務に課題や効率化の余地があるのかを整理していきます。この際にマーケティング部門のみならず営業部門の現場やマネジメントに対してヒアリングを行いながらMA導入による想定されるメリットや協力してもらいたい点などを合わせて伝えて理解を得ることで後続のフェーズがスムーズに進みやすくなります。
導入目的の明確化
ここではMA導入を行う目的を改めて明確にします。前ステップで整理した営業・マーケティング課題や効率化余地のなかで、MAを活用してどのように課題解決するのかや、MAを活用して向上させたい事業KPIなどを可能な限り具体的に明確にし、ターゲットスケジュールも定めた上でマネジメントと合意します。
ここが曖昧なまま導入だけを進めるとメールを配信するだけのツールになってしまったり、営業との連携が取れずにマーケティングに閉じて最終成果に繋がらない個別最適化されたツールになってしまう可能性があるので、確実に導入の目的や目標は明確にしておきましょう。
ターゲットの設計
自社の商材のターゲットを設計します。既に設計されている場合でもMA導入を機に改めて見直してみましょう。
重点セグメントの確認
まずは事業戦略に基づいて、自社の重点セグメントの確認を行います。こちらはマーケティング部門単独で決定するものではなく、営業部門やその他部門も含めて、商材として重点的に狙うべきセグメントを確認することになるので、経営陣やその他部門と合意された重点セグメントがどこなのかを改めて確認する形になります。
また、自社として重点セグメントを決定していない場合は、今後の事業戦略として過去の受注傾向や市場傾向、ユーザーインタビューなどから商材としてターゲットすべきセグメントを改めて設計・関係部門と合意しましょう。
ペルソナの設計
このステップでは前ステップで確認した、重点セグメントにおけるターゲットなるペルソナの詳細化を行います。ペルソナを検討するにあたって含める要素として、代表的なものとして以下のような要素があります。
■デモグラフィック情報
- 年齢
- 性別
- 所属部署
- 役職
- 会社分類(上場/未上場)
- 従業員数規模
- 売上規模
- 組織の中の役割とミッションetc…
■サイコグラフィック情報
- 最近の業務課題
- 最近の関心事
- 行動特性etc…
ペルソナの検討にあたっては、マーケティング部門だけではなく営業部門やプロダクト部門など関連する部門の担当者も巻き込み、各部門間でペルソナの認識を揃えておくことが重要です。
参照:【DLできるテンプレート公開】ペルソナとは?作り方の5つのステップや具体的な活用方法を解説
カスタマージャーニーの設計
続いて、ペルソナに対するカスタマージャーニーの設計を行います。カスタマージャーニーを設計することで、ペルソナの検討フェーズごとにどのような情報ニーズがあり、自社としてどのような情報(コンテンツ)を顧客に対して届けるべきかが明確になるため、次ステップ以降のシナリオの検討やコンテンツ設計に繋がるとても重要なパートになります。
シナリオ案の設計
ターゲットとターゲットの購買行動を整理したら、次は具体的なシナリオ案の検討を行います。自社の営業プロセスのうちどのステップの歩留まりが悪く、リードが滞留してしまうのかなどを定量的に把握し、カスタマージャーニーもインプットにしながら、シナリオ案を設計していきます。
初期段階では運用に慣れていないケースがほとんどですので、多くのシナリオを作り過ぎないのがポイントで、1-2つのシナリオをまず実装・運用してみた上で、必要なシナリオを改めて設計・実装というサイクルを回していくことがポイントです。
コンテンツ設計・制作
次にコンテンツの設計・制作ステップになります。前ステップで設計したシナリオ案で必要なコンテンツという観点や、カスタマージャーニーをインプットに各リードステージにおいて必要なコンテンツの設計・制作を行います。
ここでいうコンテンツにはメールコンテンツやブログコンテンツ、ホワイトペーパーなどがあります。自社だけで設計・制作が困難な場合はコンテンツ制作の外部へのアウトソースも利用しながらコンテンツの制作を進めましょう。
参照:コンテンツマーケティングとは?成功事例や具体的な進め方、手法まで徹底解説
MA(マーケティングオートメーション)ツールの比較・選定
ターゲット設計と並行して行う形でも問題ありませんが、MAツールの比較・選定を行います。MAを導入して解決したい課題や効率化したい業務、向上させるべきKPIなどはこのステップにおいては明確になっているかと思いますので、これらのことを実現するに値する機能を備えているのかやサポートは充実しているのか、コスト面などを比較していきながら導入するMAツールの選定を行います。
参照:マーケティングオートメーション(MA)とは?機能や選び方、おすすめツールまで紹介
運用体制と役割の明確化
