Account Engagement(旧Pardot)の完了アクションとは?設定方法や活用事例について解説
この記事でわかること
- Account Engagement(旧Pardot)の完了アクションとは何か?
- Account Engagement(旧Pardot)で使用可能な完了アクションの種類
- Account Engagement(旧Pardot)の完了アクションと条件付き完了アクションの違い
- Account Engagement(旧Pardot)の完了アクションの設定方法
- Account Engagement(旧Pardot)の完了アクションの活用事例
- Account Engagement(旧Pardot)の完了アクションを活用する際の注意点
執筆者 取締役 / CTO 内山文裕
自社のマーケティング活動にAccount Engagement(旧Pardot)をご活用されている企業は多いかと思いますが、Account Engagement(旧Pardot)を効果的に運用する上で欠かせない機能のひとつに「完了アクション」があります。
Account Engagement(旧Pardot)の完了アクションは、見込み顧客がフォーム通過やリンクのクリックなど特定のアクションを行った際に、自動的にメール送信や営業メンバーへの通知など各種アクションを実行することができる機能です。
一方で、完了アクションには様々な機能があり、自社の業務に合わせて効果的に活用するにはどのような設定が適切なのか、機能を適切に理解することが必要です。
そこで本記事では、Account Engagement(旧Pardot)の完了アクションの機能概要や設定方法、具体的な活用メリットや活用時の注意点について詳しく解説していきます。
この記事を参考に、Account Engagement(旧Pardot)の完了アクションを活用した自社のリード管理やマーケティングプロセスをさらに最適化し、自社の業務効率化にお役立てください。
Account Engagement(旧Pardot)の基本的な理解については以下の記事も参考にしてください。
参照:Account Engagement(旧 Pardot)とは?機能や特徴、他のMAツールとの比較も含めて徹底解説
目次
Account Engagement(旧Pardot)の完了アクションとは
まずは、Account Engagement(旧Pardot)の完了アクションについて機能概要や活用メリット、使える完了アクションの種類を解説します。
これから活用を検討されているご担当者様は、Account Engagement(旧Pardot)の完了アクションがどのようなものか、自社にとってどのようなメリットがあるのかご確認の上、ご活用ください。
既に活用をされているご担当者様も、現在活用している完了アクションの他に自社で活用ができそうな完了アクションが無いか、改めてご確認いただくきっかけになれば幸いです。
Account Engagement(旧Pardot)の完了アクションの機能概要
Account Engagement(旧Pardot)の「完了アクション」とは、見込み顧客(プロスペクト)が特定の行動をした際に自動的に実行されるアクション機能です。
これにより、見込み顧客がフォームの通過やメールリンクのクリックなどの行動を行うと、事前に定義していた行動をトリガーとして様々な完了アクションが実行されます。
例えば、完了アクションでは見込み顧客のスコアを更新したり、特定のリストへ追加するなど、自社のマーケティングを効率的に行うための管理が可能となります。
また、営業メンバーに通知を送信するなど、見込み顧客への迅速な対応を行うためのフローを構築することもできるため、リードナーチャリングといったマーケティング活動だけでなく、営業活動にも効果的です。
Account Engagement(旧Pardot)の完了アクションを活用するメリット
Account Engagement(旧Pardot)の完了アクションを活用することにより、見込み顧客の行動に応じたリアルタイムなフォローが可能になり、マーケティングや営業効率が大幅に向上します。
例えば、見込み顧客が特定のリンクをクリックした際に、自動的に営業担当者へ通知が行くことで、素早い営業フォローが可能になります。
さらに、特定の条件を満たした見込み顧客をスコアリングし、リストへ自動反映することで、見込み顧客の状態や関心度に基づいた精度の高いコンテンツ制作やアプローチ施策に役立てることができます。
Account Engagement(旧Pardot)の完了アクションは本来マーケティングや営業担当者が手動で行う作業を削減し、効率的な見込み顧客管理と育成が可能になるため、最終的には企業の成約率向上や離反率削減にも寄与します。
