【完全ガイド】Account Engagement(旧 Pardot)のスコアリングとは?スコアリングカテゴリとの違いや活用方法を解説
この記事でわかること
- Account Engagement(旧 Pardot)のスコアリングとは?スコアリングカテゴリの違い
- Account Engagement(旧 Pardot)デフォルトのスコアリングルール内容と注意点
- Account Engagement(旧 Pardot)のスコアリング設定方法
- Account Engagement(旧 Pardot)スコアリングの検討ステップ
- Account Engagement(旧 Pardot)のスコアリングとスコアリングカテゴリ設定のポイント
執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀
Account Engagement(以下、Pardot)の活用を進める上で、意外と活用し切れていない、活用が難しい機能の1つがPardot スコアリング機能です。
以前、執筆した「スコアリングとは?」の記事でもお話したように、Pardotに限らず、マーケティングオートメション(以下、MA)の活用においてスコアリング機能の活用は、マーケティング効率を高める上でも、営業生産性を高める上でも重要な位置づけになります。
「Pardotのスコアリングってきちんと理解できていない」「スコアとスコアリングカテゴリの違いは何?」「Pardotスコアリングを活用できていない」「スコアはどうやって設定したらいいの?」このようなお悩みや疑問をお持ちの方は是非本記事を読み進めていただければと思います。
参照:スコアリングとは?BtoBマーケティングにおけるリードスコアリングのポイントについて解説
参照:Account Engagement(旧 Pardot)とは?機能や特徴、他のMAツールとの比較も含めて徹底解説
目次
1.Account Engagement(旧 Pardot)のスコアリングとスコアリングカテゴリとは?
1.Account Engagement(旧 Pardot)のスコアリングとは?
Pardotスコアリングとは、Pardotで管理するプロスペクト(見込み客)のweb上の行動やメールに対するアクションから、興味や関心度を数値化し評価することができる機能です。このスコアはプロダクトやサービスに対するプロスペクトの暗示的な関心度を測定する手段となり、Pardotでは各アクションに対してデフォルトスコアが設定されています。
2.Account Engagement(旧 Pardot)のスコアリングカテゴリとは?
Pardot スコアリングカテゴリとは、Pardotスコアリングで設定される全体スコアとは別でプロダクトやサービス等、任意のカテゴリにスコアを付与することで、プロスペクト(見込み客)がどのプロダクトやサービスに特に興味関心があるのかを把握することができる機能です。
スコアリングカテゴリを使用し、カテゴリ別にスコアを保持することで、プロスペクトの興味関心に合わせたシナリオを起動することができたり、Salesforceと連携することで営業がアプローチする際にどの商材に興味関心があるプロスペクトのなのかを事前に把握することなどができます。
2.Account Engagement(旧 Pardot)のデフォルトスコアリング設定
前述の通り、Pardotでは利用開始時からデフォルトのスコアリングルールが設定されています。本章ではデフォルトスコアリングルールの内容と、デフォルトスコアリングルールの注意点をご紹介いたします。
まずデフォルトのスコアリングルールを以下表にて説明します。
アクション | 内容 | スコア |
---|---|---|
Olark チャット | プロスペクトがチャットを使用するとポイントが評価されます。(チャットボットがPardotと連携している場合) *Olark=チャットボットツール | 10 |
カスタムリダイレクトのクリック | カスタムリダイレクトリンクのクリックの度にスコアが加算されます。 | 3 |
サイト検索クエリ | プロスペクトがサイト検索を実行するたびにポイントが評価されます。 [サイト検索] インテグレーションでPardotに連携されている場合有効になります。 | 3 |
サードパーティのクリック | サードパーティメールソリューションとPardotを統合している場合、サードパーティメールクライアントでクリックされるたびにポイントが評価されます。 | 3 |
ソーシャルメッセージリンクのクリック | ソーシャル投稿を介して投稿されたメッセージからプロスペクトがリンクをクリックするたびにポイントが評価されます。 ※PardotのFacebook、Twitter、Linkedinコネクターを使用することで、PardotからSNS投稿を作成することができます。 | 0 |
ファイルアクセス | PardotにアップロードされたPDF、動画ファイル、.docファイル等をクリックします(画像以外) | 6 |
フォームエラー | フォーム送信の際に入力エラーが発生した際(例:必須項目を入力しなかった) | -5 |
フォームハンドラーエラー | フォームハンドラー送信の際に入力エラーが発生すると減点になります。(例:必須項目を入力しなかった) | -5 |
