SalesforceとのOutlook連携方法について解説!活用メリットや連携できない場合の対応も紹介
この記事でわかること
- Outlook連携の基本概要
- Outlook連携とその他の手段との違い
- Outlook連携の設定方法
- Outlook連携ができない際のトラブルシューティング
執筆者 取締役 / CTO 内山文裕
Salesforceの導入や活用のお困りごとはプロにご相談ください
- Salesforceと外部アプリを連携したい
- SalesforceとOutlookを連携したいが上手く設定できない
- SalesforceとOutlookを連携して活用したいが、なかなか定着化されない
Salesforceを活用する際、日々の顧客対応で蓄積されていくメールデータをいかに効率的に管理するかは、多くのシステム担当者にとって重要な課題です。
特に、営業活動やカスタマーサポートではメールを通じたやり取りが多いため、その記録や管理は煩雑になりがちです。煩雑になってしまうと、担当者の引き継ぎの際に過去の対応履歴が不足し、商談の進捗やサポートの経緯が不明になるといった問題も発生しやすくなります。
このような課題を解決するためにぜひ活用いただきたいのが、Salesforceの「Outlook連携」です。
Outlookとはマイクロソフト社が提供しているメールソフトであり、Office 365などにも含まれているサービスです。
SalesforceのOutlook連携を設定することで、Outlookの画面から直接Salesforceデータを参照したり、メールを自動的にSalesforceの顧客データに紐づけて記録することが可能になります。
そこで、本記事では、SalesforceのOutlook連携について、概要から設定方法、トラブルが発生した場合の対応策まで詳しく解説します。
メール情報を活用してSalesforceデータ品質を向上させたいと考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
Salesforceの全体概要について詳しく知りたいという方はこちらの記事からご確認ください。
参照:Salesforce(セールスフォース)とは?製品群や機能、メリット・デメリットを簡単に解説!
目次
SalesforceのOutlook連携とは?
はじめに、SalesforceのOutlook連携とはなにか、その機能の概要やメリットについて解説します。
メールの記録は、顧客との関係構築を図る上で重要なデータである一方、手動で管理するには非常に手間がかかる作業です。
SalesforceとOutlookの二重管理を防ぎ、Salesforceの運用初期からメールデータの蓄積が効率的に実施できるよう、ぜひ本記事を参考にしてください。
SalesforceのOutlook連携でできること
SalesforceのOutlook連携とは、日々のメール連絡を顧客情報と紐づけて管理をスムーズに行うための機能であり、「Outlook インテグレーション」とも呼ばれます。
Outlookインテグレーションにより、Outlook上でSalesforceのデータを検索・参照したり、メールの内容を簡単にSalesforceの関連レコードに紐づけることができます。
特に、営業やカスタマーサポートの現場では顧客対応の履歴を一元管理できるため、作業効率やデータの精度向上に役立ちます。
SalesforceとOutlookを連携させることで、以下のような活用が可能になります。
- Salesforceレコードの検索
- Salesforce レコードの作成
- 関連するSalesforce レコードへのメールメッセージ紐づけ
- 関連するSalesforce レコードへのカレンダー行動などToDO紐づけ
- Salesforceメールテンプレートを活用したメールドラフトの作成
Outlookインテグレーション機能は、Outlookを利用するユーザーがSalesforceを最大限活用するための必須ツールです。
同様に、SalesforceはGoogle社が提供しているGmailとの連携も可能です。
Gmailを含むGoogle Workspace(旧:G suite)などを導入されている企業のご担当者様は以下の記事をご覧ください。
参照:SalesforceとGmailの連携方法について解説!活用メリットや連携できない場合の対応も紹介
SalesforceのOutlook連携は廃止される?