MAツールの導入作業が始まる前にはMAの運用体制と役割の明確化・合意をしておきましょう。MAの運用において必要な主な役割は以下になります。
- MAツール管理者:KPI設計やコミュニケーション設計、他部門との調整など運用の設計・管理など
- 運用担当者:ツール設定や各種メールの配信設定、パラメータ設定、数値分析、施策検討・改善など
- コンテンツ担当者:メールテンプレートの作成・フォーム作成・ページ作成・バナー作成・制作会社の管理など
MA(マーケティングオートメーション)の導入
ここから実際にMAの導入作業のうち、主たる内容を紹介します。実際は外部の導入ベンダーと作業をすることもあるかと思いますが、自社で導入進める場合の参考にしていただければと存じます。
Webサイトへのトラッキングタグの設置
多くのMAツールではリードの自社Webサイト上のアクティビティをトラッキングするために、トラッキングタグを発行する機能を備えています。
MAツールから発行されるトラッキングタグを自社のWebサイトに設置しましょう。設置に際しては、Google Tag Manager(GTM)をはじめとするタグ管理ツールを利用すると簡単にサイトにトラッキングタグを設置できますので利用することをおススメします。
参照:Googleタグマネージャー(GTM)とは?使い方や利用メリット、導入方法を徹底解説
DNS設定
ここからはテクニカルな設定になるので、自社のエンジニアと協力しながら設定を進めることをおすすめします。
DNSとはDomain Name Systemの略で、インターネット上でドメインを管理・運用するために開発されたシステムのことを指します。DNS設定を行うことでMAツールで作成したメールやフォームなどのマーケティングアセットと、自社で管理しているwebサイト間をアクセスしたユーザーがシームレスに移動できるようになります。具体的には自社ドメインに合わせた独自ドメインを設定することで、ユーザーから見た時に自社サイトとの統一感を持たせることができます。
また、メールの送信元ドメインに対してメール認証設定(DKIM)を行う必要もあります。この設定を行うことで、メールが送信元(自社)から送信されていると判断され、受信者のメールボックスへの到達性を高めることができます。設定を行わない場合は受信者のメールサーバー設定によっては迷惑メールと判断されてしまう可能性もあるので注意しましょう。
SFAやCRMとの連携設定
MAツールはSFAやCRMと連携することでその力をより発揮するようになります。自社で利用しているSFA/CRMシステムとMAツールが連携できる場合は必ず連携設定をしましょう。そうすることで、営業とのリードの受け渡しやマーケティングで獲得したリードの商談・受注貢献などをより可視化しやすくなります。
最近では多くのSFA/CRMシステムに代表的なMAツールとの連携コネクタが付帯していることも多いですが、ツール選定時には自社のSFA/CRMと連携できるかといった点も確認しておきましょう。
参照:Account Engagement(旧 Pardot)とSalesforceの商談連携の仕組みと注意点をプロが徹底解説
メールテンプレートやフォームなどのコンテンツ設定
MAツールによって多少の機能差はあるものの、多くのMAツールではメールテンプレートやフォームが作成できる機能が付帯しています。GUIで直感的に操作ができるエディターが備わっているMAツールも多く、設計フェーズで準備したメールコンテンツや必要なフォームをMAツール上で作成していきます。
作成したフォームに関してWebサイト上で公開するためには、社内のエンジニアに協力を仰ぐ必要があるケースもありますので必要に応じて相談しましょう。
シナリオや自動化処理の設定
MA上でコンテンツを作成したら次のステップは設計したシナリオを実際にMAツールに実装していきます。こちらも多くのMAツールではGUIで直感的にシナリオを構築できる機能が備わっていますので、簡単に作成が行えるかと思います。シナリオの構築以外にもリード項目値の更新や営業への引き渡しや通知など様々なアクションの自動化設定を行っていきます。
MA(マーケティングオートメーション)のテスト
MAで作成したメールコンテンツのテスト送信や、フォームの送信テスト及び送信後のアクション動作テスト、シナリオのテスト起動などMAで作成した各種コンテンツのテストを実施します。シナリオのテストについては、実際のケースを洗い出した上でシナリオテストまで行っておくとよいでしょう。
SFA/CRMと連携している場合は、リード項目の変更に伴ってSFA/CRM側の情報も上書きされているかも確認しておきましょう。
運用改善
