Account Engagement(旧 Pardot)APIでデータ活用!実現できることや連携方法、活用事例を徹底解説

この記事でわかること
- Account Engagement(旧 Pardot)APIの概要
- Account Engagement(旧 Pardot) API バージョン3、4、5 の違い
- Account Engagement(旧 Pardot)APIを使用する上での注意点
- Account Engagement(旧 Pardot) APIを活用した外部システムとの連携方法

執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀
Account Engagementの導入や活用のお困りごとはプロにご相談ください
- 自社の業務にあったAccount Engagement APIの活用方法がわからない
- Account Engagement APIをSlackやGoogleスプレッドシートなど、外部ツールと柔軟に連携したい
- 最新のAPIバージョンに対応した設計や移行に不安がある
Account Engagement(旧 Pardot)はSalesforceが提供するマーケティングオートメーション(MA)ツールです。APIを使うことでAccount Engagement(旧 Pardot)内のデータに外部システムからアクセスすることができます。
サイト解析ツールやBI・データ分析ツールと連携させることでより効果的なマーケティング活動を実現できます。ツール側が提供する連携方法では実現が難しい細かな制御や、特定の業務フローに合わせたカスタマイズも可能になるため、より柔軟な他システムとの連携を行いたい方にはおすすめの機能です。
本記事ではAccount Engagement(旧 Pardot)APIの概要、API連携でできること、活用事例まで詳しく解説します。
Account Engagement(旧 Pardot)を導入中の方、これから導入を検討されているかたはぜひ参考にしてください。
参照:Account Engagement(旧 Pardot)とは?機能や特徴、他のMAツールとの比較も含めて徹底解説
目次
Account Engagement(旧 Pardot)APIとは
Account Engagement(旧 Pardot)API は、Salesforceが提供するマーケティングオートメーションツールAccount Engagement(旧 Pardot、以下Pardot)と外部ツールを連携し、データの取得・更新・管理を可能にするための仕組みです。
Pardot内のプロスペクト、ビジター、Eメールなどのデータを外部のツール/システムに統合し、マーケティング活動の最適化や営業プロセスの効率化を実現します。
Account Engagement(旧 Pardot)APIを活用する3つのメリット
①データ連携を強化しマーケティング施策を最適化
APIを活用することで、PardotのデータをWeb解析ツール、BIツール、チャットツールなどとリアルタイムで連携できます。たとえば、PardotのデータをGoogl Analyticsと統合し、サイトへの流入経路とコンバージョンをより深く分析する、BIツールと連携しより高度な分析を行うことが可能になります。
②業務を自動化し業務工数を削減できる
APIを活用することで、外部システムのデータをトリガーに業務を自動化し、人的作業の負担を軽減できます。また、フローをより細かく設定できるため、ターゲットに最適化された施策の展開が容易になります。
たとえば、チャットツールと連携プロスペクトが一定のスコアに達した際に、営業担当にチャットで通知したり、タスク管理ツールと連携し自動でタスクを割り当てるなど様々な業務を自動化し業務効率化できます。
③リアルタイムにより高度な分析を実現
Pardot APIを使用すると、プロスペクトデータやキャンペーンのパフォーマンスをリアルタイムで取得し、他のツールやシステムで取得したデータと紐づけ、Google Data StudioやPower BIなどのBIツールへ統合することができます。これにより、横断的なデータ管理・高度な分析が可能になり、データドリブンなマーケティング戦略の立案と最適化が促進されます。
それではこのメリットを具体的にどう実現するのか、Pardot APIでできることを紹介します。
Account Engagement(旧 Pardot) APIで実現できること
BIツール(Google Data Studio、Power BIなど)とのデータ連携
Pardot APIを活用することでBIツールと連携し、マーケティングデータを視覚的に分析できます。また、外部のシステム(Web解析ツールやECシステムなど)のデータとあわせてBIツール上で分析することで、キャンペーンの効果測定や顧客行動の分析が可能になり、データに基づいた意思決定がしやすくなります。
Slackをはじめとしたチャットツールでのリアルタイム通知
APIを利用してPardotのフォーム送信やスコア変動をトリガーとし、SlackやTeamsなどのチャットツールにリアルタイムで通知を送ることができます。これにより、営業やカスタマーサポートチームが迅速にアクションを取れるようになります。