SalesforceとOutlookの連携について検索いただくと、いたるところに「廃止」というキーワードが散見されるかと思います。
まずご安心いただきたいのが、SalesforceのOutlook連携機能はこれまで通り提供されております。
では、どうして「廃止」というキーワードが表示されているのかと言うと、これまでSalesforceがOutlook連携のために提供していた「Salesforce for Outlook」というサービスについては、2027 年 12 月をもって廃止することが決定しています。
この発表により、Salesforce for Outlookを利用した連携を活用している企業では、運用方法の変更が求められる場面もあるかと存じます。
しかし、新たな連携手段である「Outlookインテグレーション」を活用することで、これまで以上に便利で効率的な連携が可能になります。
「Outlookインテグレーション」は、これまでデスクトップベースであった「Salesforce for Outlook」とは異なり、クラウドベースのソリューションです。
これにより、ブラウザやモバイルデバイスからのよりシームレスなアクセスが可能となり、さらに、Einstein活動キャプチャとの併用により、メールや会議の記録を自動化する機能も提供されます。
Salesforce for Outlookの廃止に伴い、Outlookインテグレーションを導入することで、これまで通りOutlookを使いながらSalesforceとの連携が継続できます。
また、Outlookインテグレーションでは、継続的な開発が進められるため、今後ますます連携の利便性が向上するメリットも得られます。
SalesforceのOutlook連携とその他の手段との違い
Salesforce上にメールを記録する方法にはいくつかの手段がありますが、それぞれ特徴が異なります。
手動記録
手動記録は、Outlookのメール内容を手作業でSalesforceに記録する方法です。
この方法は特別な設定が不要であるため手軽ですが、入力作業に時間がかかり、人為的なミスが発生する可能性があります。
また、OutlookとSalesforceの2つのツールを行き来する必要があるため、営業担当者などデータ入力者の負荷が高まります。
さらに、メールを記録するタイミングを忘れることがあるため、データの正確性が低下するリスクもあります。
Einstein活動キャプチャ
Einstein活動キャプチャは、AIを活用してOutlookのメールやカレンダーのデータを自動的にSalesforceに取り込む機能です。
Outlook連携と同じく自動化されているため、手間がかからず、すべてのデータを漏れなく管理できます。
しかし、この機能を利用するにはSalesforce社のAI、「Einstein」を活用できるライセンスが必要となるため、現在利用しているSalesforce環境では導入が難しい場合もあります。
SalesforceのOutlook連携の活用メリット
特に営業担当者やカスタマーサポート担当者の業務効率を向上させるSalesforceのOutlookインテグレーションですが、改めてOutlook連携を行うことのメリットについて解説します。
毎日行うメール送受信業務だからこそ、積み重ねによって大きな時間の節約やデータ入力ミスの軽減につながっていくため、ぜひ設定をご検討ください。
重複作業の削減
SalesforceとOutlook連携を行うことで、商談の予定や顧客情報など、複数のアプリケーションで同じデータを入力する必要がなくなり、作業効率が向上します。
Outlookから離れることなく、Salesforceのデータを編集し、さらにSalesforceのデータをOutlook上で参照することもできるため、データの入力ミスやメール送付先のミスを発生する機会を減らすことにもつながります。
また、二重管理の手間がなくなることで、各ツールを効果的に活用することができ、ツールの定着化を図ることができます。
データの一元管理
Outlook連携により、関連するレコードにメールが自動的に紐付き、Salesforceの顧客データの一貫性や価値を最大限保つことができます。
メール、スケジュール、顧客情報など一元化されたデータがOutlookとSalesforceの双方で利用できるため、情報の漏れや誤りを防止し、チーム間の連携にも効果的です。
営業活動への専念
最大のメリットは、営業活動やカスタマーサポート業務への専念を促進することです。
煩雑なデータ入力やツールの切り替えが不要になることで、営業担当やカスタマーサポート担当はより重要な商談や顧客対応などの業務に集中できます。
また、過去のメールデータが紐づくため、アプローチの戦略を立てる際や引継ぎ時、過去の対応確認時にデータが役立ち、チーム全体の生産性を向上します。
SalesforceのOutlook連携の設定方法
それでは、実際にSalesforceとOutlookを連携するための準備や設定について解説します。
自社の環境でも利用ができるか、ぜひ本章を参考に確認してみてください。
Outlook連携のシステム要件
SalesforceのOutlookインテグレーション機能を利用するためには、以下の要件を満たす必要があります。
