SalesforceのTrailhead(トレイルヘッド)とは?概要や効果的な活用方法について徹底解説
この記事でわかること
- Trailheadの概念理解
- Trailheadの特徴・具体的なコンテンツ内容
- Trailheadの活用方法
- Trailheadでできる資格対策
執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀
Salesforceには実に多くの機能が備わっているため、Salesforceの導入を検討している方や既にSalesforceを導入しているけれど自社での活用のためにさらに理解を深めたい方にとっては、本当に自社で活用ができるのか、どうしたらSalesforceの機能や活用方法を体系的に学ぶことができるのか、迷われてしまうこともあるかと思います。
その様な時、Salesforceの「Trailhead(トレイルヘッド)」というオンラインサービスが非常に便利なことをご存じでしょうか?
Trailheadは、Salesforceが公式に提供しており、初心者から上級者まで、自分のペースで必要なコンテンツを学ぶことができる無料の学習プラットフォームです。
本記事では、Salesforceの導入を検討している方やこれからますます活用していきたい管理者様・ユーザー様に向けて、Trailheadの概要や基本的な使い方、効果的な学習方法まで詳しく解説していきます。
Salesforceの導入を検討する、また学習を始める第一歩として、ぜひ本記事を参考にしてみてください。
参照:Salesforce(セールスフォース)とは?製品群や機能、メリット・デメリットを簡単に解説!
目次
SalesforceのTrailhead(トレイルヘッド)とは?
はじめにSalesforceのTrailheadについて、基本的な理解を深めていきましょう。
SalesforceのTrailheadはSalesforceユーザーだけでなく、IT技術の動向などに関心のある全てのユーザーにとって有益な学習プラットフォームです。
Trailheadの活用は自社にとってSalesforceの活用を促進していくだけでなく、自社メンバーのITリテラシーを向上させることにも役立つため、まずはTrailheadの特徴やどのようなコンテンツが備わっているのかについて解説します。
SalesforceのTrailhead(トレイルヘッド)の特徴
SalesforceのTrailheadは、Salesforceに携わる人であれば誰もが利用したことがあると言っても過言ではないほど、魅力的なコンテンツが備わっています。
Trailheadの中にはSalesforceの認定資格に合格するための公式学習コンテンツがあったり、世界中の数百万人のユーザーとつながることができるコミュニティがあったりと、それぞれのユーザーが自分に合った学習を継続できる様々な工夫があります。
その中でも特に魅力的なTrailheadの特徴について見ていきましょう。
無料でどこでも学習できる
Trailheadの大きな特徴の一つは、なんと言っても無料で利用ができることです。
自社でSalesforce製品を導入しているか、自分がSalesforce製品のユーザーであるかといったことは関係がなく、Trailheadは無料でアカウントを登録すればすぐに利用が開始できるため、全ての人が利用できる学習プラットフォームとなっています。
またWebブラウザだけでなく、スマホやタブレットでTrailhead内のコンテンツを学べる「Trailhead GO」もリリースされており、無料でいつでもどこでも学習ができます。
学習コンテンツも1つあたり5分から長くても30分程度で完了できるものが多く、移動や会議のスキマ時間などを有効活用して取り組みやすくなっているのも魅力的な特徴の一つです。
スキルや学習量が定量化される
次に挙げられるTrailheadの特徴は、学習したスキルや量が定量化されることです。
では、スキルの定量化とは何か。
その一つに、ポイントやバッジ、ランクといった制度があります。
SalesforceのTrailheadは学習したコンテンツの難易度や種類、量によってポイントやバッジが付与されます。
それらを集めることで、ユーザーはそのポイントやバッジに応じたランクを与えられます。
このポイント数やバッジ数、ランクはユーザーの称号として、他のTrailheadユーザーからも見ることができます。
そのため、ユーザーはSalesforceの習熟度や実績を定量的に外部に示すことができ、実際にSalesforce管理者としてのキャリアアップにつながったユーザーも多くいることから、Trailheadの学習を進めることはキャリア形成にも効果的です。
現在Salesforceが公表しているTrailheadユーザーのランクや条件は以下の通りです。
ランク | バッジ | ポイント |
---|---|---|
SCOUT | 0 | 0 |
HIKER | 1 | 200 |
EXPLORER | 5 | 3,000 |
ADVENTURER | 10 | 9,000 |
MOUNTAINEER | 25 | 18,000 |
EXPEDITIONER | 50 | 35,000 |
RANGER | 100 | 50,000 |
