マーケティング戦略とは?立案手順や役立つフレームワークを事例付きでわかりやすく解説

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マーケティング戦略とは?立案手順や役立つフレームワークを事例付きでわかりやすく解説

この記事でわかること

  • マーケティング戦略の基本知識やその重要性について
  • マーケティング戦略立案に向けた5つのステップ
  • マーケティング戦略立案に役立つフレームワーク
  • マーケティング戦略の成功事例

執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀

  • マーケティング戦略とは何か知りたい
  • マーケティング戦略の立案手順やフレームワークを知りたい
  • マーケティング戦略の成功事例について知りたい

この記事は上記のような思いをお持ちの方に向けて、マーケティング戦略の概要を踏まえつつ、立案の手順や役立つフレームワークをわかりやすく解説します。

マーケティング戦略を成功に導くためのポイントや成功事例も併せてご紹介していますので、ぜひご確認ください。

1.マーケティング戦略の概要

まずはマーケティング戦略の概要やその重要性について確認していきましょう。

マーケティング戦略とは

マーケティング戦略とは、マーケティング活動全体の方向性を定めたものです。

具体的には以下の4つの要素を定めたものをマーケティング戦略と呼びます。

  • 誰の
  • どんなニーズに対して
  • どんな価値を
  • どのように提供するのか

マーケティングと聞くと広告やセミナー、展示会といった手法に注目しがちですが、これらはあくまで「どのように提供するのか」に該当する戦術に過ぎません。

また、マーケティング戦略とよく混同される概念として営業戦略がありますが、検討内容が異なります。

マーケティング戦略が上記の4項目を具体化したものであるのに対して、営業戦略は売上・利益といった金銭的な指標を設けた上で、どのように営業活動を行うのかを規定したものとなるのです。

営業活動はマーケティング戦略における「どのように提供するのか」を構成する手段の一つではあるものの、それぞれ戦略の内容が異なる点は理解しておきましょう。

マーケティング戦略の重要性

マーケティング戦略は、マーケティング活動に一貫性を持たせ、且つ振り返りや成果を再現する上で重要な役割を果たします。

マーケティング戦略が無ければ、誰に対してアプローチすればいいのか、製品・サービスの宣伝で重視すべきポイントはどれか、といったことが曖昧になります。

そのため部署や担当者レベルでターゲットや訴求点が異なるといった事態が生じ、製品・サービスが売れないばかりか、「担当者によって言ってることが違う…」といったネガティブな印象を抱かれてしまうでしょう。

また、仮に成果が出たとしても戦略的な意図がないため、成功要因を正確に分析できず、その成功体験を再現することもできないのです。

こういった事態を避けるためにも、マーケティングに取り組む際は戦略を策定する必要があると言えるでしょう。

2.マーケティング戦略策定の基本手順

ここからはマーケティング戦略策定の手順について確認していきましょう。ここで紹介する手順はあくまで一般的な策定手順なので、本内容を参考に個社状況に合わせたステップ・検討内容で検討を進めてください。

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ステップ①:環境分析

マーケティング戦略を策定するにあたって、まずは内部環境を分析していきます。具体的には以下の要素を分析していくことになるでしょう。

【内部環境の主な要素】

  • 自社で保有する技術
  • 従業員の持つノウハウ・スキル
  • 社内のリソースや予算
  • 製品・サービスの特長や価格、ラインナップ
  • ブランドエクイティ(ブランドの持つ資産的な価値)
  • 資本金

内部環境に加えて、外部環境の分析も行います。外部環境分析では以下のような要素を見ていくと良いでしょう。

【外部環境の主な要素】

  • 競合製品・サービスの特長や価格
  • 関連する法律
  • 関連する規制の強化・緩和
  • 顧客の持つ製品・サービスに対するリテラシー
  • 新規参入業者や代替品となる製品・サービス