フォームハンドラー登録 | フォームハンドラーの登録に成功するたびにポイントが評価されます。 | 50 |
フォーム登録 | フォームの登録に成功するたびにポイントが評価されます。 フォームがAccount Engagementのランディングページにある場合は、正常ランディングページとして登録が記録されます。 | 50 |
ページビュー | ビジターセッションでトラッキングコードが埋め込まれているページが表示されるたびにポイントが評価されます。 ページアクションを使用してポイント値をカスタマイズする場合、そのページアクションのスコア調整のみが適用されます。 | 1 |
メールの開封 | メール開封の度にスコアが加算されます。 | 0 |
ランディングページエラー | Pardotで作成したランディングページに設定し ているフォーム送信の際に入力エラーが発生した際(例:必須項目を入力しなかった) | -5 |
不成立の商談 | Sales Cloudに登録している商談が「失注」に登録された場合、その商談に紐付けられているプロスペクトスコアが-100になります。 | -100 |
作成された商談 | 案件が作成された場合、その商談に紐付けられているプロスペクトのスコアが+50になります。 | 50 |
参加した Web セミナー | Webex/GoToWebinar/ReadyTalkというウェブセミナーアプリケーションを使用している場合、Pardotと連携することが可能。 プロスペクトがウェブセミナーに参加するたびにスコア付与。 | 0 |
成立した商談 | Sales Cloudに登録している商談が成約した場合、その商談に紐付けられているプロスペクトスコアが変更されます。 | 0 |
招待された Web セミナー | Webex/GoToWebinar/ReadyTalkというウェブセミナーアプリケーションを使用している場合、Pardotと連携することが可能になります。 プロスペクトがウェブセミナーに招待されるたびにスコアが付与されます。 | 0 |
正常ランディングページ | ランディングページの登録に成功するたびにポイントが評価されます。 | 50 |
フォームハンドラー登録 | フォームハンドラーの登録に成功するたびにポイントが評価されます。 | 0 |
登録した Web セミナー | Webex/GoToWebinar/ReadyTalkというウェブセミナーアプリケーションを使用している場合、Pardotと連携することが可能です。 プロスペクトがウェブセミナーに登録するたびにスコアが付与されます。 | 10 |
イベントのチェックイン | プロスペクトが Eventbrite イベントをチェックインするたびにポイントが評価されます。 | 0 |
イベントへの登録 | プロスペクトが Eventbrite を介してイベントに登録するたびにポイントが評価されます。 | 0 |
ビデオのコンバージョン | ビジターが Wistia コネクターを使用して動画の turnstile フォームを入力して変換されると、ポイントが評価されます。 | +50 |
ビデオの再生 | プロスペクトが動画を再生するたびにポイントが評価されます。 | 0 |
ビデオを 75% 以上再生 | プロスペクトが動画を 75% 以上再生するたびにポイントが評価されます。 | +25 |
このようにPardotでは27種類のアクションに対してデフォルトのスコアリングルールが設定されており、何も変更を加えなければこのスコアリングルールに基づき、プロスペクトのスコアが増減します。
3.デフォルトスコアリングルールの注意点
デフォルトのスコアリングルールにはいくつか注意点があるので覚えておきましょう。
1.外部ツールと連携していないと機能しないスコアがある
「Webセミナーへの招待・出席・登録」や「Olarkチャット」「イベントのチェックイン」「ビデオ再生・コンバージョン」「サードパーティのクリック」「ソーシャルメッセージリンクのクリック」のスコアリングルールは、Pardot単体では機能せず、外部の特定ツールとPardotを連携させることで機能するスコアリングルールなので、それら外部ツールの導入をしていない企業にとってはあまり意味のないスコアリングルールになります。
2.アクションごとのスコアの重みはPardotで定義されたものでしかない
デフォルトのスコアリングルールでは各アクションにスコアが予め設定されていますが、各アクションのスコアの重み(アクションの重要度)はPardotで定義されたものでしかないため、個社ごとにアクションごとのスコアの重みは検討する必要があります。
例えば「ファイルのアクセス」は+3、「メールの開封」は0、「フォームの登録」は+50ですが、自社のカスタマージャーニーや販売フローを考えた時に本当に各アクションの重みはこれでよいのかは一考の余地があると思います。
3.すべてのアクションに一律に適用されるルールである
スコアリングルールは設定しているルールに則り、設定されているアクションに対して一律で適用されるルールになります。例えば「ページビュー」について、企業によっては特定のページへのアクセスは重要度の高い顧客アクションだったとしても+1点の加算になり、重要度の低いページへのアクセスも同様に+1点の加算になります。