DOUBLE STAR RANGER | 200 | 10万以上 |
TRIPLE STAR RANGER | 300 | 15万以上 |
FOUR STAR RANGER | 400 | 20万以上 |
FIVE STAR RANGER | 500 | 25万以上 |
ALL STAR RANGER | 600 | 30万以上 |
最新コンテンツが学べる
またSalesforceのTrailheadでは、Salesforceの基本から応用的な機能だけでなく、最新のIT技術の知識など幅広く学習ができます。
ITの知識は常に新しい技術が生み出され、変化が激しい分野の一つです。
SalesforceのTrailheadでは、最新コンテンツの追加や既存コンテンツのアップデートが「Summer」「Winter」「Spring」の年3回行われており、Trailheadを通して、世界的なIT企業であるSalesforceが提供するIT知識を習得することができます。
AIの発展やDXへの取り組みに伴い、DXや情報システムのご担当者様にとって従業員のITリテラシー向上を目的とした教育コンテンツの準備や、実施などに時間がかかっているというお声もよく聞きます。
例えば、Trailheadには「生成AI」や「人工知能」について学べるコンテンツも用意されており、Trailheadの学習は会社全体のITリテラシー向上にも役立てることができます。
SalesforceのTrailhead(トレイルヘッド)のコンテンツ
SalesforceのTrailheadについて概要を知っていただいたところで、ここからはSalesforceのTrailheadの学習を効率的かつ体系的に行うための仕組みについて解説します。
Salesforceの機能学習を進めたり、Salesforceの資格対策を行う上でよく目にするキーワードのため、ぜひその定義や違いについて押さえておきましょう。
モジュール
モジュールは、Salesforceの基本機能や特定のトピックに焦点を当てた学習単元を一つにまとめたものを指します。
モジュールの単元では、選択形式のミニテストやハンズオンチャレンジが用意されており、ユーザーは知識のインプットとアウトプットをすぐに実践できるようになっています。
また、各単元を完了するとユーザーにはテストの内容に応じたポイントが付与されます。
モジュールの単元を全てクリアするとバッジをもらうことができ、ユーザーのスキルや学習の進捗を可視化することができます。
プロジェクト
プロジェクトは、ユーザーの実践的なスキル習得のために、実際に仮想のSalesforce環境を操作しながら、特定の操作手順を学んでいく演習です。
プロジェクトでは、実際のビジネスシナリオに基づいてSalesforceの機能を使い、具体的な設定や機能実装を学ぶことができます。
例えば、「Salesforce オブジェクトをカスタマイズする」のプロジェクトでは、ユーザー自身が架空の企業のSalesforceシステム管理者となって環境設定・実装を進めていきます。
プロジェクトで用いる仮想のSalesforce環境には、Trailheadが提供する専用の仮想環境である「Trailhead Playground」やSalesforceの本番環境と切り離して開発者向けに無償提供されている「Developer Edition」の2つがあり、どちらも自由に操作検証ができるようになっています。
プロジェクトはストーリーに沿って手を動かしながら学べるので、実務に直結したスキルを習得するのに効果的です。
トレイル
トレイルは、ユーザーが学びたいスキルや業務内容に合わせて、複数のモジュールを組み合わせた学習コースです。
特定の役割や目的に応じて設計されており、順を追って学ぶことで段階的かつ体系的にスキルを高めることができます。
学習したいスキルや業務に必要な知識が明確な場面では、トレイルを用いて関連する知識やスキルを習得し、全体的な理解を深めるようにしてみてください。
Trailmix
Trailmixは、自分自身や他のユーザーがカスタマイズして学習コンテンツを組み合わせて作成できる機能です。
モジュール・プロジェクト・トレイルを自由に組み合わせて、自分の学習ニーズや興味に合わせたオリジナルの学習プランを作成できます。
作成したTrailmixは他のユーザーへ共有することもできるため、特定のスキルセットを強化したり、チーム全体で同じ学習目標に向かって進むために利用できます。
またSalesforceの認定資格試験対策においても、Salesforceが公式にTrailmixを作成しており、ユーザーの学習を助けてくれます。
SalesforceのTrailhead(トレイルヘッド)の活用方法
それでは、実際にSalesforceのTrailheadを利用するためのアカウント登録手順や活用方法について、見ていきましょう。
Trailheadのアカウントを作成し、自分に合ったコンテンツを学ぶまでの手順は非常に簡単に実践できるので、本記事を参考にTrailheadのアカウント登録ができていなかった場合はすぐに登録をしてみてください。
SalesforceのTrailheadの登録
SalesforceのTrailheadアカウントは以下手順で設定ができます。