ステップ②:STPの策定

環境分析が終わった後は、STPと呼ばれるフレームワークを用いて、マーケティング戦略における「誰の」「どんなニーズに対して」を深堀りしていきます。

STPとは以下の言葉の頭文字を合わせた概念です。

  • Segmentation/セグメンテーション
  • Targeting/ターゲティング
  • Positioning/ポジショニング

要素について、一つずつ確認していきましょう。

S:セグメンテーション

セグメンテーションとは様々な属性に基づいて、市場をいくつかの集団に分けることを指します。セグメンテーションに用いられる属性には以下のようなものが挙げられます。

  • 人口統計的属性:年齢、性別、職業、家族構成、学歴など
  • 心理的特性:価値観、趣味嗜好、購買動機・傾向など
  • 地理的属性:居住エリア(都市部・郊外)、人口密度など
  • 行動的属性:製品・サービスの利用頻度、情報収集に用いるデバイスなど

セグメンテーションの段階ではまだターゲットを決めることは目的とせず、ただ単に市場を分けることに専念しましょう。

また、どこまでセグメントを分けるかについては、以下の4つの基準を基に判断することになります。

  • Rank(優先度):事業上の強みが活かせる重要度の高いセグメントか?
  • Realistic(規模の有効性):市場規模を踏まえ収益を生み出せる可能性はあるか?
  • Reach(到達可能性):対象セグメントに実際にアプローチする手段はあるか?
  • Response(測定可能性):規模や購買力などの属性が測定可能か?

参照:顧客セグメントとは?作り方や活用の流れ、成功事例を分かりやすく解説

T:ターゲティング

セグメンテーションでいくつかに分けたセグメントの中から、ターゲットとするセグメントを設定することをターゲティングといいます。各セグメントを市場規模や今後の成長見込み、競合の強さなどの観点から評価し、自社の事業特性や強みとの親和性が高いセグメントを選ぶことになるでしょう。

ターゲットとするセグメントを決めた後は、そのセグメントの属性を基にしてより詳細な人物像である「ペルソナ」を策定します。

さらにペルソナの各購買検討プロセスのニーズなどを整理した「カスタマージャーニーマップ」を作ることで、顧客への理解も進み、マーケティング施策の精度を高めることが可能です。

参照:現場でも混同しがちなセグメンテーションとターゲティングの違いとは?

P:ポジショニング

ポジショニングとはターゲットセグメントに属する顧客、つまりペルソナの頭の中における自社の立ち位置を決めるプロセスのことです。

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以下の図のように、縦軸と横軸に特定要素を置いたマップとして整理されます。

縦軸と横軸にどういった要素を置けば、競合優位性を発揮できるかを考えることで、自社の独自性を見つけ出していくことになるでしょう。

ステップ③:USPの設定

USPとは「Unique Sales Proposition」の略称で、自社独自の強みのことです。

マーケティング戦略における「どんな価値を」に該当すると言えます。

ポジショニングマップに用いた縦軸と横軸の要素をベースに、ターゲットに伝えるべき要素の中で、最も重要なものをUSPとして設定しましょう。

ここで定めたUSPは全ての顧客接点を通じて伝えるべき要素であるため、営業部門やカスタマーサポート部門といった関連部署にも共有し、共通認識として確立しておくことが重要になります。

ステップ④:マーケティングミックスの策定

マーケティングミックスとは、顧客にアプローチするために行われる一連のマーケティング施策のことを指します。マーケティング戦略における「どのように提供するのか」に該当し、4Pというフレームワークを用いて規定していくとよいでしょう。

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4PとはProduct(製品)・Price(価格)・Place(流通)・Promotion(宣伝)という4つの側面からマーケティング施策を策定していくフレームワークです。(上記の表を参照)

上記の表にある通り、4Cと呼ばれるフレームワークも同時に活用して、企業・顧客両方の視点からマーケティングミックスを策定していくことが重要になります。

参照:マーケティングミックスとは?フレームワークやポイント、活用事例などを解説!