運用を開始した後は、メールコンテンツのABテストやEFO、シナリオの改善・新規追加など施策の効果をモニタリングしながら、コンテンツの運用改善のPDCAを回します。並行して新規の施策検討・実装も行いながらMAの活用範囲を徐々に拡大していきましょう。
また、営業との連携はここでも重要なポイントになります。具体的にはマーケティングからパスアップしたリードに対する営業成果などをもとに、パスアップするリードの基準やパスアップした後のフォロールールなどを営業とコミュニケーションを取りながら最適化していきましょう。
4. MA(マーケティングオートメーション)導入におけるよくある失敗
ここでは実際支援に入らせていただく企業でも目にしてきた、MA導入におけるよくある失敗をご紹介します。
導入・設計フェーズの失敗
マーケティング部門のみの観点で要件定義や設計を行う
MAをより効果的に活用するためには、マーケティングフェーズの後続フェーズを担う営業との連携が不可欠です。MAの設計段階でマーケティング部門だけで設計を行ってしまうと、営業部門に引き渡すリードの定義や営業が利用しているSFAツールでの用途など様々な観点が抜け落ちてしまうことが多くあります。
設計段階から営業部門にも参加してもらい、引き渡しリードの定義やリードフォロールール、SFAツールのどこがどのように変わるのかなどを認識を合わせながら進めましょう。
導入目的が不明確なまま進めてしまう
マーケティング活動に関わると「MAでマーケティング活動を自動化できる」などといった言葉をよく耳にすることがあります。その言葉をそのまま鵜呑みにして、「自社へMAツールを導入する目的」を定義せぬまま導入を進めてしまうケースも意外と多くあります。
目的や明確なKPIを定めぬまま導入を進め、週1回メルマガをリスト全体に送るだけのツールになってしまうなどの事態にならないように、自社のマーケティングやセールスのプロセス課題やKPIを明確に定めた上で導入を進めましょう。
ツール選定時「機能の多さ」を重視し「必要な機能」の精度やUXを見落とす
様々な会社からMAツールが提供されており、その機能は年々多くなってできることの幅は広がっています。機能面の充実を訴求しているツールも多くあることから、機能面の多さや「よく聞くから」という理由で意思決定をしてしまうケースも散見されます。
重要なことは「何を導入するか」や「色んな機能を使うこと」ではなくて、「導入後目的を達成できるか」という点になります。したがってツール選定の際には、自社の導入目的に照らして「どういった機能があれば必要十分なのか」や、自社の体制やリテラシーも加味して「使いやすいのか」といった視点を持つことが重要です。
運用フェーズの失敗
担当者の責任範囲が不明確でありタスクが宙に浮く
MAを運用するにあたっては「権限管理」や「各種設定の実施」「施策の設計」「効果計測」「営業とのコミュニケーション」「コンテンツ制作」など様々な業務が発生します。運用開始後、明確に担当者が決められていないために、タスクが宙に浮き活用が進まないといったケースもよくあります。
運用開始までには運用後のタスクの洗い出しを行い、明確に担当者を決めておくなど体制構築を行い、タスクが宙に浮くといった事態を未然に防ぎましょう。
最初から複雑なシナリオを作りこんで運用ができない
MAでは顧客のエンゲージメントを強化したり、アクションシグナルを捕捉するために様々なシナリオを設計・構築することができます。
ただし、導入初期においてはまずは設定方法や運用フローに慣れることが活用を続けていく上ではとても重要であり、最初から複雑なシナリオを設計し過ぎると、メンテナンス負荷が高くなり結局メンテナンスしないといった事態に陥ったりするケースも散見されます。
まずは多くとも2-3分岐程度の簡単なシナリオから設計・構築を行い、操作や運用の慣れとともに徐々にシナリオを高度化していくというステップを踏んで運用を進めることがおすすめです。
マネジメントから短期的な成果を求められる
MAツールはリスティング広告やSNS広告などのチャネルと比較すると、リスト数や営業も含めた運用改善を重ねることが必要なため、目に見えるまでの成果が出るまでに一定の時間を要します。この前提をMA導入前にマネジメントに対して理解してもらうこともとても重要な業務になります。この理解が得られていないと、短期的な成果を求められ成果が出る前に運用中止などの判断をされることもあるので注意しましょう。
5. MAツール導入検討にあたって押さえておくべきポイント
MAツールを導入・運用するにあたっては、当然ながら費用面や運用工数など一定の投資が必要となります。投資を無駄にしないためにも、自社にMAツールが本当に必要かどうかしっかり見極めましょう。ここではMAツールを導入検討するにあたって最低限抑えておくべきポイントを紹介します。
1. 導入目的を明確に定義できていること