マーケティングや営業活動の即応性と効率性を高め、質の高いカスタマーエクスペリエンスを実現するためにAccount Engagement(旧Pardot)の完了アクションを活用することは非常に重要です。
Account Engagement(旧Pardot)で使用可能な完了アクションの種類
Account Engagement(旧Pardot)で使用できる代表的な完了アクションは以下の通りです。
完了アクション | 定義 |
---|---|
タグを追加 | プロスペクトにタグを適用 |
リストに追加 | プロスペクトをリストに追加 |
キャンペーンへの追加 | プロスペクトにSalesforceのリードレコードまたは取引先責任者レコードがある場合、そのプロスペクトに選択したSalesforceキャンペーンのタグを適用 |
スコアを調整 | 選択した数値でプロスペクトのスコアを調整または特定の数値にスコアをリセット |
Salesforce の有効な割り当てルールに基づいてプロスペクトを割り当て | Salesforce の有効な割り当てルールにプロスペクトをプッシュ。プロスペクトがSalesforceで割り当てられた後、元のAccount Engagementに同期。 |
グループに追加 | プロスペクトをAccount Engagementのリード配布グループに割り当てる。 |
キューに割り当て | プロスペクトをSalesforceのキューに割り当てる。※プロスペクトが Salesforce の取引先責任者と同期されている場合は、このアクションを使用しない |
ユーザーに割り当て | プロスペクトをユーザーに割り当てる。 |
プロスペクトのカスタム項目値を変更 | カスタム項目値を変更 |
プロスペクトのデフォルト項目値を変更 | デフォルト項目値を変更 |
SalsforceのToDoを作成 | プロスペクトにSalesforceのToDoを作成。※プロスペクトがユーザー、キュー、グループに割り当てられるか、有効な割り当てルールによって割り当てられるまで、ToDoは同期されない |
プロスペクト項目値を増加 | 数値項目の値の加算または減算を行う。※ビジネスユニットに数値項目が必要 |
割り当てられたユーザーに通知 | プロスペクトが割り当てられたユーザーに通知 |
ユーザーに通知 | 指定したユーザーに通知 |
リストから削除 | プロスペクトをリストから削除 |
タグを削除 | プロスペクトからタグを削除 |
自動応答メールを送信 | プロスペクトに自動応答メールを送信 |
プロスペクトが最初に接触したキャンペーンを設定 | プロスペクトの Account Engagement キャンペーンを変更 |
プロスペクトのソースキャンペーンを設定 | プロスペクトの Account Engagement キャンペーンを変更 |
その他にもSlack連携など、Salesforce社の製品と組み合わせることで業務フローを円滑にできる完了アクションもあります。
また、完了アクションの種類によっては、活用できる場面の制限もいくつかあるため、業務で実運用をする際にはぜひテスト運用を行うようにしてください。
使用可能な完了アクションの詳細については、Salesforceの公式ヘルプもご参照ください。
参照:使用可能な完了アクション
Account Engagement(旧Pardot)の完了アクションと条件付き完了アクションやオートメーションルールとの違い
さらに、SalesforceのAccount Engagement(旧Pardot)の完了アクションへの理解を深めるために、「条件付き完了アクション」や「オートメーションルール」との違いについても整理しておきましょう。
いずれか一つを活用するのではなく、業務の場面に応じてそれぞれの機能を活用する必要があるため、自社の業務フローを整理した上で、ぜひ合わせてご活用ください。
Account Engagement(旧Pardot)の完了アクションと条件付き完了アクションの違い
Account Engagement(旧Pardot)の「完了アクション」は見込み顧客の特定のアクションに対して自動的に実行されるのに対し、「条件付き完了アクション」は設定された条件を満たした場合にのみ実行されます。
例えば、標準的な完了アクションを設定することで、フォームを通過すると無条件で見込み顧客へ自動応答メールの送信ができますが、条件付き完了アクションを使用することで、特定の問い合わせや送信者に対しては別のメールテンプレートを送信するといった柔軟な対応が可能です。
条件付き完了アクションを活用することで、見込み顧客の属性や過去の問い合わせ状況を踏まえた上でアクションを実行できるため、より精度の高いアクションが実行可能になります。