必要なSalesforceのエディション
- Salesforce Classic(使用できない組織もあります)および Lightning Experience
- Sales Cloud、Service Cloud、Lightning Platformの内、Essentials Edition、Group Edition、Professional Edition、Enterprise Edition、Performance Edition、Unlimited Editionおよび Developer Editionのいずれか
デスクトップおよび Web メールクライアント
- Windows 10 バージョン 1903 以降で実行される Office バージョン 16.0.11629 以降(Office 365 または Office 2019 のみ(リテールのみ)を含む)
- Outlook 2013、Outlook 2016、またはボリュームライセンスバージョンの Outlook 2019
※Outlook 2013、2016、および Outlook 2019 のボリュームライセンスバージョンのサポートは 2022 年 12 月 31 日に終了します。2022 年 12 月以降、Outlook インテグレーションは引き続き使用できます。ただし、Salesforce では Outlook の古いバージョンのサポート、バグ修正、新機能は提供されなくなります。すぐに Outlook および Windows の最新バージョンへのアップグレードを計画してください。 - Web 版の Outlook
- 新規または従来の Outlook for Mac 2016 または 2019
メールサーバ
- Office 365 と連携する Exchange Online
- GCC High と連携する Exchange Online(Salesforce Inbox も使用している場合、サポートされません)
- Exchange 2019、2016、または 2013(社内)
※ハイブリッド Exchange サーバ環境がサポートされます。例えば、一部のユーザが Exchange Online に接続していて、一部のユーザが社内の Exchange サーバを使用して接続している場合などです。各ユーザのクライアントは、クライアントの要件を満たしている必要があります。
ブラウザ
Web 版の Outlook ユーザの場合は、Windows または Mac OSの次のいずれかのブラウザであること、またブラウザがSalesforceのCookieを許可するように設定されていることを確認してください。
ブラウザ | 確認が必要な設定 |
---|---|
Google Chrome の最新の安定バージョン | – |
Mozilla Firefox の最新の安定バージョン | ・「強化型トラッキング防止機能」を「標準」または「厳格」に設定 ・会社の「私のドメイン」、汎用の login.salesforce.com、および任意の Salesforce ドメインをプライバシー設定例外リストに追加 ・ログインに使用されるhttps://*.outlook.com、https://*.office365.com、https://*.office.com、および任意の Outlook URL を追加 ※新しいバージョンのMozillaの場合は、こちらのリンクの手順に従って、プライバシー設定例外リストにサイトを追加 ※古いバージョンのMozillaの場合は、「+」 をクリックして、プライバシー設定例外リストにサイトを追加 |
Microsoft Edge の最新の安定バージョン(Windows のみ) | ・「追跡防止」を「基本」に設定 ・「追跡防止」を「バランス」または「厳重」に設定したままにする場合、Salesforce ドメインを https://*.outlook.com、https://*.office365.com、および https://*.office.com と、ログインに使用する Outlook URL と共に例外として追加 |
Apple Safari の最新の安定バージョン | ・「サイト越えトラッキングを防ぐ」 をオフに設定 |
Salesforce アドインへのアクセス
- 各OutlookユーザにOutlook用Salesforceアドインが必要
※ユーザがMicrosoft AppSourceからSalesforceアドインを自分で入手することも、Exchangeシステム管理者がアドインを入手してMicrosoft一元型リリースを使用して配布することも可能。セキュリティポリシーによってMicrosoft AppSourceへのアクセスが許可されていない場合、ファイルベースのインストールを使用してインテグレーションをインストールすることも可能。
その他、Outlookインテグレーションのシステム要件の詳細については、公式ヘルプページも参照してください。
Outlook連携の設定手順
SalesforceとOutlookを連携するステップは以下の通りです。
①SalesfroceのOutlookインテグレーション有効化設定
②メール to Salesforceの設定