とりあえずMAツールを導入すれば、なんとなく成果がでるのではないかと、ツールを導入すること自体が目的になっていませんか。その先に何を目指すのか、具体的な指標はあるのか。しっかり現状のマーケティング課題を理解し、目的を明確にすることが導入における必須条件といえるでしょう。逆に目的もなく導入した場合に、その後どんなアクションをしてよいか迷子になり、失敗に終わるケースも多々あります。投資に対してしっかり効果を出すためにも、ツール導入の目的を明らかにしましょう。
2. 経営陣や営業部門含めて中長期視点で腰を据えてコミットメントできること
MAツールは検索広告などのように刈り取り型の「リード獲得」チャネルとは異なり、短期的にその成果を図ることが難しいチャネルになります。ただ、中長期で運用を続けていくことで商談獲得効率を向上させたり、既存顧客のエンゲージメント向上に貢献し、結果受注コストの低減に貢献するチャネルになり得ます。
これらを経営陣や営業部門も理解をし、マーケティング部門との協力体制を構築しておくのも導入検討時においては重要なポイントになります。
3. リードの数を一定以上保有しており、毎月新規リードを安定して獲得できること
最低5,000以上できれば10,000程度のリードがあり、安定して毎月一定以上のリード獲得ができていることも導入を検討する上でのポイントです。絶対条件ではないですが、この程度のリード保有・獲得数がない場合は、MAツールの導入前にリード獲得施策を実施するのがよいケースもあります。
4. コンテンツを量産できる体制があること
MAツールの運用にはLPやホワイトペーパー、メール、バナーなど定常的に必要なコンテンツが多く、コンテンツ制作の体制があることも重要なポイントです。少なくとも月1本は新規コンテンツを作成・公開できる体制を整えるのがベターで、理想的には運用担当者を最低1名はアサインできることがベストです。必要に応じて外部にコンテンツ制作を委託することも検討しましょう。
これらのポイントをもう一度振り返り、改めて現在MAツール導入が本当に必要かどうか、導入の目的を正しく理解出来ているか見直してみましょう。
参照:ホワイトペーパーとは?効果やメリット、作り方までまとめて解説【事例付き】
6. まとめ
ここまで、MAツールの導入目的や導入プロセス、よくある失敗などを紹介してきました。では、改めて実際に導入し運用するにあたって必要な準備を確認しましょう。
■導入にあたり準備しておくべきこと
- ツール導入目的の明確化
自社のマーケティング課題を明らかにし、導入目的を明確にすること。それらを指標として定量的に評価し振り返りが行えること。 - 営業とのコンセンサス(引き渡すリードの基準(質)など)
マーケティング担当と営業担当で引き渡すリードの基準や質について継続的に認識を揃えること、そのためにマーケティング・営業間での協力体制をつくること。 - 体制の構築(運用・コンテンツ制作等)
専任の運用担当がいること。MAで活用するコンテンツの制作・運用を継続的に行える体制をつくること。 - 長期的な効果を見据える
マネジメント・営業部門はツールの特徴を理解した上で、短期的な成果よりも長期的な目標と効果を見据えること。
MAを活用するには、機能を理解し操作方法などを心配するより先に、しっかりと目的を定めることや、ツールの特性を理解した専任の担当者を置いたり、マネジメントとの目標の認識合わせなども重要だと言えます。
これを機に自社のMA運用が上手くいっているのか見直してみませんか。
ストラではAccount Engagement(旧 Pardot)をはじめMAツールの設計から導入〜活用支援まで一貫して行っております。
MAツールを導入する予定だけど上手く活用できるか自信が無いという方、既にMAツールを導入済みで、もっと効果的にマーケティングを行いたいという企業様は、是非お気軽にお問い合わせフォームよりご相談ください。
執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀
大学卒業後、株式会社TBI JAPANに入社。株式会社Paykeに取締役として出向し訪日旅行者向けモバイルアプリ及び製造小売り向けSaaSプロダクトの立ち上げを行う。
アクセンチュア株式会社では大手メディア・総合人材企業のセールス・マーケティング領域の戦略策定や業務改革、SFA・MAツール等の導入及び活用支援業務に従事。
株式会社Paykeに再入社し約10億円の資金調達を行いビジネスサイドを管掌した後、Strh株式会社を設立し代表取締役に就任。
▼保有資格
Salesforce認定アドミニストレーター
Salesforce認定Pardotスペシャリスト
Salesforce認定Pardotコンサルタント
Salesforce認定Sales Cloudコンサルタント