プロジェクトマネジメントとは?プロジェクト管理の概要から仕事で使える手法を紹介

この記事をシェアする

         x facebook
プロジェクトマネジメントとは?プロジェクト管理の概要から仕事で使える手法を紹介

この記事でわかること

  • プロジェクト・プロジェクトマネジメントの概要
  • プロジェクトマネジメントに求められるスキル
  • 主なプロジェクトマネジメント業務と役立つツール

執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀

プロジェクトマネジメントを任されたけど具体的にどうしたらいいか分からない、プロジェクトマネジメントに挑戦したいけど実際は何をやっているんだろう、と思ったことはありませんか?

多くの企業がプロジェクト制組織やマトリクス制組織を採用することで、機能別組織のような従来型の組織における管理職以外の立場でも、プロジェクトのマネジメント業務を任されるようになりました。

今回は、プロジェクトマネジメントに馴染みの無い人でも、プロジェクトの理解から、実際の業務で使えるツールの紹介を簡単にまとめました。

一度プロジェクトマネジメントを学ぶと、普段の業務だけでなく生活にも応用できるので、ぜひ学んでみてください。

  • プロジェクト制組織:プロジェクトごとに各部門から専門スキルのある人材を招集した組織形態
  • マトリクス制組織:職能・エリア・事業・職種などの異なる組織要素のうち2つを縦横に組み合わせた組織形態
  • 機能別組織:業務内容によって分けた組織形態

プロジェクトマネジメントとは?

プロジェクトマネジメントとは、プロジェクトの目標を達成するためにどのように進めれば成功するのか、詳しく計画を立てて管理していくことを意味します。
具体的には、目標達成に向けて「いつまでに、どの段階まで、実施するか」を明確にし、そこから逆算してプロジェクト成功までのプロセスを構築していきます。

プロジェクトが開始してからは、プロセスの構築だけでなく、チームメンバーの仕事の進捗や課題を管理し、意思決定をしながら、プロジェクトを推進することが主な業務と言えるでしょう。

また、プロジェクトマネジメントでは、単に目標・目的を達成することだけではなく、「コスト」や「スケジュール」など、予め合意された制約条件を守ることが求められます。

とはいえ、この制約条件は互いに関連する場合が多く、1つを優先すると他の制約条件に影響が出ます。プロジェクトマネージャーはそれぞれの制約や要因が、他にどう影響するのかを考察する必要があります。

プロジェクトとは?定常業務やタスクとの違い

ビジネスにおけるプロジェクトとは「独自の製品・サービス・所産(作り出されるもの)を創造するために実施される有期性の業務」と、プロジェクト管理におけるベストプラクティスや知識を体系的にまとめたガイドブックであるPMBOKで定義されています。新しく製品やサービスを作るため、本来の組織や業務とは別に構成されたメンバーで、納期などの制約内に特定の目的を達成することを求められます。

プロジェクトを進めるにあたり、似たような言葉との違いが曖昧になることも頻繁にあるため、ここでは代表的なものを3つご紹介します。

定常業務

定常業務とは、業務内容やタイミング、手順などが決まっている日常的に行われる仕事のことを指します。

プロジェクトと定常業務は、ビジネスにおいて、人が限られた時間や予算の中で計画・実施し、コントロールされるという点では共通しています。しかし、プロジェクトには「有期性」と「独自性」があり、そこに決定的な違いがあります。

  • 有期性:明確な始まりと終わりがあること
  • 独自性:業務内容がマニュアルなどで定まっていない仕事。ルーティン化できない業務。

定常業務はルーティンワークとも呼ばれ、手順通りに行えば誰でもできる業務ですが、プロジェクトではメンバーと試行錯誤しながら業務を進めていく必要があります。

タスク

タスクとは、業務において実施すべき作業のことを指します。プロジェクトにおいては、立てた計画を遂行する際の一つ一つの作業がタスクに当たります。

タスクはすぐに着手できる最小単位の作業ですが、プロジェクトは複数のタスクが積み重なった業務という違いがあります。

また、抱えているタスクをスケジュール通りにこなせるように管理することをタスクマネジメントと言います。業務を遂行する上で複数のタスクを抱えることも多いため、進捗状況だけでなく、作業の優先順位や難易度、前後の依存関係なども考えてタスクを管理することが重要です。

プロジェクトを制約するQCD(品質、コスト、納期)とは?