③Outlookインテグレーションアドインをインストール
それでは、ステップ毎に手順を解説します。
SalesfroceのOutlookインテグレーション有効化設定
1.Salesforceの「設定(右上の歯車アイコンから選択)」をクリック
2.左側にある「クイック検索」ボックスに「Outlook」と入力し、表示される「Outlook インテグレーションおよび同期」 を選択
3.Outlookインテグレーションの「有効化」をチェック
メール to Salesforceの設定
1.Salesforceの「設定(右上の歯車アイコンから選択)」をクリック
2.左側にある「クイック検索」ボックスに「メール to Salesforce」と入力し、表示される「メール to Salesforce」 を選択
3.「編集」をクリック
4.「有効化」にチェックを入れ、「保存」をクリック
5.有効化したことをユーザーにお知らせする場合は「メールで通知する」を選択、しない場合は「スキップ」を選択して完了
Outlookインテグレーションアドインをインストール
1.Office 365 Exchange 管理センターへアクセスし、「サービスとアドイン」を選択し、「アドインの展開」をクリック
2.「Salesforce」のアドインを選択し、「追加」をクリック
3.「アクセス許可のあるユーザーの指定」において「すべてのユーザー」にチェックを入れ、「今すぐ展開する」をクリックし、その後表示される画面についても「次へ」をクリックし、完了
SalesforceのOutlook連携ができない場合のトラブルシューティング
業務効率化をする上で欠かせないSalesforceとOutlookの連携ですが、設定によっては連携が上手くできない場合がございます。
SalesforceとOutlookの連携がうまくいかない場合には、以下の対応を参考にしてみてください。
メールが配信不能でSalesforceへ追加されない
「プロフィールアイコン → 設定 → メール → 私のメール to Salesforce」から、ユーザのメールの送信元アドレスが「私のメールアドレス」に含まれていることを確認してください。
※「私のメール to Salesforce」が表示されない場合は、「設定(歯車マーク) → メール → メール to Salesforce」にて「有効」にチェックを入れてください
送信したメールがSalesforce上で関連付けられていない
「設定(歯車マーク) → メール → メール to Salesforce」 で、「高度なメールセキュリティ設定」がオフになっていることを確認してください。
まとめ
本記事では、SalesforceとOutlookの連携について、その基本的な概要や設定方法、また連携がうまくいかない場合のトラブルシューティングについて解説してきました。
SalesforceとOutlookの連携により、ユーザーの業務がより一層効率化され、自社の顧客対応データが正しく蓄積されるイメージをお持ちいただけたでしょうか?
Outlook連携は、Office365を利用されている企業様にとって、必須設定とも言える機能です。
一方で、連携にはいくつかの要件や設定ステップがあり、管理者様がそれらを正しく理解しておくことがスムーズな運用の鍵となります。
本記事で紹介した基本機能や設定方法、トラブルシューティングを参考に、自社のSalesforce環境にもOutlook連携を設定してみてください。
また、Outlook連携を始めとして、自社のSalesforce環境の運用を見直す際に、自社の営業・業務フローに沿って一貫性のあるデータ管理やシステム運用にはどのような方法があるのか、具体的な方法やアドバイスについてご興味・ご関心がある方は、ぜひ弊社ストラへお問い合わせくださいませ。
ストラではSalesforceの各種機能や設定、運用フローが、お客様の目指すデータ活用のために有効に機能しているのか、お客様の業務フローにマッチしているのか、お客様の理想や現状を把握した上で、適切なSalesforceの環境設定や運用をご支援いたします。
Salesforceの導入や活用のお困りごとはプロにご相談ください
- Salesforceと外部アプリを連携したい
- SalesforceとOutlookを連携したいが上手く設定できない
- SalesforceとOutlookを連携して活用したいが、なかなか定着化されない
執筆者 取締役 / CTO 内山文裕
青山学院大学卒業後、株式会社ユニバーサルコムピューターシステムに入社。
大手商社のB2B向けECサイトの構築にて会員登録、見積・注文機能、帳票出力などECにおける主要機能のフロント画面・バックエンドの開発に従事。 その後アクセンチュア株式会社に入社。デジタルコンサルタントとしてWebフロントエンド・モバイルアプリの開発やアーキ構築を主に、アパレル・メディア・小売など業界横断的にシステム開発を支援。また、ビッグデータを活用したマーケティング施策の策定やMAツールの導入・運用支援にも従事。
2022年2月にStrh株式会社の取締役CTOに就任。デジタルプロダクト開発の支援やMAツール導入・運用支援を行っている。
▼保有資格
Salesforce認定アドミニストレーター
Salesforce認定Java Scriptデベロッパー