Salesforceで帳票作成・出力はできる？設定方法やおすすめのツールを比較して紹介

Salesforceを導入している企業様では、お客様対応や営業活動記録の他にも、書類業務などで日々様々な帳票を作成する業務が発生しているかと思います。

これらの帳票は契約書や見積書、請求書など、業務上欠かせない重要な書類である一方、これらを手作業で作成することは時間がかかり、ミスも発生しやすく、トラブルに発展してしまうことも少なくありません。

そこで、ぜひご活用いただきたいのが、Salesforceの「帳票」機能です。

Salesforceの帳票機能を活用することで、従業員の書類作成業務に係る時間を短縮し、さらにお客様に提出した帳票などの正確なデータ管理を実現することが可能になります。

本記事では、Salesforceでの帳票機能を活用するメリットや各手段のメリット・デメリット、おすすめのサードパーティツールを紹介します。

本記事を通じて、Salesforce帳票機能を上手く活用する方法をご理解いただき、自社の業務効率化に役立てていただければ幸いです。

Salesforceの基本的な内容について改めて詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。

参照：Salesforce（セールスフォース）とは？製品群や機能、メリット・デメリットを簡単に解説！

Salesforceの帳票機能とは？

帳票には、見積書や請求書、納品書などお客様との取引や業務を進める上で必須となる書類が多くあります。

そのため、業務で帳票を作成する機会は多く、かつ重要であるため、多くの営業メンバーや経理メンバーがその作成や管理に時間や手間をかけています。

そこで、Salesforceの帳票機能を活用することで、それら帳票作成にかかる工数を削減することが可能です。

Salesforceの帳票機能は、Salesforceに格納されている顧客データを基に、見積書や契約書、請求書などの帳票を簡単に生成する機能です。

日頃触れる機会の多いSalesforceから、そのまま帳票を生成することができるため、宛名や項目の入力ミス、他のツールを活用するといった煩雑さを防ぐことにつながります。

Salesforceの帳票機能は、自社の営業メンバーなどが効率的に帳票業務を行い、営業活動に集中できる環境を作ることを実現します。

Salesforceの帳票機能を活用するメリット

次に、Salesforceの帳票機能を活用するメリットについて解説します。

既に述べたメリットもございますが、顧客ごとに手作業で作成する方法よりも、得られるメリットが多くあるため、ぜひ自社の帳票作成業務フローにおいて、Salesforceの帳票機能の活用をご検討ください。

帳票作成業務の効率化

まず、Salesforceを使って帳票を出力することで、手作業での帳票作成の時間が大幅に削減されます。

手作業で帳票作成を行う場合、宛名や品目、金額などすべて関数などを用いながらも慎重に確認しながら手で入力をする箇所が多くあったかと思います。

Salesforceの帳票機能を活用することで、データの入力はSalesforceに蓄積された顧客データから自動出力され、エラーのリスクを減らしつつ迅速に帳票を生成できます。

これにより、営業活動や顧客対応が効率化され、時間を有効に使うことが可能になります。

帳票データの蓄積

次に、Salesforceで作成した帳票は、そのままSalesforce上に蓄積されるため、帳票作成に係るデータが蓄積されていきます。

どの営業メンバーがどれくらい帳票作成を行っているのか、どのような内容で顧客に提案をして成約につながっているのかなどをデータで確認することができます。

ハイパフォーマーな営業を分析しながら、どのタイミングでどのような見積書を出すかなど、営業組織を強化するためには、些細な営業プロセスデータが重要になることもあるため、これまで分析していなかった範囲でのデータ活用の可能性が広がっていきます。