Google スプレッドシートとの自動データ同期
Pardot APIを使用して見込み顧客データやキャンペーン情報をGoogle スプレッドシートと自動的に同期することで、データ管理の手間を削減し、スムーズな情報共有を実現します。
カスタムワークフローの構築
Pardotのデータをトリガーに外部ツールと連携したワークフローを構築できます。たとえば、ECサイトの購買データとPardotを統合し、特定の行動パターンに基づいたカスタムフォローアップを自動化するなど、より高度なマーケティング施策を展開できます。
Account Engagement(旧 Pardot) API バージョン3、4、5 の違いを徹底解説
Pardot APIには現在、バージョン3/バージョン4/バージョン5の3つのバージョンが存在します。ここからはそれぞれのバージョンの特徴を解説していきます。
Account Engagement(旧 Pardot) API バージョン5の特徴
現在、最新のバージョン5ではREST APIを全面採用し、柔軟なデータ連携が可能になっています。Ver_には以下のような特徴があります。
REST APIベースでよりモダンな構成
バージョン5はREST APIを採用し、従来のSOAP APIに比べてより直感的かつ柔軟なデータ操作が可能になりました。REST APIは、HTTPメソッド(GET、POST、PUT、DELETEなど)を使ってデータ操作を行うため、Web APIとしての標準的な実装が可能です。また、外部システムとの連携や自動化処理を行う際にも柔軟性が高く、様々なツールやフレームワークとの親和性が高いのが大きな特徴です。
従来のSOAPベースでは煩雑だったリクエスト構築やエラーハンドリングも、REST APIによりシンプルかつ効率的になり、開発スピードの向上と保守性の確保が実現されました。
Bulk APIによる大量データ処理の強化
バージョン5では、Bulk API(バルクAPI)が新たに導入されました。これにより、大量のレコードを一括で処理することが可能となり、従来のように1件ずつAPIリクエストを送信する必要がなくなりました。
たとえば、以下のようなシーンでその真価を発揮します:
・数万件規模のリードデータを一括インポートする
・大量のアクティビティ履歴を日次で外部ツールに出力する
このような処理を高速・効率的に行えることで、バッチ処理や定期的なデータ同期の時間短縮が実現し、業務全体のパフォーマンス向上を実現します。
OAuth 2.0認証のみ対応
バージョン5では、認証方式としてOAuth 2.0をサポートしています。OAuth 2.0はアクセストークンベースの認証であるため、ユーザー認証情報の取り扱いが不要となり、不正アクセスや漏洩リスクが大幅に軽減されます。
レートリミットの増加
APIのリクエスト制限(レートリミット)が緩和され、大量データ処理や高頻度のデータ連携にも耐えうる性能が確保されています。
以前のバージョンでは、「処理が途中で止まる」「一定時間待たなければならない」といった課題がありましたが、バージョン5ではこれらの制約が大幅に軽減され、リアルタイム性の高い安定した連携を構築できます。
Account Engagement(旧 Pardot) API バージョン4の特徴
バージョン4は、バージョン3からバージョン5への移行を意識したハイブリッド構成のバージョンです。旧システム資産を活かしつつ、新しい技術要素を部分的に取り入れた中間的な立ち位置にあり、移行期のユーザーにとっては柔軟な選択肢となっていました。
REST API + SOAP APIのハイブリッド
バージョン4では、REST APIとSOAP APIの両方が利用可能です。これにより、既存のSOAP APIベースの連携資産を残しつつ、一部機能はREST APIへと段階的に切り替えるといった運用が可能になります。
- 既存のSOAPエンドポイントを活かしたまま、新しい機能はRESTで追加
- システム改修の負荷を抑えながら、段階的なモダナイズを実現
- REST未対応オブジェクトに対しては引き続きSOAPで対応
ただし、REST API自体もバージョン5に比べるとカバー範囲が限定的であり、APIレスポンスの構造や拡張性に制約があるため、本格的なAPI連携を行うにはやや物足りない仕様です。
OAuth 2.0認証の導入
バージョン4からOAuth 2.0が導入され、従来のAPIキー認証よりもセキュリティの高いアクセス管理が可能になりました。ただし、バージョン4では依然としてAPIキー認証も併存していたため、運用時に混乱が生じるケースもありました。
Bulk API非対応
バージョン4では、Bulk APIによる一括処理機能が搭載されていないため、データの登録・更新は基本的に1件ずつのリクエスト送信となります。大量データを扱う場合には、繰り返しリクエストを投げる必要があり、処理時間やエラーのリスクが高まる傾向があります。
Account Engagement(旧 Pardot) API バージョン3の特徴