ステップ⑤:施策実行と効果検証

4P/4Cによってマーケティングミックスが策定できた後は、それに基づいた施策を実行していくことになります。また、施策実行と併せて定期的に効果検証を行うことも忘れてはいけません。

どれだけデータを分析して立案した戦略や施策でも、実際に取り組んでみると「想定していたほど効果が得られない…」ということは往々にして起こります。そのため定期的な効果検証とそれに基づく改善行動は、マーケティング戦略の実行に欠かせないと言えるでしょう。

3.これだけは押さえておきたい!効果的なマーケティング手法

ここではマーケティング戦略を実行していく上で、押さえておきたい効果的なマーケティング手法について確認します。

Webマーケティング

Webマーケティングとは、Web上で行われる一連のマーケティング手法のことを指します。具体的には以下のような手法が挙げられるでしょう。

  • SEO(検索エンジン最適化)によるWebサイトへの集客
  • Web広告運用
  • コンテンツマーケティング
  • ウェビナー(Web上で行われるセミナー)
  • SNSマーケティング
  • メールマーケティング

Webマーケティングに内包される手法の多くは、顧客反応などに関するデータを取得しやすいため、素早い改善に繋げることができるという特長があります。また、データを用いた詳細なターゲティングができるといった強みもあり、現代のマーケティングにおいて重要な役割を担う施策と言えるでしょう。

コンテンツマーケティング

コンテンツマーケティングとは、顧客にとって価値のあるコンテンツを提供することで、購買意欲を向上させ、購入や利用といった実成果に繋げるマーケティング手法を指します。ブログ記事をはじめ、ホワイトペーパーやメルマガ、動画といった様々な形態のコンテンツを用意することで、顧客の多様な情報ニーズに応えることが可能です。

効果が出るまである程度の期間がかかるという難点はありますが、コンテンツが蓄積されていくにつれて、広告コストを抑えながら高い集客効果や購買促進効果を発揮するようになります。

そのためコンテンツマーケティングに取り組むことで、最終的には広告を打たなくても、マーケティング上の成果を得られるでしょう。

参照:コンテンツマーケティングを始めるべき理由や、陥りがちな失敗とそこから学ぶ改善策をわかりやすくご紹介

SNSマーケティング

SNSマーケティングとは、FacebookやX(旧Twitter)、InstagramといったSNSを活用して行われるマーケティング施策のことです。SNS上でユーザーにとって有益な情報を投稿したり、広告を展開したりと様々な活用方法があります。

例えばフォローやコメントを参加条件とするキャンペーン(参加者の中から抽選でクーポンやプレゼントを提供する施策)を実施すれば、短期間での認知拡大にも繋げられる可能性もあります。

コンテンツマーケティングで制作した各コンテンツの拡散経路としても利用できるなど、他のマーケティング手法とのシナジー効果も高いと言えるでしょう。

ただし運用の仕方次第で、炎上やブランドイメージの低下にも直結してしまうので、その点は注意が必要です。

インフルエンサーマーケティング

インフルエンサーマーケティングとは、Instagramを中心としたSNS上で情報を配信している「インフルエンサー」を起用するマーケティング施策です。

特定のインフルエンサーとタイアップし、自社製品やサービスのレビューを投稿してもらうことで、インフルエンサーのフォロワーに対してアプローチすることができます。

インフルエンサーの投稿は口コミに近い効果があり、企業側の広告よりも信頼されやすいという特徴もあることから、BtoC領域では特に活用されている手法です。とはいえBtoB領域では活用しにくかったり、SNSマーケティングと同様に炎上のリスクがあったりする点は注意しましょう。

4.マーケティング戦略立案に役立つ9つのフレームワーク

続いてマーケティング戦略立案に役立つフレームワークを9つ紹介します。

環境分析に役立つ4つのフレームワーク

まずは環境分析に役立つフレームワークをご紹介します。

PEST分析

PEST分析は外部環境分析に用いられるフレームワークです。

  • Political:政治的環境要因
  • Economic:経済的環境要因
  • Social:社会的環境要因
  • Technological:技術的環境要因

上記4つの頭文字を合わせてPESTと呼び、それぞれの観点から外部環境に潜むポジティブもしくはネガティブな影響を整理していくことになります。

各観点に含まれる代表的な要素は以下の通りです。

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3C分析

3C分析とはCustomer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)の3つのCを通じて、外部・内部環境を分析するフレームワークです(以下の図を参照)。

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3C分析ではまず各Cに含まれる要素を洗い出していきます。自社の要素としては競合との相対的な強みや弱みを挙げていきましょう。