コーポレートガバナンスの強化

最後に、帳票作成と管理がSalesforce内で完結するため、誰がどの顧客にどのような内容の帳票を作成したかなど、コーポレートガバナンスの強化につながります。

営業担当者が変わった場合であっても、過去の帳票でどのような提案や取引を行っていたか追跡することができ、スムーズな業務引継ぎも可能です。

帳票データは一元管理され、Salesforceを通して社員間でスムーズな共有が可能になり、誰もが内容を確認できるため、業務全体の透明性が向上します。

Salesforceで帳票出力するための方法とメリット・デメリット

それでは、Salesforceで帳票を作成するにはどのような方法があるのか、以下4つの方法について解説します。

• 標準の差し込み機能
• 拡張の差し込み機能
• Visualforce
• サードパーティツール

有償や無償など、いずれの方法もメリット・デメリットがあるため、自社に適した方法で帳票作成業務の効率化に着手いただけたら幸いです。

標準の差し込み機能による帳票出力

Salesforceが標準で提供している機能が「差し込み機能」です。

Microsoft Wordを利用することで、無料で基本的な帳票作成が可能な一方、動作要件が厳しく、既にサポートが終了していることもあり、実務的に使うことは現実的に難しいです。

動作要件の一例として以下が挙げられます。

• MS Office 2010 以降のバージョンと互換性がない
• Internet Explorer でのみ動作
• Windows 7 以降と互換性がなく、Office 2003 または 2007 使用されている場合は動作する可能性がある
• Lightning Experienceでは利用できない

そのため、帳票作成を行う上で、標準の差し込み機能を用いた解決はおすすめしません。

拡張の差し込み機能による帳票出力

一方、拡張の差し込み機能については、標準の差し込み機能と比較して、動作要件が緩く、拡張差し込み機能を使えば、追加のコスト無しで、帳票出力ができる場合もあります。

ただし、実務で利用するには、以下のようにいくつか注意すべき点もあります。

• Lightning Experienceでは利用できない
• 複数オブジェクトの複数データを一つの帳票に出力できない
• 出力がWord形式のため、内容の改変ができてしまう
• 作成フローのオペレーションが煩雑なため操作習熟が必要

使えるユーザーや場面が限られてしまうと、利用される機会が減ってしまうため、現場の定着も難しくなっていきます。

帳票業務の作成や管理が自社の大きな課題になっているようであれば、ぜひ他の方法を推奨します。

Visualforceを用いた帳票出力

VisualforceとはSalesforceが独自にもつユーザーインターフェース開発を主としたWebフレームワーク機能です。

Visualforceを利用することで、複数オブジェクトの複数データをボタン一つでPDFで出力することが可能です。

また、出力する帳票のサイズや余白幅、フォントサイズなども変更できるため、上記で述べた差し込み機能よりレイアウトの自由度が増します。

一方で、活用にあたってのデメリットは以下が挙げられます。

• コーディングの知識が必要になる
• 開発コストが発生する場合がある
• フォントは一種類のみである

出力したい帳票の内容が複雑化するほど開発工数がかかり、メンテナンスも必要になります。

また、お客様にお送りする帳票としては少しデザインが簡素すぎる場合もあるため、社内用の帳票としてご活用いただくのが良いかもしれません。

自社で開発・管理するリソースはないが、社内外向けにすぐに簡単に帳票を出力できるようにしたいというご担当者様は、長期的な視点で考えると、次のサードパーティツールの利用を推奨します。

サードパーティツールを用いた帳票出力

Salesforceには、AppExchangeというSalesforce専用の拡張ツールをインストールできるプラットフォームがあります。

AppExchangeでは、様々な帳票出力ツールがリリースされており、それらを活用することで、Salesforce標準の帳票機能では実現できない高機能な帳票作成が可能になります。

多種多様なテンプレートも用意されており、導入後すぐにデザイン性のある帳票出力が可能な一方、やはり初期費用や月額費用がかかります。

次章以降では、サードパーティツールを選定する際のポイントと実際におすすめの帳票出力ツールを5つご紹介します。

SalesforceのAppExchangeについては以下を参照してください。

参照：SalesforceのAppExchangeとは？活用メリットやおすすめのアプリを一覧で紹介

サードパーティツールを選ぶ際のポイント

それでは、実際にサードパーティツールを選ぶ際は、どのようなポイントを考慮したら良いでしょうか。

自社のニーズに合わせて、比較検討してみてください。

カスタマイズの自由度が高いか

サードパーティのクラウド帳票作成ツールを選定する際に、最も重要なポイントの一つが「カスタマイズの自由度」です。

自社の業務フローや帳票の種類に合わせて柔軟に調整できるツールを選ぶことで、効率的な帳票作成業務が可能になります。

例えば、企業によっては特定の項目を強調したい、レイアウトを変更したい、または独自の計算式を組み込みたいといった場合に、導入後に要件を満たしていないとなるとツールが形骸化してしまいます。

