Salesforce Platformとは?他ライセンスとの違いや活用・設定方法について解説
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この記事でわかること
- Salesforce platformとは?
- Salesforceの各製品とライセンスの違い
- Salesforce platformの主な機能
- Salesforce platformを活用すべき企業やユーザー
- Salesforce platformライセンスの設定方法
- Salesforce platform活用時の注意点
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執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀
競合との差別化や企業のデータ活用がますます重要になっていく中、自社の効率的な顧客関係管理(CRM)を目的として、Salesforceを導入された企業は多くいるかと思います。
Salesforceは多くの汎用的な機能を備えており、様々な企業・ユーザーのニーズを満たしてくれる一方で、一部では自社の業務に沿った機能開発を検討すべき場面もあります。
そのような場面で有効なのが、Salesforce社が提供するライセンスの一つ、「Salesforce Platform(Lightning Platform)」です。
本記事では、「Salesforce Platform(Lightning Platform)」について、基本的な機能概要から他ライセンスとの違い、活用すべき企業や活用時の注意点について解説します。
名称は聞いたことあるが、自社で運用できるか検討をしたことがないというSalesforce管理者の皆様は、ぜひ本記事を参考にSalesforce Platform(Lightning Platform)の活用も検討してみてください。
参照:Salesforce(セールスフォース)とは?製品群や機能、メリット・デメリットを簡単に解説!
目次
Salesforce Platform(Lightning Platform)とは?
初めに、Salesforce Platform(Lightning Platform)の概要について見ていきましょう。
他ライセンスとの違いや特徴的な機能について解説しているので、最初にSalesforceを契約した時と同じライセンスを追加契約し続けているという管理者様は、ぜひ自社の契約しているライセンスを見直すきっかけにしてみてください。
Salesforceの各製品・ライセンスの違い
ここではSalesforceを代表する製品・ライセンスである「Sales Cloud」と「Service Cloud」、そして「Salesforce Platform(Lightning Platform)」について特徴や価格の違いについて解説します。
Sales Cloud
Sales Cloudは、Salesforceを代表する営業支援システム(SFA)製品です。
主に営業部門に向けた機能が提供されており、具体的には、顧客情報管理の他、見込み顧客(リード)の獲得から育成管理することが可能です。
また、商談に関する情報も一元管理でき、取引額や受注確度、訪問回数など受注・失注案件の情報を蓄積することで、効率的な営業アプローチの分析が可能になり、組織や個人単位で将来の売上を予測し、計画を立てることもできるようになります。
さらにはダッシュボードやレポート機能を活用することで、Sales Cloud内に蓄積されているデータをリアルタイムで可視化し、振り返りや戦略立案をする際に、データに基づいた意思決定を行うことに役立ちます。
まさにSales Cloudは営業活動を管理し、効率的に売り上げを最大化させるために用いられる製品です。
SalesforceのSales Cloudには5つのエディションが用意されており、それぞれ利用できる機能や価格が異なります。
エディション | Starter | Professional | Enterprise | Unlimited | Einstein 1 Sales |
---|---|---|---|---|---|
価格 | 3,000円(税抜)/ユーザー/月(年間契約) | 9,600円(税抜)/ユーザー/月(年間契約)ジベース | 19,600円(税抜)/ユーザー/月(年間契約) | 39,600円(税抜)/ユーザー/月(年間契約) | 60,000円(税抜)/ユーザー/月(年間契約) |
機能概要 | ・シンプルな設定とオンボーディング ・リード、取引先、コンタクト、商談の管理 ・メール連携機能と活動の自動記録機能 | ・売上予測管理 ・カスタマイズ可能なレポートとダッシュボード ・見積もりと契約 | ・Professional版の全機能に加え、高度なパイプライン管理と案件のインサイト ・テリトリーの管理と計画 ・ワークフローと承認 | ・Enterprise版の全機能に加え、予測AIの活用 ・会話型インテリジェンスとセールスエンゲージメント ・Premier Success PlanおよびFull Sandboxト | ・Unlimited版の全機能に加え、生成AIを含んだEinstein Copilot ・パフォーマンス管理、Sales Program、Slackによるチーム連携 ・Data CloudとRevenue Intelligenceで連携 |
契約可能ユーザー数 | 上限10名 | 無制限 | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