競合については直接競合(Ex.マクドナルドに対するモスバーガー)だけでなく、間接競合(Ex.マクドナルドに対するドトールコーヒー)も含めて、製品・サービスの特長などを列挙していきます。

顧客の要素としては、不満・不足といった切り口でニーズを整理していけば良いでしょう。各要素を出し終えた後は、それぞれの要素を掛け合わせながら考察し、市場機会を見出していくことになります。

「誰も満たせていないニーズ」や「誰も気づいていないニーズ・機会」に競合他社よりも早く手を打つことができれば、先行利益を得ることができるでしょう。

参照:3C分析とは?メリットや具体的なやり方、コツなどを分かりやすく解説

5フォース分析

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5フォース分析とは、外部環境を把握する際に用いられるフレームワークです。

上記図にあるように、外部環境における競争要因として以下の5つの要素を挙げています。

  • 競合企業
  • 顧客
  • 新規参入業者
  • 供給業者
  • 代替品

マーケティングにおける目標を達成する上で、どの要素が脅威となりうるのかといった点を考察していくことになります。

SWOT分析

SWOT分析ではPEST分析や3C分析、5フォース分析などで整理した内部・外部環境の要素を、以下の図にあるように4つの象限に当てはめて、アイデアや機会を探っていきます。

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ST領域(強み×機会)やWT領域(弱み×脅威)はそこまで意識せずとも注目されますが、ST領域(強み×脅威)とWO領域(弱み×機会)については、深く検討されることが意外と少ないと言えます。

しかしST領域やWO領域にこそ、新たなマーケティング上のアイデアの源泉があることも多いため、この領域にも着目していくことがポイントになるでしょう。

参照:【図解】SWOT分析とは?目的や実施方法、ポイントなどを徹底解説

ターゲティングや顧客分析に役立つ5つのフレームワーク

次にターゲティングや顧客分析に役立つフレームワークをご紹介します。

AIDMA・AISASなどの消費者行動モデル

AIDMAやAISASといった消費者行動モデルは、顧客がどういった態度変化を経て購買に至るのかを説明したものです。

消費者行動モデルには以下のような種類があります。

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AIDMAやAISASのように比較的古いものから、VISASやSIPSのようにSNSの普及に合わせて生まれたものもあり、自社のビジネスモデルや顧客に合わせて使い分けると良いでしょう。消費者行動モデルは、後ほど紹介するカスタマージャーニーマップに当てはめて活用することになります。

ペルソナ

ペルソナとはターゲット顧客の詳細な人物像のことで、マーケティング戦略における「誰の」を詳細まで深堀りしたものとなります。年齢や性別、家族構成は勿論、趣味・嗜好や価値観、ライフスタイルといった様々な要素を踏まえて人物像を創り上げていきます。

ペルソナを作成する際に用いる項目としては、先に挙げた項目の他に以下のようなものが挙げられます。

【ペルソナの項目】

  • 居住エリア
  • 世帯年収
  • 会社での役職・役割
  • 移動手段
  • 情報収集傾向
  • 服装
  • 喜びを感じるシーン
  • 好きなもの
  • 嫌いなもの
  • 今不満に感じていること
  • 不足していること
  • 不快に思うこと
  • 平日や休日の過ごし方
  • 家で使っているデバイス

BtoBビジネスの場合は、事業規模や経営目標、従業員数などの項目を設けた企業ペルソナも併せて制作することで、ターゲティングの精度をより高めることができるでしょう。

参照:【DLできるテンプレート公開】ペルソナとは?作り方の5つのステップや具体的な活用方法を解説

カスタマージャーニーマップ

カスタマージャーニーマップとは、顧客がある商品やサービスを利用する過程や経験の道のりや態度変容の全容をまとめたものです。

購買検討プロセスは一般的に「認知⇒興味関心⇒比較検討⇒購買⇒リピート」といったように整理されますが、先ほどご紹介した消費者行動モデルを当てはめるケースもあります。

各購買検討プロセスに対して、以下のような項目の情報を加えていくことで、顧客行動を深く分析していくことになるでしょう。

【カスタマージャーニーマップの項目】

  • 顧客の行動
  • 顧客の思考・ニーズ・悩み
  • マーケティング施策の目的
  • 接点となるチャネル
  • 主なコンバージョンポイント(何をもって成果とするか)
  • 現在提供している情報や実施している施策
  • 今後追加すべき情報・コンテンツ・施策