このように重要度の高い特定のページアクセスに対してより大きなスコアを付与したい場合は、「ページアクション」機能を使い、設定したスコアリングルールとは別にスコアを加算させるなどの工夫が必要です。
参照:Account Engagement(旧 Pardot)のページアクションとは?設定方法や実務での活用例などを徹底解説
4.Account Engagement(旧 Pardot)のスコアリング設定方法
ここからはPardot スコアリングの具体的な設定方法をご説明します。
- スコアリングルールの設定方法Pardptのホーム画面からAccount Engagement設定>スコアリング>スコアリングルールの編集をクリックします。
スコアリングルールの編集画面が表示されます。
編集をしたスコアリングルールをプルダウンから選択肢>スコアを修正します。編集したいスコアリングルールを追加する場合は、別のスコアリングルールを編集をクリックし、先ほどと同じ手順で編集を行い、変更を保存をクリックします。
- スコアリングカテゴリの設定方法Pardptのホーム画面からAccount Engagement設定>スコアリング>スコアリングカテゴリの追加をクリックします。
スコアリングカテゴリの作成画面が表示されます。
表示された作成画面で以下の項目の入力を行います。
名前 | 任意のスコアリングカテゴリ名を入力します |
開始日の選択 | 選択した日以降のアクティビティが関連付けられます |
すべての履歴アクティビティを含める | 選択したフォルダ内のアセットに対する過去のすべてのアクティビティが関連付けられます |
割当先のフォルダを選択 | 割当先のフォルダを選択します *Pardotで作成したフォームやLP、メールなどのアセットはカテゴリごとにフォルダを分けて格納しておきましょう |
5.Account Engagement(旧 Pardot)のスコアリングの検討ステップ
スコアリングルールやスコアリングカテゴリの設定方法は理解したが、どうやってスコアリングルールを決めればよいのか?このような疑問を持った方も多いと思います。
ここではPardotスコアリングを定義していくためのステップの一例をご紹介します。もちろん決め方は一つではないので、これから紹介する内容も参考に自社にあった決め方を社内で議論してみてください。
- カスタマージャーニーの棚卸し
- 不要なアクションのそぎ落とし
- カスタマージャーニーを基にアクションの重みを整理
- 特に重要度の高い顧客アクションの整理
- 営業も含めたパスアップアクションとスコア閾値の決定
- 運用後のスコアチューニング
1.カスタマージャーニー(顧客購買行動)の棚卸し
自社プロダクトやサービスのカスタマージャーニーの棚卸を行い、サービス認知から商談獲得までの顧客行動を明確にします。この段階でインサイドセールスやフィールドセールスの担当も交えて、商談・受注に繋がりやすい顧客の特徴や購買行動も合わせて棚卸できると理想的です。
参照:カスタマージャーニー作成の教科書【テンプレート無料公開】
2.不要なアクションのそぎ落とし
カスタマージャーニーが棚卸しできたら、カスタマージャーニーをベースにスコアリングルールにて設定されているアクションのうち、商談獲得に向けて影響のない不要なアクションを特定します。
そして不要なアクションについてはスコアを0にするように調整を行います。
3.カスタマージャーニーを基にアクションの重みを整理
整理されたカスタマージャーニーのなかで、コンバージョンに近い顧客ステージでのアクションには高いスコアを付け、サービス認知ステージや興味関心ステージでのアクションには低いスコアを付けるなどスコアの重みを付けていきます。
4.特に重要度の高い顧客アクションの整理
スコアの重みを付け具体的なスコアリングルールのスコアを決めた後は、特に重要度の高い顧客アクションの整理を行います。例えば、特定商材の事例ページや価格ページにアクセスしたプロスペクトは特に重要度が高いと評価し、ベースのスコアリングルールで+1点した上で、更に+2点を加えるなどです。
この処理についてはページアクション機能で設定を行います。
5.営業も含めたパスアップアクションとスコア閾値の決定
スコアリングルールと追加スコアの設定が完了したら、次に営業へのプロスペクトのパスアップルールを検討します。
パスアップルールの検討にあたっては、もちろん営業部門との連携が不可欠ですので、営業部門の担当者も交えて検討を進めましょう。
決めるべきパスアップルールは大きく以下2点です。
①即時に営業部門にパスアップするプロスペクトアクション
②営業部門にパスアップするプロスペクトスコアの閾値
①即時に営業部門にパスアップするプロスペクトアクション
プロスペクトが特定のアクションを行った際に即時に営業部門に引き渡すために、「特定のアクション」を検討します。例えばよくあるアクションとしては、問い合わせが発生した場合や、無料トライアルが発生した場合は即時に営業に引き渡すなどが挙げられます。
即時に営業部門にパスアップするアクションと合わせて、「誰にパスアップするのか」「パスアップした後いつ営業がアプローチするのか」「アプローチ後のマーケティング部門へのフィードバック方法」なども合わせて検討しておくと良いでしょう。