品質(Quality)

品質は、プロジェクトの成果物やサービスが顧客や利害関係者の期待を満たす程度を示します。高品質の成果物やサービスは、顧客満足度を高め、プロジェクトの成功に寄与します。品質が低いと不正確な成果物や欠陥のある製品が生まれ、後で問題が発生しやすくなり、修正や再作業にかかるコストが増加する可能性があります。

品質管理はプロジェクトマネジメントの基本的な要素であり、品質基準の設定や、状態の監視・評価をし、必要に応じて改善措置を講じることが重要です。

コスト(Cost)

コストは、プロジェクトの予算とリソース管理に深く関連しています。予算を遵守し、コストを適切に管理することは、プロジェクトの健全性に大きな影響を与えます。予算超過やコストのコントロール不足は、組織に財政的な負担をかけ、プロジェクトの遅延や中断の原因となる可能性があります。

コスト管理にはコスト予測、予算割り当て、経費の追跡、資金調達などが含まれます。プロジェクトのコストを適切に管理することは、プロジェクトの成功と組織の財務的な健全性に関わります。

納期(Delivery)

納期は、プロジェクトの時間枠を示し、プロジェクトが予定通りに完了するかどうかを決定します。時間通りにプロジェクトを完了することは、ステークホルダーの信頼を築く重要な要素です。適切な納期を守ることは競争力を維持し、市場での成功に繋がります。遅れると、競合他社に取り残され、市場シェアを失う可能性があります。

納期管理にはスケジュールの策定、進捗のモニタリング、リスク管理、適切なリソースの割り当てが含まれます。納期を守るために、プロジェクトマネージャーはスケジュールの調整やリソースの最適化を行う必要があります。

プロジェクトマネジメントの流れと具体的な業務

ここからは、プロジェクトの開始から終了までの流れをご紹介します。プロジェクトのライフサイクルには主に5つのフェーズがあると言われています。それぞれのフェーズの概要と各フェーズで行う代表的な業務の一部を簡単に説明します。

プロジェクトの立ち上げ

プロジェクトを大まかに定義します。プロジェクトを承認して、開始をすることが主な業務で必要な書類作成も含まれます。プロジェクトが起案されてから、実施するにあたって要件をまとめたり、リスクを想定するための初期のリサーチも行い、フィジビリティスタディ(実現可能性を調査)をし、プロジェクトの成功要因や予算スケジュールなどを定義します。

そこで定義された概要をプロジェクト憲章やビジネスケースなどにまとめて視覚化し、プロジェクトが開始してからのプロジェクトマネージャーは、それらを拠り所としてプロジェクトが迷子にならぬよう役立てます。

プロジェクト立ち上げ時に明らかにしておきたいこと(プロジェクト憲章に定義しておくべきこと)

・プロジェクトの概要、目的または妥当性
・プロジェクトの目標および成功基準
・顧客、スポンサー、その他ステークホルダーの大枠での要求事項
・制約条件、前提条件、リスク
・プロジェクトマネージャーの決定と任命及び権限のレベル
・主要ステークホルダー(関係者)
・要約したスケジュールおよび予算

以上の内容を盛り込み、プロジェクトの基礎を固めましょう。

プロジェクトの計画

業務計画を策定します。具体的には、プロジェクトでやるべきことと、その手順を定義します。主要なマイルストーンを決定し、プロジェクトのコストやタイムラインについて、プロジェクトメンバーで共通認識を持てるようにしましょう。
改めて、プロジェクトの発足の背景を理解し、優先事項、課題を確認しながら、作業計画を立てます。