参照:カスタマージャーニー作成の教科書【テンプレート無料公開】

マインドマップ

ポジショニングマップやカスタマージャーニーマップにおいて、顧客の思考やニーズを探っていく際に役立つフレームワークとして、マインドマップというものがあります。

マインドマップとは、ターゲットとなるペルソナの心の中で、特定のテーマに対してどういった連想(イメージ)がされているのかを探るためのフレームワークです。

自社の製品・サービスに関するテーマを中央に置き、それに対してペルソナがどういった連想を抱いていくのかを考え、連想を表す言葉を直感的に書いていきます。(以下の図参照)

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一つの連想から多くの連想が生まれている部分は、施策展開のヒントになっているケースも多いため重点的にチェックしましょう。連想を書き込んでいく中でネガティブな言葉も当然出てきますが、これもあえて除外せずに取り入れていくことで、自社や競合が満たせていないニーズの把握に繋がります。

RFM分析

RFM分析とはRecency(最終購入日)、Frequency(購入頻度)、Monetary(購入金額)の3つの観点で顧客を分析するフレームワークで、EC事業者などで顧客分析を行う際によく用いられます。

既存顧客の中から利用頻度の高い顧客を抽出し、その顧客層に対してどういったアプローチを実施していたのかなどを探るために用いられます。

まず日数や頻度、金額ごとにスコアを設けて、既存顧客を振り分けることで、スコアの高い=ロイヤルティ(製品・サービスへの愛着度)の高い既存顧客を抽出しましょう。

次にロイヤルティの高い顧客に対して行っているアプローチを分析し、それを低スコアの既存顧客に対するアプローチと比較した上で、改善点などを探っていくことになります。

5.マーケティング戦略を成功させるポイント

ここからはマーケティング戦略を成功させるポイントをご紹介します。

ポイント①:顧客理解を深める

マーケティング戦略を策定する際、顧客理解を深めることが何よりも重要と言えます。

現代では顧客の持つニーズや悩みは多様化しているため、それぞれに最適化されたアプローチを実施しなければ、購買や利用といった成果を生み出すことは難しいでしょう。

そのためペルソナやカスタマージャーニーマップ、マインドマップなどを活用して、顧客を細かく分析し、理解をとことん深めていく必要があるのです。

ポイント②:ブランディングに取り組む

二つ目に挙げられるポイントはブランディングに取り組むという点です。ブランディングに取り組み、顧客に伝えたい価値観や理念などを明確にすることで、マーケティング活動において訴求すべき点も自ずと定まってきます。

訴求点が明確になれば、マーケティング活動が顧客に対して与えるイメージも統一され、STPで定めたポジションの確立にも大きく貢献するでしょう。

ポイント③:マーケットインのスタンスで考える

高度経済成長期からバブル期にかけての日本企業は、良いものを作れば売れるという「プロダクトアウト」の思想でマーケティングに取り組んでいました。それは敗戦後の何もない状態で、需要が供給をはるかに上回っていた時代をベースにした考え方と言えます。

対して現代はモノやサービスに溢れ、供給が需要を上回っている時代です。

そうした状況においては、市場ニーズを徹底的に分析して、顧客が本当に必要としている製品・サービスを生み出す「マーケットイン」の思想が必要となります。

ポイント④:顧客データを蓄積し、有効活用する

顧客データを蓄積し、有効活用する点もポイントとして挙げられます。

現在はマーケティングにおいても様々なデジタルツールが活用されており、顧客に関するデータも取得しやすくなっています。

これらのデータを蓄積して分析を重ねて、顧客理解を深めることができれば、マーケティング施策の精度を高めていくことができるでしょう。

ポイント⑤:既存顧客のロイヤルティ向上にも力を入れる

既存顧客のロイヤルティを高めることも重要なポイントになります。新規顧客獲得だけに注力し、既存顧客に対するフォローを疎かにしていては、底に穴が開いたバケツに水を入れるのと同じく、せっかく苦労して獲得した顧客も離れていってしまいます。