アカウント,コンタクト,リード,商談管理 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
売上予測とパイプライン管理 | – | – | 機能の購入により利用可能 | 〇 | 〇 |
営業エンゲージメント | – | – | 機能の購入により利用可能 | 〇 | 〇 |
プレミアサクセスプラン(サポート) | – | 機能の購入により利用可能 | 機能の購入により利用可能 | 〇 | 〇 |
生成AI | – | – | 機能の購入により利用可能 | 機能の購入により利用可能 | 〇 |
外部データ統合 | – | – | 機能の購入により利用可能 | 機能の購入により利用可能 | 〇 |
参照:Salesforce Sales Cloudとは? セールスクラウドを分かりやすく解説
Service Cloud
Service Cloudは、主にコールセンターやカスタマーサポート向けに提供されている製品です。
具体的には、過去に顧客と行ったやり取り履歴を管理し、顧客の購入履歴や自社の対応履歴と紐づけることで、顧客一人ひとりに合わせたサポートを提供することが可能です。
顧客の問い合わせを「ケース」として一元管理することで、対応の優先度や緊急度を定義つける他、自社におけるサポート業務の効率化や社内外に向けたナレッジの蓄積・共有を行うことができます。
またService CloudのAIチャットボット機能を用いれば、カスタマーサポート担当者に代わって、24時間365日対応でSalesforceのAI技術である「Einstein」が顧客の問い合わせに対して解決策を提案してくれる業務フローを構築することも可能にします。
Service Cloudはカスタマーサポートを効率的に支援し、顧客の購買体験に基づくカスタマーサクセスを改善するために効果的です。
SalesforceのService Cloudも同様に、5つのエディションが用意されており、それぞれ利用できる機能や価格が異なっています。
エディション | Starter | Professional | Enterprise | Unlimited | Einstein 1 Sales |
---|---|---|---|---|---|
価格 | 3,000円(税抜)/ユーザー/月(年間契約) | 9,600円(税抜)/ユーザー/月(年間契約)ジベース | 19,600円(税抜)/ユーザー/月(年間契約) | 39,600円(税抜)/ユーザー/月(年間契約) | 60,000円(税抜)/ユーザー/月(年間契約) |
機能概要 | ・ケースの管理 ・カスタマイズ可能なレポート&ダッシュボード ・ナレッ | ・ケーススウォーミング ・CTI (Computerized Telephony Integration) ・オムニチャネルケースルーティング | ・カスタマーサービス向けAI ・セルフサービスのヘルプセンター ・ワークフローの自動化 | ・年中無休24時間体制のサポート ・AIを活用したチャットボット ・チャット | ・Unlimited版の全機能に加え、デジタルチャネル、Service Intelligence、Slackによるチーム連携 ・生成AIを含んだEinstein Copilot(ベータ) ・Data Cloud |
契約可能ユーザー数 | 上限10名 | 無制限 | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
ケース管理 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
オムニチャネル連携 | – | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
ナレッジ管理 | 〇 | 〇 | – | 〇 | 〇 |
プレミアサクセスプラン(サポート) | – | 機能の購入により利用可能 | 機能の購入により利用可能 | 〇 | 〇 |
生成AI | – | – | 機能の購入により利用可能 | 機能の購入により利用可能 | 〇 |
メッセージ・音声対応連携 | – | – | – | – | 〇 |
参照:Service Cloudとは?機能やSales Cloudとの違い・価格体系などをわかりやすく解説
Salesforce Platform(Lightning Platform)
Salesforce Platform(Lightning Platform)は、企業がカスタムアプリケーションを迅速に構築・展開するために用いられる製品です。
具体的には、クリック操作でアプリケーションを作成できるローコード開発ツールや、コードベースで高度なカスタマイズが可能なApexやVisualforceなどの開発言語が含まれています。
これにより、技術的な知識が少ないユーザーからプロの開発者まで、幅広い層でSalesforce Platform(Lightning Platform)が活用できます。
ただし、カスタマイズの柔軟性が高い一方で、Salesforce Platform(Lightning Platform)の機能は限定的であり、Sales CloudやService Cloudが持つような案件管理やケース管理といった機能は備わっておりません。
そのためSalesforce Platformは、自社の業務フローやビジネスモデルに沿って独自にSalesforce活用をしたい企業に効果的です。
Salesforce Platform(Lightning Platform)には2つのエディションが用意されています。
エディション | Platform Starter | Platform Plus |
---|---|---|