具体的な業務

業務内容詳細
プロジェクト計画の策定スケジュール、予算、リソース、品質基準、スコープなどを定義します。
ドキュメントの管理方法やコミュニケーションルールの策定プロジェクト内の資料や他成果物の管理方法や、開始されてからメンバー内でどのようにコミュニケーションをとるかを決めます。
役割の定義の決定プロジェクトメンバーの役割を明らかにします。(それぞれの役割の決定)
会議体の決定いつ、どこで、誰が(参加者と役割)、なんのために(目的)を決定します。例えば、週次で定例会を開くとしましょう。その会議の大きな目的はなんなのか?進捗を確認したいのか?何かを決定したいのかなどのアジェンダを決めたり、それを話し合う際に必要なメンバーは誰なのかを策定します。

プロジェクトの推進

プロジェクトチームが達成を目指して作業します。実行フェーズでは、チームが足並みを揃え、無理のない仕事量で計画通りにプロジェクトを進めるために動きます。

仕事量や工数・予算の管理など、具体的な業務はもちろんですが、メンバーのモチベーションやチームワークがうまく発揮されているかも気にかけ、必要な働きかけをしましょう。 このフェーズでの具体的な業務は、次の「プロジェクトの監視・コントロールフェーズ」フェーズと同様に行うため、まとめて説明します。

プロジェクトの監視・コントロール

実施中の作業に計画との差異が発生していないかをチェックし、必要に応じて差異の是正を行います。また、プロジェクトが進行するほど、その進行を妨げる障害、ボトルネックが発生するでしょう。それらを課題と呼び、課題を解決するために具体的なアクションをとり、プロジェクトメンバーを率先して動かすのもプロジェクトマネジメントの重要な業務です。

具体的な業務

業務内容詳細
タスクの割り当てとスケジュールの管理プロジェクトのタスクをチームメンバーに割り当て、スケジュールを管理します。スケジュールを追跡し、進捗を確認します。
リソースの管理必要な人員、機材、材料などのリソースを確保し、適切に管理します。リソースの不足や過剰使用を回避します。
コミュニケーションと報告チームメンバーやステークホルダーとの定期的なコミュニケーションを維持し、進捗状況を報告します。問題やリスクについても報告し、対策を協力して立案します。
品質管理成果物やプロセスの品質を確保します。品質基準を満たし、品質の低下を防ぎます。
リスク管理プロジェクトのリスクを定期的に評価し、必要ならばリスク対策を実施します。リスクが発生した場合、対処策を迅速に実行します。
予算とコスト管理予算を管理し、実際のコストと比較します。コストオーバーランが発生しないように注意を払います。
変更管理スコープの変更や要件の変更が発生した場合、それを適切に評価し、変更の必要性と影響を検討します。変更が承認される場合、それを追跡し実施します。
進捗の監視と報告プロジェクトの進捗を定期的に監視し、ステータスレポートを作成します。進捗が計画から逸脱している場合、対策を検討し調整します。
チームのモチベーションと協力チームメンバーのモチベーションを維持し、協力と効果的なコラボレーションを促進します。問題や課題が発生した場合、チームのサポートを提供します。

プロジェクトの完了

プロジェクトが完了したら、成果物の受け渡しと評価を行います。プロジェクトの振り返りを行い、また、その内容を補完することで次のプロジェクトに向けて学びを活かします。

具体的な業務

業務内容詳細
成果物の受け渡しプロジェクトの成果物を受け渡し、ステークホルダーの承認を得ます。成果物が品質基準を満たし、顧客の期待を超えるものであることを確認します。
プロジェクトの経験の総括・振り返りプロジェクト終了時または一定の周期に、プロジェクトの成功や課題を評価し、次回のプロジェクトに向けて学びを得るために振り返りを行います。振り返りは、チームメンバーやステークホルダーがプロジェクトの経験から価値ある洞察を得るために行う重要なプロセスです。成果だけでなくプロセスを評価し、チームからのフィードバックを収集します。成功要因や問題点とその原因を明らかにし、改善策を検討します。
アーカイブと文書化プロジェクトにおける成果物をアーカイブとしてまとめるだけでなく、振り返りの内容をドキュメント化し、プロジェクトの履歴を保存します。これにより、過去のプロジェクトの学びを将来のプロジェクトに活かすことができます。