カスタマイズ機能が豊富なツールでは、追加機能の導入や新たなニーズにも迅速に対応できるため、重要度の高い選定ポイントと言えます。

直感的に操作がしやすいか

また、ツールを選ぶ際には、その操作性も非常に重要です。

直感的に操作できるインターフェースを持っているかどうかは、担当者が使ってくれるかどうかどうかに直結します。

複雑すぎる操作や設定が求められるツールでは、使いこなすための学習コストが高くなり、業務が滞る懸念もあります。

特に、帳票作成は日々発生する業務のため、迅速かつ効率的に作業を進めるために、ツールのUIがシンプルで、必要な情報や機能にすぐにアクセスできる設計であることは非常に大切です。

無料のトライアル期間などがあれば、実際に操作してみて、現場ユーザーの声も参考にしながら、操作感や設定の容易さを確認するようにしましょう。

十分なサポート体制か

3つ目が、サポート体制の確認です。

帳票作成ツールは導入後も日常的に使用するため、予期しないエラーや困難な状況が発生することがあります。

その際に迅速で効果的なサポートが受けられるかどうかは、運用をスムーズに行うために欠かせません。

サポートチームが十分に対応してくれるツールを選ぶことで、問題が発生した際にストレスなく解決でき、業務を滞りなく進めることができます。

マニュアルやFAQの充実度を確認したり、実際に利用しているユーザーのレビューなどを参考にするのもおすすめです。

自社の利用に価格が合っているか

次に、ツールの「価格」です。

初期費用だけでなく、ランニングコストや追加料金がかかる場合もあるため、どれくらいの期間利用をしたら、総合的にいくらかかるのか、費用対効果を検討しましょう。

自社の規模や利用頻度、必要な機能に見合った価格のツールを選ぶことで、無駄なコストを削減し、効率的な運用が可能になります。

さらに、料金体系が明確でわかりやすいツールを選ぶことや、後々追加料金が発生しないかどうかを確認することも大切です。

トライアルや無料プランが提供されている場合、それらを利用して実際の使用感を確認し、コストに見合う機能や性能を持っているかを判断するのもおすすめです。

Salesforce以外と連携できるか

最後は、他のシステムやツールとの連携可否についてです。

Salesforceとの連携はもちろん重要ですが、特に、Salesforce以外の業務システムやデータベース、例えば経理システムやERPシステムとの連携がスムーズにできるかどうか併せて確認することもおすすめです。

多くのサードパーティツールは、Salesforceだけでなく、他のシステムとも連携できるAPIを提供していますが、これにより、異なるシステム間でデータを簡単にやり取りし、帳票作成時の情報が一元管理できるため、業務全体の効率化が進みます。

自社のシステム環境やニーズに合わせて、柔軟に対応できるツールを選ぶことでより大きな費用対効果につながっていきます。

これらを基準にツールを比較検討することで、自社に最適な帳票出力ソリューションを選定できます。

Salesforceで活用できるおすすめの帳票出力ツール5選

ここで、実際にSalesforceで活用できるおすすめの帳票出力クラウドツールについてご紹介します。

• 帳票DX for Salesforce
• SVF Cloud for Salesforce
• freee for Salesforce
• Freekform
• Concur Invoice

どのツールも多くの企業に利用されており、実績があるツールなので、自社の要件を整理の上、ぜひ適したツールを選定してみてください。

帳票DX for Salesforce

プロバイダー	料金	ユーザー評価
株式会社オプロ	120,000円~/月/社 ※別途初期費用	4.5点 ※2024年12月29日時点

帳票DXは、導入企業それぞれが独自に帳票テンプレートを設計することができる、柔軟性に優れた帳票作成ツールです。

既存のPDFやOfficeファイルからもテンプレートの作成ができ、権限設定も行えるため、帳票やツールの管理も簡単に行うことができます。

帳票の出力枚数も無制限のため、日々多くの帳票を作成する企業におすすめです。

実際に帳票作成にかかる時間が50%以上削減されたという声もあるため、ぜひ利用を検討してみてください。

帳票DX for Salesforce：AppExchangeサービスページ

SVF Cloud for Salesforce

プロバイダー	料金	ユーザー評価
ウイングアーク１ｓｔ株式会社	35,000円~/月/年間2,700出力 ※別途初期費用	4.53点 ※2024年11月13日時点