価格 | 3,000円(税抜)/ユーザー/月(年間契約) | 9,600円(税抜)/ユーザー/月(年間契約)ジベース |
機能概要 | ・シンプルな設定とオンボーディング ・リード、取引先、コンタクト、商談の管理 ・メール連携機能と活動の自動記録機能 | ・売上予測管理 ・カスタマイズ可能なレポートとダッシュボード ・見積もりと契約 |
契約可能ユーザー数 | 無制限 | 無制限 |
ワークフロー自動化 | 〇 | 〇 |
Lightning App Builder | 〇 | 〇 |
AppExchange | 〇 | 〇 |
ユーザーアクセス管理 | 〇 | 〇 |
レポート・ダッシュボードカスタマイズ | 〇 | 〇 |
Lightning Console | 機能の購入により追加可能 | 〇 |
Salesforce Platformの主な機能
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Salesforce Platform(Lightning Platform)の概要と他製品・ライセンスとの違いについて把握いただいた上で、Salesforce Platform(Lightning Platform)の代表的な機能について解説します。
Salesforce Platform(Lightning Platform)で実装できることを踏まえて、自社の運用に適しているのか参考にしてみてください。
ノーコード・ローコードでのアプリ開発
Salesforce Platform(Lightning Platform)では、開発経験のないユーザーでも、ドラッグアンドドロップ操作でアプリケーションの作成が可能です。
一方でプロの開発者向けには、ApexやVisualforceを用いた高度なカスタマイズも提供されているため、ユーザーの開発スキルに合わせて迅速かつ効率的にアプリを開発できます。
業務プロセスの自動化
Salesforce Platform(Lightning Platform)を用いることで、自社の業務プロセス自動化を図ることができます。
ワークフロールールやプロセスビルダーを用いて、複雑なビジネスプロセスも条件に応じて自動処理を設定でき、手動の作業を削減します。
様々な業務フロー開発を、視覚的に構築できるため、業務の効率化やエラーの削減が期待でき、組織全体の生産性向上に寄与します。
モバイルアプリの開発
さらにSalesforce Platform(Lightning Platform)は、モバイルアプリの開発も容易にします。
開発したSalesforceアプリケーションを、ユーザーにモバイルでも活用してもらえるよう開発することで、社内外におけるデータ蓄積や活用の効率が向上します。
また、モバイルデバイス特有の機能(GPS、カメラ、通知機能など)を活用したアプリも作成できます。
これにより、営業現場やリモートワークなど、多様なビジネスシーンでの迅速な対応が可能となります。
Salesforce Platformを活用すべき企業・ユーザー
Salesforce Platform(Lightning Platform)の活用は以下のような企業におすすめです。
営業支援やカスタマーサポート向けの機能は不要
営業支援を目的としたSales Cloudやカスタマーサクセス実現のためのService Cloudに備わっている機能は、Salesforce Platform(Lightning Platform)をベースに各部門に必要な標準的な機能を開発しております。
そのため、そもそも自社では取引先や取引先責任者の管理程度で、営業部門やカスタマーサポート部門の機能は不要という場合には、Salesforce Platform(Lightning Platform)の活用をご検討ください。
Salesforceのプラットフォームで自社開発をしたい
標準化されたパッケージ機能ではなく、自社の業務フローに沿って独自のアプリケーションを開発したい場合には、ローコード・ノーコードで開発ができるSalesforce Platform(Lightning Platform)がおすすめです。
現在活用しているSales CloudやService Cloudを強化したい
既にSales CloudやService Cloudを利用されている企業であっても、業務フローの自動化やデータ連携の効率化を目的としたアプリケーションを開発して、各種製品と連携を強化したい場合にはSalesforce Platform(Lightning Platform)が効果的です。
Salesforce全体にかかる費用を抑えたい
Salesforce Platform(Lightning Platform)は1ライセンスあたりのコストがSales CloudやService Cloudと比較して安く抑えられるため、部門毎にライセンスを分けて、Salesforce運用・管理の費用を抑えたい企業は活用検討をしてみてください。
Salesforce Platform(Lightning Platform)ライセンスの設定方法
ここまで、Salesforce Platform(Lightning Platform)の機能や自社での活用イメージについてご覧いただきました。
それでは、実際にSalesforce Platform(Lightning Platform)を設定する際の手順について見ていきましょう。
1.Salesforceの「設定(右上の歯車アイコンから選択)」をクリック
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2.左側にある「クイック検索」ボックスに「組織情報」と入力し、表示される「組織情報」 を選択