プロジェクトマネジメントで求められるスキル

プロジェクトマネジメントに成功するために必要なスキルは多岐にわたります。ここでは、代表的なスキルを紹介していきます。

管理能力

プロジェクトマネージャーは、そのプロジェクトを成功させるために様々な要素を管理する必要があります。

具体的には以下の4つが挙げられ、全ての要素を常に同時並行で把握し、コントロールすることが求められます。

QCDの管理プロジェクトで決まっているQCD(品質、コスト、納期)の条件下で、最大限の利益を出すことが求められます。適宜QCDのバランスを把握し、コントロールするスキルが必要です。
計画の管理プロジェクトが当初の計画通りに進むとは限りません。常にプロジェクト全体を見て、必要に応じて計画を修正することが重要です。
タスク・スケジュールの管理各タスクと作業時間を洗い出し、スケジュールを策定し、適切なタイミングでタスクを振り分けることが求められます。
課題の管理プロジェクトとしてだけでなく、メンバー内の課題に対しても解決すべき課題を把握し、改善していくことが重要です。

コミュニケーション能力

プロジェクトマネジャーはプロジェクトチーム、利害関係者、上級管理職と効果的にコミュニケーションをとる必要があります。プロジェクトの進行状況や課題、優先事項を明確に伝え、意見交換を促進します。コミュニケーション不足や誤解は、プロジェクトの方向性を乱し、問題の解決を妨げる可能性があります。

また、必要に応じてメンバーの育成を行う場合もあります。綿密にメンバーとコミュニケーションを取ることで、足りないスキルを補ったり、モチベーションを高めたりできれば、プロジェクトが成功する確立も高くなります。

リスクマネジメント能力

リスクを予測、評価し、適切な対策を立案・実行する能力が必要です。リスクを管理しないと、予測せぬ問題が発生し、プロジェクトに深刻な悪影響を及ぼす可能性があります。プロジェクト全体を俯瞰し、これからどのようなきっかけでどのようなミスが起こる可能性があるのか、先を予測して対策することが求められます。

リスクマネジメントにはリスクの識別、評価、優先順位付け、対策の計画、監視が含まれます。

課題解決能力

プロジェクトを進めていくにあたり、課題や問題の発生は避けられないでしょう。発生した課題に対して速やかに原因を追及し、対処することが求められます。

一人で解決しようとするのではなく、プロジェクト全体を見て能力に合ったメンバーに対処法を提案することも重要です。予測不可能な課題に対して柔軟に対応し、適切な解決策を策定・実行する必要があります。

分析能力

プロジェクトマネジャーはデータや情報を分析し、意思決定や課題解決に活用する能力が求められます。プロジェクトの進行状況やリスクを定量的に評価し、戦略的な決定を下すことが必要です。分析力が不足すると、誤った判断や不適切な優先順位付けが行われ、プロジェクトの成功に悪影響を及ぼす可能性があります。プロジェクトには異なる部門のメンバーが集まっていることも多いため、経営やシステムなど幅広い分野の知識が必要になる可能性が高いです。

プロジェクトマネージャーはプロジェクトを効果的に計画、実行し、成功に導くために多くのスキルが求められます。さまざまなスキルを駆使して、プロジェクトを推進しましょう。

プロジェクトマネジメントを成功させるポイント

ここまでプロジェクトを遂行するために必要な要素についてご紹介してきました。次に、プロジェクトを成功させるためのポイントについて、ご説明します。

メンバーと密にコミュニケーションをとる

プロジェクトには各部門から招集されたメンバーが集まるため、関係値が浅かったり、それぞれの関係値に差がある可能性が高いです。そのため、決定事項などの業務内容は頻繁に情報共有し、メンバー1人1人とも積極的にコミュニケーションをとることが重要です。

それぞれのスキルやキャリアなどの背景を把握することで、その人に合ったタスクをアサインすることができ、モチベーションの低下を防ぐこともできます。チームワークの優劣はプロジェクトの成功に大きく関わるため、メンバー間のより良い人間関係の構築が欠かせません。