<条件付き完了アクションの設定例>
上記の場合には、問い合わせフォームを通過した見込み顧客が、ある特定のリストに既に追加されているプロスペクトである場合に、別のメールテンプレートを自動返信するようなアクションを実行します。
Account Engagement(旧Pardot)の完了アクションとオートメーションルールの違い
Account Engagement(旧Pardot)のオートメーションルールとは、設定した条件に基づいて見込み顧客を定期的にチェックし、条件に一致する見込み客が発生した際に、都度設定したアクションを実行してくれる機能です。
例えば、「一定期間内に特定のスコアに達した顧客」を常時チェックし、該当の見込み顧客に対してフォローアップメールを送るなど、広範な条件に基づくアクションに効果的です。
完了アクションが特定のキャンペーンや特定のフォームに対して行動した顧客への処理を実行するのに対して、オートメーションルールは中長期的なリードナーチャリングなどにおいて、全体的なリード管理やキャンペーン支援に適しているのが特徴です。
これらを使い分けることで、営業とマーケティングが連携したより戦略的なリードナーチャリングが可能になり、効果的な見込み顧客の管理が実現します。
参照:Account Engagement(旧 Pardot)のオートメーションルールとは?使い方や注意点を実例を交えて徹底解説
Account Engagement(旧Pardot)の完了アクションの設定方法
それでは、実際にAccount Engagement(旧Pardot)の完了アクションを活用するための設定方法について見ていきましょう。
本記事では、よく実務で活用される以下2つの完了アクションについて設定例をご紹介します。
- マーケティングメールを送付後にプロスペクトに対して処理を行うを管理するための完了アクション
- 問い合わせフォーム通過後に自動応答メールを送付するための完了アクション
また完了アクションは以下のアセットで設定が可能です。
- フォーム
- フォームハンドラー
- メール
- ページアクション
- カスタムリダイレクト
- ファイル
自社の業務で必要なアセットをご検討の上、ぜひ本記事を参考に完了アクションの設定をしてみてください。
マーケティングメールを送付後にプロスペクトに対して処理を行う完了アクション
1.マーケティングメールに完了アクションを設定するため、「Account Engagementメール」をクリック
2.「ドラフト」を選択し、「新規リストメールを送信」をクリック
※テンプレートメールには完了アクションを設定することができません
3.必要項目を設定の上、「保存」をクリック
4.メール文面を作成の上、「送信」タブを選択
5.下部にある「完了アクション」の欄より、プロスペクトの行動に応じた任意のアクションを設定し、「保存」をクリックして完了
メールアクションでは以下の設定が可能です。
- プロスペクトがメールを開封した時
- プロスペクトがメールのリンクをクリックした時
- プロスペクトがメールで登録を解除(配信停止)した時
<完了アクション設定例>
問い合わせフォーム通過後に自動応答メールを送付するための完了アクション
1.自動応答メールテンプレートを作成するため、「Account Engagementメール」をクリック
2.「公開済みメールテンプレート」欄にある「メールテンプレートを追加」をクリック
3.必要項目を設定の上、「保存」をクリック
※「次で使用可能」項目の「自動応答メール」にチェックをしてください。
4.自動応答メールで送信したい内容を記載の上、作成が完了したら「テンプレートに公開」をクリック
5.「公開済みメールテンプレート」に新たに作成したメールテンプレートが追加されたことを確認
6.問い合わせフォームに完了アクションを設定するため、「コンテンツ」を選択
7.完了アクションを設定したい作成済みの該当フォームを選択
※フォームが未作成の場合は「フォームを追加」より作成してください
8.「フォームを編集」をクリック
9.フォーム編集画面の「完了アクション」下部にある「アクション」から「自動返信」を選択し、「テンプレート」にて送信したいメールテンプレートを指定して、「次へ」をクリック
10.完了アクションが新たに設定されてことを確認して、「確認して保存」をクリック
Acount Engagement(旧Pardot)の完了アクションを活用する際の注意点
最後に、Account Engagement(旧Pardot)の完了アクションを活用する上で気を付けるべき注意点について解説します。
「想定していた活用ができなかった」という事態を避けるため、自社で設定する際の参考にしてください。
完了アクションの実行順序