バージョン3は、Parot APIの初期バージョンであり、現在は完全に旧仕様として位置づけられています。モダンなAPI開発やセキュリティ要件には対応しておらず、新規利用は推奨されない非推奨バージョンです。
SOAP APIをベースとした旧バージョン
バージョン3では、API連携はすべてSOAPベースで構築されており、XMLを使ってリクエストやレスポンスを定義する必要がありました。これは構造が複雑で、読み書きやエラーハンドリングが煩雑なため、開発の自由度・保守性ともに大きな制約がありました。
APIキーを使った認証方式(OAuth 2.0非対応)
ユーザーごとのAPIキーを用いた認証方式が採用されています。OAuth 2.0のようにトークンの有効期限やスコープ制御ができないため、以下のようなセキュリティリスクがあります。
- APIキーが漏洩すれば、無制限にアクセスされてしまう
- 権限の最小化やアクセス管理が困難
- セッション管理や再認証処理が煩雑
このため、セキュリティ要件が高い組織では運用が難しく、早期のバージョン移行が必須となります。
新機能の追加はなし(非推奨)
現在バージョン3は非推奨バージョンとされており、機能追加や修正はすでに停止されています。今後の機能強化や新たな対応はすべてバージョン5に向けて進められており、バージョン3の環境をそのまま維持することにはリスクが伴います。
SOAP APIとREST APIの違いとは
SOAP APIとREST APIは、Webサービスを提供するための異なるアーキテクチャスタイルです。
SOAP API(Simple Object Access Protocol)
SOAP API(Simple Object Access Protocol)は、XMLを使用したメッセージ形式でやり取りされ、厳格な標準規格に基づいて設計されています。このため、銀行の基幹システムや決済処理など高いセキュリティと信頼性が求められるシステムでよく利用されます。操作内容がWSDL(Web Services Description Language)によって明確に定義されており、堅牢な構築が実現できます。一方で、処理が重く、実装の自由度が低いというデメリットもあります。
REST API(Representational State Transfer)
それに対してREST API(Representational State Transfer)は、軽量で柔軟なデータ通信が特徴です。一般的にも扱いやすいといわれるJSONやXMLなど複数のフォーマットに対応しています。URLをベースにしたシンプルな構造で、GET、POST、PUT、DELETEといったHTTPメソッドを活用することで直感的な操作が可能です。また、低コストで拡張性の高い開発がしやすい点も、REST APIのメリットです。
Account Engagement(旧 Pardot)APIを使用する上での注意点
API認証が必要
Pardot APIを利用するには、適切な認証が必要です。最新のPardot API(バージョン5)では、OAuth 2.0認証が必須となっており、アクセストークンを取得してAPIリクエストを送信する必要があります。
■API認証における確認箇所
①OAuth 2.0の設定
Salesforceの接続アプリを作成し、適切なスコープを設定することで、Pardot APIへのアクセスを許可できます。
②アクセストークンの管理
トークンの有効期限が切れた場合は、リフレッシュトークンを使用して新しいアクセストークンを取得する必要があります。
③IP制限の確認
Salesforceのセキュリティ設定により、特定のIPアドレスからのAPIアクセスが制限されている場合があるため、事前に許可リストを確認してください。
APIにはコール制限がある
Pardot APIには、1日に許可されるAPIコールの上限が設定されています。この制限は、Pardotの契約プランやSalesforceのエディションによって異なります。
■エディションごとのAPIコール上限
- Growthエディション:25,000回/日
- Plusエディション:50,000回/日
- Advanced・Premiumエディション:100,000回/日
無駄なAPIコールを削減するために、データのバッチ取得(Bulk API)の活用が求められます。また、APIを利用するスクリプトやツールの実行頻度を最適化することで不要なリクエストを減らしたり、キャッシュを活用して頻繁に変化しないデータはAPIコールを抑制したりすることが必要です。
APIコール制限を超えると一時的にAPIリクエストがブロックされるため、上限を意識した効率的な運用を行うことが重要です。
Account Engagement(旧 Pardot) APIを活用した外部システムとの連携方法
次に、Pardot APIと外部システムの連携方法をご紹介します。
Account Engagement(旧 Pardot)とSlackの連携手順
Pardot APIはSlackと連携することができます。社内のコミュニケーションツールとして、Slackを使用されている企業も多いのではないでしょうか?