SVF Cloudは、導入実績社数が35,000社を超えるツールをSalesforce用に完全対応させたクラウド帳票サービスです。

請求書や納品書、発送伝票など多様な帳票の設計を使い慣れたExcelの画面でSalesforceのオブジェクトをマッピングすることができ、簡単かつ直感的に帳票が作成できます。

既存のPDF帳票をそのまま取り込み、すぐに既存帳票のフォーマットを再現できたり、Salesforceに配置したボタンで帳票出力を簡単にしたりと、利用者のUXに定評のあるツールです。

SVF Cloud for Salesforce：AppExchangeサービスページ

freee for Salesforce

プロバイダー	料金	ユーザー評価
freee株式会社	5,480円~/月/3ユーザー+従量課金 ※年間契約	5.0点 ※2024年12月29日時点

freee for Salesforceは、帳票作成だけでなく、商談管理から見積書・請求書作成、個別債権管理、仕訳入力、入金消込までをシームレスに運用可能にするクラウドツールです。

もちろん帳票の項目はカスタマイズ可能であり、顧客の支払い情報をリアルタイムにSalesforce上に記録するといった連携も可能です。

また、複雑になりがちな請求業務も、「合算ルール」などの設定によって、対象レコードの粒度に関わらず、任意の単位で請求書を一つにまとめることもできます。

帳票作成業務だけでなく、会社の会計業務そのものを見直ししたいご担当者様におすすめです。

freee for Salesforce：AppExchangeサービスページ

Freekform

プロバイダー	料金	ユーザー評価
株式会社Fleekdrive	120,000円~/年/企業/2,400P	4.68点 ※2024年12月29日時点

Freekformは、Salesforceに登録された情報から見積書や請求書、契約書などあらゆる帳票を簡単に作成・出力することができるクラウド帳票サービスです。

クラウド上で帳票デザイン設定からファイル出力・保管まで一元管理できる他、既に社内で利用しているExcelやWordをフォーマットとして利用可能です。

カスタマイズ可能な200種類以上のテンプレートが用意されており、さらにグラフや画像、バーコードといったコンテンツも帳票に出力することができます。

お客様用の帳票作成だけでなく、自社の会議資料を作成するためにも活用できるツールです。

Fleekform：AppExchangeサービスページ

Concur Invoice

プロバイダー	料金	ユーザー評価
株式会社コンカー	個別見積	–

Concur Invoiceは、SAP社の子会社であるConcur社が提供しているサービスです。

SalesforceのAppExchangeで提供されているものではなく、SAP Concur APIを用いてSalesforceと連携することでシームレスなシステム運用を可能にします。

経費精算や請求書管理の他にも、分析機能を兼ね備えており、支払い傾向から無駄なコストの発見、防止に役立てることもできます。

請求書業務を一元管理したい企業のご担当者様におすすめです。

Concur Invoice：商品ページ

まとめ

本記事では、Salesforceの帳票機能について、活用するメリットや各手段のメリット・デメリット、おすすめのサードパーティツールを解説しました。

自社の帳票作成業務において、より効率的な方法を検討するきっかけにしていただけたでしょうか？

帳票作成業務は日々複数回発生する業務でもあるため、Salesforceで業務を効率化することで、会社全体の生産性向上につながる変革となります。

ぜひ本記事を参考に自社に適した帳票出力アプリケーションがないか検討してみてください。

またもっと詳しく、自社のSalesforce活用全体を見直したいというご担当者様は、ぜひ一度弊社ストラへお問い合わせくださいませ。

ストラでは、各社様が実現したい業務フローや体制をヒアリングした上で、Salesforceを活用していくその先のゴールまでを踏まえて、適切なSalesforceの環境設定や運用を支援いたします。