Account Engagement(旧Pardot)の完了アクションは定義した順序で実行されるわけではありません。
そのため、場合によっては想定していた順番で処理が実行されず、別のアクションが優先されることもあります。
「フォームを通過後、御礼メールを送信して、さらにリストに追加する」といった、適切な順番でプロスペクトへのアクション処理を実行する場合には、Engagement Studio プログラムの使用が適切です。
Engagement Studioについては、以下の記事も参考にしてください。
参照:Account Engagement(旧 Pardot)のEngagement Studioとは?シナリオの設定方法や事例、設定のポイントをプロが解説
完了アクションが実行される対象
Account Engagement(旧Pardot)の完了アクションはプロスペクトにのみ実行され、匿名のビジター(メールアドレスと氏名など個人情報が紐づいていない訪問者)には活用できません。
また、完了アクションは過去にさかのぼって適用されることはなく、完了アクションを追加した後に発生したプロスペクトの行動にのみ適用されます。
さらに、設定する完了アクションの多くは、プロスペクトのアクションが行われる度に実行されますが、メールリンクのクリックに基づく完了アクションについては、各プロスペクト 1 回のみ実行されます。
完了アクションが実行されない対象
Account Engagement(旧Pardot)の完了アクションの中でも、処理が実行されないプロスペクトのアクションがあります。
プロスペクトが行う画像ファイルのダウンロードや登録解除リンクのクリック、メルマガ購読・配信停止の管理ページといったメールプリファレンスページのクリックではAccount Engagement(旧Pardot)の完了アクションが実行されません。
完了アクションを設定できる上限数
1 つのアセットに設定できる完了アクションは合計 15 個までです。
ただし、Spring ’22 以前から完了アクションを使用している場合には、アセットの完了アクション総数が15個を超えている場合があります。
この場合、設定している完了アクションは問題なく機能しますが、該当アセットの完了アクション総数が15個を下回るまで、完了アクション追加することはできません
まとめ
本記事では、Account Engagement(旧Pardot)の完了アクションについて、基本的な機能概要や設定方法、活用時の注意点などについて解説しました。
自社でもAccount Engagement(旧Pardot)完了アクションを活用するイメージはお持ちいただけたでしょうか?
完了アクションは企業のマーケティング活動において重要な役割を果たし、商談機会の発掘や適切なマーケティングコンテンツの配信、リードナーチャリングなど、効率的な対応を可能にします。
一方、自社のマーケティング活動を最適化するためには、Account Engagement(旧Pardot)の完了アクションを含め、顧客管理方法や自社に適した設定など様々な観点での評価が重要です。
Account Engagement(旧Pardot)完了アクションを始め、自社に適したマーケティングフローや機能活用について、改めて見直しをしたいご担当者様は、ぜひ一度弊社ストラへお問い合わせください。
ストラでは、Account Engagement(旧Pardot)完了アクション以外にも、各社様が実現したい業務フローや体制をヒアリングした上で、Account Engagement(旧Pardot)を活用していくその先のゴールまでを踏まえて、適切なマーケティング活動を支援いたします。
本記事を読んで、自社のAccount Engagement(旧Pardot)活用や全体的なマーケティング戦略について今一度見直してみたいと思われたご担当者様は、ぜひこちらのお問い合わせフォームよりまずはお気軽にご相談してください。
執筆者 取締役 / CTO 内山文裕
青山学院大学卒業後、株式会社ユニバーサルコムピューターシステムに入社。
大手商社のB2B向けECサイトの構築にて会員登録、見積・注文機能、帳票出力などECにおける主要機能のフロント画面・バックエンドの開発に従事。 その後アクセンチュア株式会社に入社。デジタルコンサルタントとしてWebフロントエンド・モバイルアプリの開発やアーキ構築を主に、アパレル・メディア・小売など業界横断的にシステム開発を支援。また、ビッグデータを活用したマーケティング施策の策定やMAツールの導入・運用支援にも従事。
2022年2月にStrh株式会社の取締役CTOに就任。デジタルプロダクト開発の支援やMAツール導入・運用支援を行っている。
▼保有資格
Salesforce認定アドミニストレーター
Salesforce認定Java Scriptデベロッパー