そのため既存顧客向けの施策を拡充させ、ロイヤルティ向上にも力を入れる必要があるでしょう。

ポイント⑥:MAなどのツールを導入する

ポイントの最後にご紹介するのは、マーケティングオートメーション(以下、MA)などのツールの導入です。MAやCRM(顧客管理ツール)には、顧客情報の管理や顧客リストの抽出、メール自動配信などといった機能が搭載されています。

また顧客に関するデータなども取得しやすくなるため、これらのツールを上手く活用することで、マーケティング活動をより効率的・効果的に実施できるでしょう。

参照:マーケティングオートメーション(MA)とは?機能や選び方、おすすめツールまで紹介

参照:CRMとは?導入メリットや機能、選び方やおすすめツールまで解説

6.マーケティング戦略の成功事例

最後にマーケティング戦略の成功事例をご紹介します。

事例①:スターバックスのマーケティング戦略

スターバックスは「ザ・サードプレイス(自宅でも職場でもない、くつろげる第三の場所)」というポジションを確立しているコーヒーチェーン店です。

都市部且つ、比較的大きな駅に近い場所に店舗を構えていることが多く、自宅やオフィス以外で仕事をしたいというオフィスワーカーや、おしゃれな場所でゆったりした時間を過ごしたい主婦といった顧客層を中心に愛好されています。

スターバックスではコーヒーという機能的価値だけでなく、「おしゃれで都会的な空間」や「そこで過ごす上質な時間」といった情緒的価値を全面的に訴求することで、他コーヒーチェーン店とは異なるポジションを築いているのです。

また期間限定メニューを定期的に販売することで、SNS上での投稿・拡散を喚起しており、広告費用をかけることなく効果の高いプロモーションを実現しています。

事例②:SmartHRのマーケティング戦略

SmartHR(スマートHR)はクラウド人事労務ソフトを提供する企業です。労務管理クラウド部門において5年連続シェアNo.1の実績を誇り、2023年時点で登録社数50,000社以上となっています。

これらの成功の裏には、深い顧客理解をベースとしたマーケティング活動があるのです。

SmartHRではSalesforceやMarketoといったツールを活用して、マーケティング部門だけでなく営業などの関連部門と連携しながら、顧客に関するデータを一元管理しています。Web上での顧客行動データは勿論、インサイドセールス(遠隔で顧客とコミュニケーションを図る職種)が顧客に対して行ったアプローチ内容、営業の商談内容といったデータを集約して細かく分析しています。

データを徹底的に分析して顧客理解を深めることで、適切なマーケティングアプローチを実現し、高いシェアを誇る企業へと成長したのです。

7.まとめ

今回はマーケティング戦略をテーマに、概要や立案の流れ、役立つフレームワークなどをまとめてご紹介してきましたが、いかがでしたか。

マーケティング戦略を策定することで、マーケティング活動に携わる人達の中で共通認識が生まれ、それによってブレのない施策展開を実現できます。マーケティング戦略を何もない所から考えることは難しいですが、優れたフレームワークを駆使することで、重要な観点を押さえた戦略を効率的に立案できるでしょう。

ぜひこの記事を参考に、マーケティング戦略の立案に取り組んでみていただければ幸いです。

Strhではマーケティング戦略の策定から施策の実行支援まで、ワンストップでのご支援が可能です。マーケティング活動でお困りごとがございましたら、まずはお問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。

執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀

大学卒業後、株式会社TBI JAPANに入社。株式会社Paykeに取締役として出向し訪日旅行者向けモバイルアプリ及び製造小売り向けSaaSプロダクトの立ち上げを行う。
アクセンチュア株式会社では大手メディア・総合人材企業のセールス・マーケティング領域の戦略策定や業務改革、SFA・MAツール等の導入及び活用支援業務に従事。
株式会社Paykeに再入社し約10億円の資金調達を行いビジネスサイドを管掌した後、Strh株式会社を設立し代表取締役に就任。

▼保有資格
Salesforce認定アドミニストレーター
Salesforce認定Pardotスペシャリスト
Salesforce認定Pardotコンサルタント
Salesforce認定Sales Cloudコンサルタント

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