目的や目標を明確にし、計画を立てる

目的や目標を明確にし、メンバーに正しく共有することが重要です。目的や目標を大まかなものにしてしまうと、メンバー間で認識の違いが生まれてしまい、それぞれがそれぞれのゴールに向かって業務を遂行してしまいます。ゴールを見失わないためにも、目的や目標はなるべく具体化し、確実にメンバーと共有しましょう。また、目指す場所が具体的になることで、一人ひとりの役割分担も明確にすることができます。

次に、明確になったゴールに向かって計画を立てていきます。一人ひとりの成果に着目するのではなく、チームとして成果を上げることに注力しましょう。プロジェクトは、ある目的を達成するために発足された組織です。個人の成長や目的ではなく、組織としてどう計画を立てたら上手くいくのか考える必要があります。

小さなトラブルには早めに対処する

プロジェクトでは期限内に目的を果たすことが求められるため、納期に影響を与える可能性のあるトラブルは、どんなに小さいものであったとしても、迅速に対処する必要があります。

また、先ほども述べたように、プロジェクトではメンバー同士の関係値が浅いことも多く、気軽に相談できる関係ではなかった場合、トラブルが起きたとしてもメンバーに共有・報告されないといったケースがよく起こります小さなトラブルの解決を後回しにしていると、気付いた頃には大事になっている可能性もあるため、どれだけ小さなトラブルであったとしても、なるべく早く対応するようにしましょう。

トラブルが起きたら速やかに原因を追究し、場合によっては組織の仕組みから見直すことも必要です。担当者を責めるのではなく、事実のみを明確にし、チーム内に共有することで再発を防ぐことが重要です。

プロジェクトマネジメントで用いられる代表的な便利ツール

ここまでプロジェクトマネジメントの業務を説明してきましたが、ここからはさらに実践に備えて、使えるツールを紹介します。

PMBOK(Project Management Body Of Knowledge)

出典:PMBOKとは?意義・目的や活用メリットなど基本を徹底解説

PMBOK(ピンボック)とは、アメリカで発表されたプロジェクトマネジメントの代表的な手法です。QCDの管理において、10の知識エリアを5つのプロセスに分割することで、どのプロセスで何をすべきなのかを明確にすることができます。1つのプロセスに対し、3つのパートを設けることでより具体的にタスクを管理することができます。

WBS(Work Breakdown Structure)

WBSは、プロジェクト全体をタスクに分解し、階層構造に表すことで、やるべき作業を洗い出すことができます。。

プロジェクトの全体像を理解しやすくするだけでなく、具体的な作業内容や依存関係を明らかにし、スコープ(範囲)と担当責任を明確にします。プロジェクトのスコープを明確に定義し、作業内容や担当について、チーム内で共通の理解、認識を揃えます。

成果物やフェーズを階層構造に分解し、それぞれのフェーズでのタスクを洗い出し、タスクごとに、概要の説明、担当者、期限などの情報を埋めることで作成を進めます。

PERT(Program Evaluation and Review Technique)

PERTでは、タスクの処理順序を図式化することで、各工程の関係性を明確にすることができます。前の工程が終わらないと、次に進めない作りになっているため、どの工程が重要か、どこで苦戦しているかが割り出しやすくなります。各工程の所要時間と人員も明確になるため、プロジェクトマネジメントを行う上で業務の整理や進捗の管理がしやすくなります。

CCPM(Critical Chain Project Management)

CCPMでは、予算やスケジュールを最低限に設定することで、日程や進捗を最適化でき、バッファ(余裕)の持った計画を策定します。CCPMで策定した計画に沿って遂行することで、プロジェクトで起こりがちなタスクの遅れや金額の増加があった場合でも、元々設定していたバッファを振り分けることで対処することができます。また、残りのバッファを可視化でき、全体として進捗の管理がしやすくなります。