Slackと連携することで、プロスペクトの情報(役職・会社名・メールアドレス・電話番号など)がメッセージに自動登録されるようになります。
PardotとSlackの連携は、次の手順で設定します。
■Slack上で設定する手順
- Salesforce Pardot for Slack (Beta) を入手し、Slack上にAPPを作成します。
- Salesforce Pardot for Slack (Beta) からJSONファイルを利用
- 「Review summery & create your app」のダイアログ画面で「Create」を選択。
- 「Install App」項目からTokenを取得。
■Account Engagement(旧 Pardot)上で設定する手順
- 「Account Engagement設定」を開く
- 「編集」ボタンを選択し、「Pardot Slackコネクター(ベータ)」を有効化
- 「コネクター」へ移動し、Slackコネクターを追加
- 「コネクターを作成」画面で「Slack」を選ぶ。
- 「コネクター」内の「Slackコネクター(ベータ)」上にワークスペースを追加(Slack設定時に取得したTokenを追加)。
- 「チャネルを追加」画面で通知の送り先を設定
- 通知のテスト送信を行い、設定が完了しているか確認
Account Engagement(旧 Pardot) とGoogleスプレッドシートの連携手順
PardotはGoogleが提供しているスプレッドシートとも連携することができます。
PardotのデータをGoogleスプレッドシートに自動同期することで、Pardotのプロスペクト情報をスプレッドシートでリアルタイムに共有し、営業やマーケティングの意思決定をスムーズに行うことができます。
■Googleスプレッドシート上で設定する手順
- Google Apps Script を開く
- Googleスプレッドシートの「拡張機能」→「Apps Script」を開く。
- Pardot APIへのリクエストコードを作成
- OAuth 2.0 を利用してPardot API にアクセスするスクリプトを作成。
- プロスペクトデータを取得し、Googleスプレッドシートに書き込む処理を記述。
- スクリプトを保存し、定期実行を設定
- 「トリガー」を設定し、一定間隔(例:毎日、毎時間)でデータ取得を自動実行。
■Account Engagement上で設定する手順
- APIクライアントの設定
- Salesforceの「接続アプリ」を作成し、APIアクセスを許可。
- OAuth 2.0 認証情報を取得
- クライアントID、クライアントシークレットをGoogle Apps Script に設定。
- APIリクエストを送信し、データ取得を確認
- Googleスプレッドシート上にプロスペクトデータが自動更新されることを確認。
この連携により、Pardotのプロスペクト情報をスプレッドシートでリアルタイムに管理し、営業やマーケティングの意思決定をスムーズに行うことができます。
まとめ
本記事ではAccount Engagement(旧Pardot)APIの概要や活用例、各バージョンの違いを解説しました。
SaaSツールが提供する標準的な連携機能では対応しきれない業務要件や、より細かな制御を必要とするシーンにおいて、Account Engagement(旧Pardot)APIは非常に強力な武器となります。
自社のマーケティング施策や営業プロセスに合わせて、柔軟にデータを扱いたい、通知や処理を自動化したい、既存の社内システムとシームレスにつなぎたいというニーズに応えるのが、APIを活用した連携です。
特に最新のバージョン5では、REST APIやBulk API、OAuth 2.0認証の導入により、開発のしやすさ・セキュリティ・拡張性が大幅に向上しています。これにより、汎用的な連携では実現できない、高度で自社特化型の連携も無理なく構築できます。
ぜひ、Account Engagement(旧Pardot)APIマーケティングを活用して、マーケティング自動化・効率化に挑戦してみてください。
とはいえ、自社でどのようにAccount Engagement(旧Pardot)APIをすれば活用すれば良いのかわからないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。ストラでは、Account Engagement(旧Pardot)APIを含むAccount Engagement(旧Pardot)の導入や活用について、実績をもったコンサルタントが支援しています。お困りごとがありましたら、お気軽にご相談ください。
また、ストラのAccount Engagement(旧Pardot)の導入支援、定着化・活用支援について、さらに詳しく知りたい方はこちらのページで紹介しています。
Account Engagementの導入や活用のお困りごとはプロにご相談ください
- 自社の業務にあったAccount Engagement APIの活用方法がわからない
- Account Engagement APIをSlackやGoogleスプレッドシートなど、外部ツールと柔軟に連携したい
- 最新のAPIバージョンに対応した設計や移行に不安がある


執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀
大学卒業後、株式会社TBI JAPANに入社。株式会社Paykeに取締役として出向し訪日旅行者向けモバイルアプリ及び製造小売り向けSaaSプロダクトの立ち上げを行う。
アクセンチュア株式会社では大手メディア・総合人材企業のセールス・マーケティング領域の戦略策定や業務改革、SFA・MAツール等の導入及び活用支援業務に従事。
株式会社Paykeに再入社し約10億円の資金調達を行いビジネスサイドを管掌した後、Strh株式会社を設立し代表取締役に就任。
▼保有資格
Salesforce認定アドミニストレーター
Salesforce認定Marketing Cloudアドミニストレーター
Salesforce認定Marketing Cloud Account Engagementスペシャリスト
Salesforce認定Marketing Cloud Account Engagement コンサルタント
Salesforce認定Sales Cloudコンサルタント
Salesforce認定Data Cloudコンサルタント