1.Webブラウザで「Trailhead」と検索し、表示される「Trailhead | 楽しく学ぶ方法」のサイトをクリック
2.ページ右上にある「サインアップ」をクリック
3.ソーシャルアカウントまたはメールアドレスを登録の上、「次へ」をクリック
4.(メールアドレス登録の場合)利用する国/地域を選択し、利用規約にチェックをした後、「Verify my email」をクリック
5.入力したメールアドレスに届いた認証コードを入力し、「コードを送信」をクリック
6.必要事項を入力の上、「次へ」をクリック
7.アカウントが作成されたことを確認し、完了
学習コンテンツの選択
Trailheadのアカウント登録が完了したところで、次は学習するコンテンツを選択しましょう。
Trailheadでは様々な目的に沿ってコンテンツが用意されており、ユーザーの学習を助けてくれます。
特定のコンテンツの検索方法
Salesforceの運用や学習をしている際に、特定の部分について理解を深めたいシーンが多くあるかと思います。
例えば、Salesforceの運用をする上でよく目にするキーワードの一つ「オブジェクト」。
オブジェクトについて改めて概要や自社の活用方法について学習したいという時には、Trailhead内で検索し、条件を指定した絞り込みをすることで必要なコンテンツを見つけることができます。
1.Trailhead内の右上にある検索ボックスにて「オブジェクト」を検索
2.表示される結果画面の左側より、「検索条件」を選択して絞り込み
ご自身に合ったコンテンツのレベルや学びたいSalesforce製品を選択することで、条件に当てはまったコンテンツのみが表示されます。
3.表示されたコンテンツの内容を確認して学習を開始
関連するコンテンツのレコメンド
またSalesforceの学習を進めていく中で、理解が難しい機能や関連するコンテンツを派生して学びたい場面も出てくるかと思います。
その様な場合は、Trailheadが提案してくれるおすすめのコンテンツを学習してみましょう。
実はTrailheadにはSalesforceのAI機能である「Einstein」が組み込まれています。
そのため、学習を進めるユーザーの検索行動やよく見ているページなどからTrailheadが学習内容を自動的に検出し、ユーザーのニーズに沿った学習コンテンツを提案してくれます。
提案されるコンテンツを順番に学習していくだけでも、関連機能や知識を体系的に学ぶことができ、Salesforceの理解をかなり深めていただくことができます。
Trailhead Playgroundでの操作トレーニング
実務で活用できるSalesforceの知識を学ぶためには、テキストベースの学習だけでは身に着けるのが難しい部分があります。
ただ、実際の自社Salesforce環境で実際に操作をしてしまうと、場合によってはセキュリティ設定が変わってしまったり、データが消えたりといったリスクもあります。
そのため、実際の操作を通して学習を進めたい場合にはTrailheadが提供する「Trailhead Playground」を活用しましょう。
Trailhead PlaygroundはTrailheadで学習を進めるための専用の操作環境となっており、仮想のSalesforce環境をシステム管理者として操作することが可能です。
Trailhead内で学んだ知識を実際に手を動かして検証してみることで、実務で活用できる知識やスキルが定着していきます。
またTrailheadの「プロジェクト」は、このTrailhead Playgroundを用いてテストに回答する場面もあるため、積極的に活用することをおすすめいたします。
Trailhead Playgroundの作成方法
1.Trailheadのアカウントページ右上にある自身のアイコンにカーソルを当て、「ハンズオン組織」をクリック
2.右上の「Playgroundを作成」をクリック
3.Playgroundに任意の名前を付けて、「作成」をクリック
4.作成したPlaygroundの「起動」をクリック
※Playground環境の構築には数分ほどかかる場合があります
5.Playgroundの環境が正しく立ち上がることを確認
Salesforce認定資格に関連するコンテンツの学習
Salesforceの運用や活用経験を積んでいく中で、スキルや知識を証明するためSalesforeが公式に提供する認定資格の取得を目指される方もいらっしゃるかと思います。
その場合には、闇雲に必要そうなコンテンツを学習するのではなく、Trailheadが提供する認定資格のTrailmixを活用してみましょう。
1.Salesforceの認定資格一覧より、受験したい資格の「受験ガイド」を確認
2.「推奨トレーニングと参考資料」より、学習が必要なTrailmixやモジュールを確認
3.コンテンツを確認し、学習を開始する
参照:Salesforce認定資格とは?おすすめの資格や勉強方法について紹介
Salesforceのユーザーコミュニティへの参加
またSalesforceの運用やTrailheadの学習を進めていくと、どうしてもテキストやハンズオンだけでは理解が難しい場面も出てくるかと思います。
その場合には、世界中のSalesforceユーザーに相談ができる「Trailblazerコミュニティ」を活用してみましょう。