ガントチャート

ガントチャートは、プロジェクトのタスクや活動を時間軸に沿って表示するバー形式の図表です。各バーはタスクの期間を表し、タスクの開始日と終了日を視覚的に示します。
プロジェクトのスケジュールを可視化し、タスクの依存関係を明らかにすることで、スケジュールの変更と調整を容易にし、遅延やリソースの競合を特定します。プロジェクトの進捗を追跡し、スケジュール管理を行います。

ガントチャートを作成するためには、プロジェクトのタスクをリストアップし、それぞれの開始日と終了日を設定し、担当者を割り当てます。誰がいつまでに何をするのか、また、何をすれば次の作業に進めることができるか、一眼でわかるように表現しましょう。ステークホルダーに対しては、プロジェクトの進行状況を共有する際にも役立つでしょう。

課題管理表

プロジェクト内で発生する問題や課題を特定し、適切に解決することで、プロジェクトの進行を効果的に管理できます。課題管理をする際、問題とその原因を特定し、解決の優先順位をつけ、解決策を検討し、チームメンバーへ割り当てます。その進捗を管理を行うのが課題管理表の主な役割です。代表的な課題管理表の必要な要素は以下です。

要素概要
課題ID 各課題に一意の識別子を割り当てます。通常、数値またはアルファベットのコードで表現されます。
課課題の説明 課題の性質と内容を簡潔に説明します。課題の詳細情報を提供します。
優先度課題の重要度や緊急度に基づいて、優先度を設定します。一般的に高、中、低などのカテゴリを使用します。
担当者誰が課題を担当するかを指定します。誰が問題を解決する責任があるかを示します。
期限課題の解決または対応が必要な期限を設定します。期限を守るために重要です。
ステータス
課題の進捗状況を示します。例えば、未着手、進行中、完了などのステータスを使用します。
報告者課題を報告した人の名前または識別情報を記録します。問題の報告源を追跡するのに役立ちます。
作成日課題が最初に報告された日付を記録します。問題の経過時間を把握するのに役立ちます。
コメント/ノート
課題に関連する追加情報、コメント、説明、または対話を記録します。チームメンバーが問題に関する情報を共有できます。
解決策課題が解決された場合、その解決策を記録します。これにより、同じ問題が再発しないようにします。
閉じられた日課題が解決された日付を記録します。課題の解決日を追跡するのに役立ちます。

まとめ

本記事では、プロジェクトマネジメントの概要から具体的なプロセス、現場で使われているツールを紹介してきました。
フェーズごとのタスクや求められるスキルは、プロジェクトの性質や目標によって変化します。とはいえ、プロジェクトマネジメントの基本は、状況を明らかにし、プロジェクト達成に向けて、一つ一つのタスクや課題をクリアしていくことです。

今回紹介した内容は、あくまでプロジェクトマネジメントの一部にすぎません。プロジェクトマネジメントに関する資格やソフトウェアなどが世の中に普及しています。基本を抑えつつ、ご自身またはプロジェクトにあわせて活用していきましょう。

Strhでは、プロジェクトの立ち上げから運用方法の改善まで、さまざまフェーズにおいてプロジェクトマネジメント関連でお客様のご支援いたしております。

プロジェクトを推進したい、プロジェクトマネジメントのスキルセットが欲しいなどお困りごとがありましたら、お問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。

執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀

大学卒業後、株式会社TBI JAPANに入社。株式会社Paykeに取締役として出向し訪日旅行者向けモバイルアプリ及び製造小売り向けSaaSプロダクトの立ち上げを行う。
アクセンチュア株式会社では大手メディア・総合人材企業のセールス・マーケティング領域の戦略策定や業務改革、SFA・MAツール等の導入及び活用支援業務に従事。
株式会社Paykeに再入社し約10億円の資金調達を行いビジネスサイドを管掌した後、Strh株式会社を設立し代表取締役に就任。

▼保有資格
Salesforce認定アドミニストレーター
Salesforce認定Pardotスペシャリスト
Salesforce認定Pardotコンサルタント
Salesforce認定Sales Cloudコンサルタント

この記事をシェアする

x facebook