②営業部門にパスアップするプロスペクトスコアの閾値
即時に営業部門へパスアップするアクションの他に、「何点になれば営業部門にパスアップするのか」を営業部門と協議して合意しましょう。これまで検討してきたスコアリングルールと、これまでの営業活動から商談・受注に繋がりやすいプロスペクト像などから、パスアップするPardotスコアの閾値を合意します。
また、運用開始後にその閾値を見直すサイクルも決めておきましょう。
6.運用後のスコアチューニング
スコアは一度決めたら終わりではなく、決めてからの運用改善が最も重要です。運用開始後、営業部門からパスアップしたプロスペクトの商談状況や受注結果などの定量データ及び、営業からの定性評価のフィードバックを受けて、パスアップ閾値やスコアリングルールの見直しを行いましょう。
6.Account Engagement(旧 Pardot)のスコアリングとスコアリングカテゴリ設定のポイント
1.スコアリングルール決定後の運用改善が最も重要
はじめに決めたスコアリングルールが完全なものであることはほとんどありません。したがって、営業部門と連携しながらスコアリングルールやパスアップルールの見直しを定期的に行うことがとても重要です。
2.初期スコアリングルールの設定に必要以上に時間をかけすぎない
前述した内容と関連しますが、運用改善を行うことが重要である前提に立った時に、初期のスコアリングルール検討に数カ月かけて、運用が始められないといった事態は避けましょう。はじめから正解は誰も分かりませんので、その時点で集められる定量・定性情報から仮説ベースでスコアリングルールやパスアップルールを関係者含めてクイックに合意して、運用を始めてみるというスタンスも重要です。
3.スコアは加点だけではなく減点をすることも重要
スコアリングルールで減点設定がされている場合もありますが、基本的にスコアは貯まっていく傾向にあり、運用を続けているとスコアだけで見込み度が判断できなくなってくるケースが多々あります。
こういった事態を避けるために、例えば商談失注したプロスペクトはオートメーションルールを用いてスコアを0点にリセットする処理や、数カ月アクションのないプロスペクトについてもオートメーションルールを用いてスコアを0点にリセットする処理などを作成することも有効な手になり得ます。
4.スコアリングルールを修正するとスコアが再計算される
スコアリングルールを修正した際は、該当するすべてのプロスペクトアクティビティに基づいて、すべてのプロスペクトが再設定されるので、以下の考慮事項を念頭に入れておきましょう。
- スコアが再設定されるとプロスペクトがSalesforceと再同期されるため、スコアベースのオートメーションルールに影響する可能性があります。
- プロスペクトのスコアをリセットするオートメーションルールがある場合、値の差が保存されます。従ってスコアリングルールを修正し、スコアが再設定されるとプロスペクトのスコアがマイナスになる可能性があります。
5.スコアリングカテゴリは個別プロスペクトに対してスコアを自動でリセットできない
3.でオートメーションルールによってスコアを0にすると説明させていただきましたが、スコアリングカテゴリについてはオートメーションルールなどで、個別プロスペクトに対してスコアをリセットすることができません。
ただし、全プロスペクトに対して一括でカテゴリごとにスコアをリセットすることができることに加えて、個別プロスペクトに対してはオートメーションルール等で減算加算処理は行うことができます。
参照:Account Engagement(旧 Pardot)のオートメーションルールとは?使い方や注意点を実例を交えて徹底解説
7.まとめ
ここまでPardotスコアリングとスコアリングカテゴリについての紹介をいたしました。ここまで読み進めていただいた方はPardotスコアリングとスコアリングカテゴリについて、ご理解いただけたかと存じます。
自社でPardot活用を進める際にも是非この記事に立ち返って参考にしていただければ幸いです。
ストラではPardotスコアリングルールやスコアリングカテゴリの設計や運用改善はもちろん、Pardotの全体設計から導入・活用支援まで、実績のあるコンサルタントが一貫してご支援可能です。
Pardotの導入や活用においてお困りごとがありましたら、お問い合わせフォームより、お気軽にご相談ください。
執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀
大学卒業後、株式会社TBI JAPANに入社。株式会社Paykeに取締役として出向し訪日旅行者向けモバイルアプリ及び製造小売り向けSaaSプロダクトの立ち上げを行う。
アクセンチュア株式会社では大手メディア・総合人材企業のセールス・マーケティング領域の戦略策定や業務改革、SFA・MAツール等の導入及び活用支援業務に従事。
株式会社Paykeに再入社し約10億円の資金調達を行いビジネスサイドを管掌した後、Strh株式会社を設立し代表取締役に就任。
▼保有資格
Salesforce認定アドミニストレーター
Salesforce認定Pardotスペシャリスト
Salesforce認定Pardotコンサルタント
Salesforce認定Sales Cloudコンサルタント