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3.ページ中部の「ユーザーライセンス」覧より、「Salesforce Platform」のライセンス数が残っていることを確認
※ライセンス残数が0の場合、新たにSalesforce Platformユーザーを作成することができません。
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4.今度は「クイック検索」ボックスに「ユーザー」と入力し、表示される「ユーザー」 を選択
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5.「新規ユーザー」をクリック
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6.必須項目の入力時に「ユーザーライセンス」で「Salesforce Platform」を選択し、「保存」をクリック
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7.ユーザーにSalesforce Platformライセンスが割り当てられたことを確認して完了
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Salesforce Platform(Lightning Platform)活用時の注意点
企業によっては活用することでますます自社データの活用が促進されるSalesforce Platform(Lightning Platform)ですが、活用にあたっていくつかの注意点もあります。
Salesforce Platform(Lightning Platform)のみでは活用できない
Salesforce Platform(Lightning Platform)のライセンスを利用するためには、Sales CloudまたはService CloudのEnterpriceエディション以上の契約が一つ以上必要です。
そのため、自社でアプリケーションを開発することを前提としていても、Sales CloudまたはService Cloudいずれかのライセンスを割り当てるユーザーが必要である旨ご注意ください。
開発したアプリケーションは自動アップデートされない
自社で柔軟な開発ができるSalesforce Platform(Lightning Platform)ですが、例えば、商談やケースのような他製品で備わっている機能を開発した際には運用・管理で注意が必要です。
具体的には、Salesforceでは年に3回(Winter、Spring、Summer)アップデートがあり、提供されている各製品・機能内容が更新される場合がありますが、Salesforce Platform(Lightning Platform)を用いて自社でアプリケーションを開発している場合には、当然ですが同様の機能であってもアップデートの適用対象外となります。
そのため、自社での運用・管理コストを減らして、Salesforceが提供する最新機能で業務効率を図りたい企業は、Sales CloudやService Cloudを契約して、標準機能を活用することを推奨します。
まとめ
本記事では、Salesforce Platform(Lightning Platform)について、基本的な機能や他製品・ライセンスとの違い、活用すべき企業や活用時の注意点について解説してきました。
Salesforce Platform(Lightning Platform)は、コストを抑えてSalesforceのアプリケーションが利用できる点が魅力であり、自社で開発を行いたい企業にとっては最適な選択肢と言えます。
一方で、アプリケーション開発の手間や運用・メンテナンスには一定のリソースが必要です。
そのため、初期やランニング面の金額的なコストだけではなく、作業工数面でのコストも見込んだ上で自社の運用に適しているのかぜひ検討をしてみてください。
ストラではSalesforce Platform(Lightning Platform)を始め、Salesforceの各種製品や機能の活用サポートやご提案を幅広く行っております。
自社の運用に沿ったSalesforce活用ができているのか、今一度見直してみたいと思われたご担当者様は、こちらのお問い合わせフォームよりまずはお気軽にご相談してみてください。
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執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀
大学卒業後、株式会社TBI JAPANに入社。株式会社Paykeに取締役として出向し訪日旅行者向けモバイルアプリ及び製造小売り向けSaaSプロダクトの立ち上げを行う。
アクセンチュア株式会社では大手メディア・総合人材企業のセールス・マーケティング領域の戦略策定や業務改革、SFA・MAツール等の導入及び活用支援業務に従事。
株式会社Paykeに再入社し約10億円の資金調達を行いビジネスサイドを管掌した後、Strh株式会社を設立し代表取締役に就任。
▼保有資格
Salesforce認定アドミニストレーター
Salesforce認定Marketing Cloudアドミニストレーター
Salesforce認定Marketing Cloud Account Engagementスペシャリスト
Salesforce認定Marketing Cloud Account Engagement コンサルタント
Salesforce認定Sales Cloudコンサルタント
Salesforce認定Data Cloudコンサルタント