Salesforceでは、Salesforceを活用して革新に挑戦するユーザー達を「Trailblazer(トレイルブレイザー:先駆者)」と呼んでいます。
Trailblazerコミュニティには世界中のTrailblazerが集まっており、Salesforceに関わる質問には、同じく他社でSalesforceを運用する管理者やエンジニアの方々がアドバイスをしてくれます。
過去の質疑応答なども確認することができるため、自分で質問をするのは恥ずかしいという方は、ぜひ過去に同じような質問が出ていないか検索してみるところから始めてみましょう。
Trailhead(トレイルヘッド)で認定アドミニストレーター資格対策
ここまでTrailheadの概要や効果的な活用方法について解説してきましたが、最後にSalesforceの管理者の方々が一番初めに取得を目指すことが多い、「Salesforce認定アドミニストレーター」資格の合格に向けたTrailheadの活用方法について紹介します。
適切な学習を積めば、数か月程の短期間で合格もできるため、ぜひ参考にしてみてください。
受験ガイドで試験範囲や出題範囲を確認
最初に「認定アドミニストレーター」の受験ガイドを必ず確認しましょう。
受験ガイドには試験範囲や出題される割合が記載されています。
認定アドミニストレーターにおいて求められる知識は幅広いですが、特に重要視される知識やスキルの全体像を掴むことができるので、試験の合格に向けて、注力して学習をすべきポイント等を判断することができます。
Salesforce認定アドミニストレーターの受験ガイドはこちら
公式のTrailmixで試験対策を行う
前述の通り、Salesforceは各認定資格試験の学習のために、公式のTrailmixを提供しています。
受験ガイドに記載されている「推奨トレーニングと参考資料」より、該当のTrailmixを確認しましょう。
Salesforce初学者の方であれば、基本的には全てのコンテンツを順番に学習することを推奨します。
ただ、試験までの時間が限られていたりSalesforceの実務経験をある程度お持ちの方は出題範囲の大きいところや苦手な箇所を中心にコンテンツをピックアップして学習するようにしましょう。
Trailmixに出てくる内容を自社のSalesforce環境やPlaygroundで実際に確認することで知識が定着していきます。
ぜひテキストベースの学習とハンズオンを相互に組み合わせて学習を進めるようにしてみてください。
まとめ
本記事では、Salesforceが公式に提供する学習プラットフォームの「Trailhead」について、概要や効果的な活用方法について解説をしてきました。
Salesforceの導入をご検討されている方や既にSalesforceをご導入している企業のご担当者においては、自社Salesforceの活用を推進するためにTrailheadを活用していくイメージをお持ちいただけたでしょうか?
Trailheadは、Salesforceの機能を理解し、自社に適した運用・管理を行っていくためにも重要な学習プラットフォームです。
曖昧な理解のままSalesforceを運用・管理してしまうと、Salesforceの導入によって効率的になるはずの実務部門の工数が増えてしまったり、安全にお客様や営業活動のデータが管理できないといったリスクにつながってしまう恐れもあります。
本記事を参考に、自社のSalesforce環境を正しく運用していくためにも、Salesforceが提供するTrailheadの重要性や活用について、改めてご検討いただくきっかけになりましたら幸いです。
また同時に、Trailheadは全てのユーザーに提供される汎用的な知識やスキルを提供するツールであるため、Trailheadの学習を通じても、自社の運用においてはどうしたら良いのか判断がつかない場合もあるかと思います。
ストラでは、お客様の目指すデータ活用やお客様の業務フローに沿って、適切なSalesforceの環境設定や運用をご支援いたします。
自社の運用に沿って今後更にSalesforceを活用していくために、今一度自社環境を見直してみたいと思われたご担当者様は、こちらのお問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。
執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀
大学卒業後、株式会社TBI JAPANに入社。株式会社Paykeに取締役として出向し訪日旅行者向けモバイルアプリ及び製造小売り向けSaaSプロダクトの立ち上げを行う。
アクセンチュア株式会社では大手メディア・総合人材企業のセールス・マーケティング領域の戦略策定や業務改革、SFA・MAツール等の導入及び活用支援業務に従事。
株式会社Paykeに再入社し約10億円の資金調達を行いビジネスサイドを管掌した後、Strh株式会社を設立し代表取締役に就任。
▼保有資格
Salesforce認定アドミニストレーター
Salesforce認定Pardotスペシャリスト
Salesforce認定Pardotコンサルタント
Salesforce認定Sales Cloudコンサルタント