スコアリングとは?BtoBマーケティングにおけるリードスコアリングのポイントについて解説

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スコアリングとは?BtoBマーケティングにおけるリードスコアリングのポイントについて解説

この記事でわかること

  • スコアリングとは?目的やスコアの種類
  • スコアリングのメリット
  • MA(マーケティングオートメーション)を活用したスコアリングの設定方法
  • スコアリングを進めているものの、活用できていない場合に考えられる理由

執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀

マーケティングにおいて、リード獲得からコンバージョンに至るまでのプロセスは非常に重要です。マーケティング担当者はただリードを獲得するだけではなく、そのリードがどの程度商談につながる可能性があり、受注する可能性があるかを判断することが求められます。

また、購買行動の観点では、個人、法人問わず顧客の購買行動はとても早いスピードで変化しており、オンラインでの検討、購買比率も高まり、さらに検討期間も長期化傾向にあります。検討の初期段階ではオンラインで情報を収集し、比較検討も一定行った上で、オフライン、対面での商談に移行していくということが明らかになっています。要するに、問い合わせを行いオフラインで対面する時点ではある程度、購買意思が固まっているのです。

そのような傾向が強まる中で企業は、オンライン上でのコミュニケーションを通して顧客との関係を強化し、顧客の購買行動からその「購買シグナル」をリアルタイムに把握し、適切なタイミングでアプローチを行うことが重要になります。

そこで、それらの取り組みを行うために近年スコアリングという手法が注目されています。

本記事では、スコアリングの仕組みやメリット、実践的な導入方法などを解説します。

1. スコアリングとは

スコアリングとは、リードの質を評価し、成熟度合いをスコア化する手法のことです。リードスコアリングを実施することで、優先順位が高いリードを把握することができます。これにより、優良なリードにフォーカスして、より効率的かつ効果的なマーケティング施策を展開することが可能となります。

スコアリングを行うには、企業独自のスコアリングモデルを構築する必要があります。そのためには、企業独自のビジネス目的に基づいたスコアリングポイントの設定や、リードに対してスコアを付与するための情報の収集が必要です。さらに、スコアリングには人手による判断だけでなく、機械学習技術を用いた自動スコアリングもあります。

マーケティングにおけるスコアには大きく「属性」と「行動」の2つのスコアがあり、それぞれ以下のような情報が要素としてあります。

属性スコア

  • 業界・業種
  • 職種
  • 会社規模
  • 売上規模
  • 所在地
  • 役職・職位
  • 性別
  • 年代
  • etc…

これらの属性は、潜在的な顧客の購買行動を予測するために使用されます。例えば、同じ商品を提供する2つの企業がある場合、企業の収益が高い方が、商品を購入する可能性が高いと予想したりと、属性スコアは、リードが購買行動を起こす可能性があるかどうかを決定するために使用されます。

行動スコア

  • メールの開封・クリック
  • webサイトの訪問
  • ホワイトペーパーのダウンロード
  • ウェビナー申込・参加
  • etc…

これらの行動を基にリードが購買意欲を持っている可能性を判断したりと、行動スコアは、リードが購買意欲を持っているかどうかを決定するために使用されます。

属性スコアと行動スコアを組み合わせることで、より精度の高いスコアリングが可能になり、スコアリングを活用することでリードの質を向上させ、マーケティングの効率化を実現することができます。

参考:リードナーチャリングとは?意味やメリット、進め方と手法までプロが徹底解説

2. スコアリングのメリット

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1.営業生産性の向上

スコアリングを行い、リードの購買行動や意向を数値化することで、営業は自身が持っている営業リストのうち、優先的にフォローすべき顧客が明確になるので営業生産性の向上が期待できます。

例えば、営業Aに対して2,000件の営業リストがあったとして、無作為に1日10件ずつアプローチした場合、すべてにアプローチが完了するのに20営業日を要します。仮にそのリストの中にすぐに検討したいと考えていたリードがいたとすると、20営業日経過する段階で営業機会を失う可能性もあるのです。

また、営業リスト内のリードのwebサイトアクセスやホワイトペーパーのダウンロードなどの購買行動を把握していれば、購買行動に合わせたコミュニケーションを行うことができるのもメリットの一つです。

2.営業との連携効率化

スコアリングを行い、営業がフォローすべき見込み度の高いリードを定義することで、営業フォローの基準やプロセスを明確にすることができ、営業は購買意欲の高いリードに対して効果的にアプローチすることができます。

また、スコアリング結果を定期的にフィードバックすることでマーケティングと営業は改善点を共有し、営業プロセスを改善することができます。

3.将来の収益基盤の強化

見込み度の高いリードを営業に連携し、効率的にアプローチを行うことも重要ですが、現在見込み度の低いリードを放置せずに、各リードのスコアに基づいた適切なコミュニケーションを行うことで見込み度(スコア)を上げていき将来の受注機会をこぼさないようにすることができます。

3. スコアリングとマーケティングオートメーション(MA)

スコアリングを行うには、リードのデータを収集し、蓄積する必要があります。また、そのデータを元にスコアリングモデルを作成し、リードを評価する必要があります。これらを効率的に実現できるのがマーケティングオートメーションツール(MA)です。

スコアリングを行うためにマーケティングオートメーションでできることは以下です。

1.自動的なデータ収集と蓄積

MAは、WebサイトやSNSなどからリードのデータを自動的に収集し、蓄積することができます。これにより、リードの属性や行動データを一元的に管理することができ、スコアリングのためのデータ基盤を構築することができます。

2.スコアリングモデルの作成

マーケティングオートメーションはリードの属性や行動データを元に、スコアリングモデルを作成することができます。これにより、購買意欲の高いリードを特定し優先的に営業チームに引き渡すことができます。

3.メール配信等のワークフローの自動化

マーケティングオートメーションは、スコアリング結果に応じて自動的にリードに適切なメッセージを送信することができます。また、営業チームに引き渡すリードリストを自動的に作成し、営業活動を効率化することができます。

4.成果の評価と改善

マーケティングオートメーションは、スコアリング結果を定量的に評価し改善に役立てることができます。また、マーケティングキャンペーンの成果を可視化し、営業チームと共有することで、マーケティング活動の改善点を把握し、より効果的なキャンペーンを展開することができます。

参考:マーケティングオートメーション(MA)とは?機能や選び方、おすすめツールまで紹介

4. マーケティングオートメーションを活用したスコアリングの設定方法

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では、マーケティングオートメーションを活用してスコアリングを行うためにどのような設定が必要なのでしょうか。

ここからは具体的なスコアリングの設定方法を解説します。

スコアリングの設計・設定方法の考え方は一つではありません。今回の記事を参考に自社に合った設定方法を検討しましょう。

1.営業へ引き渡し後のリードの対応内容の決定

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まずはスコアリングを行った結果、見込み度が高いと判定されたリードに対する対応内容を明確にしておきましょう。例えば、「営業へ引き渡し後は営業から商談打診のメールを送る」「営業へ引き渡し後すぐに営業からフォローの電話をする」などです。

これについては、営業部門とマーケティング部門が相談して決定する必要があり、ここが明確でないままスタートしてしまうと、せっかくスコアが高く見込み度が高いと判断されたリードもフォローされず商談機会を逸失する可能性があるので、まずは決めておきたいですね。

2.デフォルトスコア設定の確認

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MAツールによってはデフォルトで各アクションに対するスコアが設定されています。まずはデフォルト設定を確認して、あまりにも加点割合が多いなどがあれば調整をしましょう。

3.見込み度の高いリード(有望リード)の基準を定義する

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デフォルトスコアの確認後は、リードのスコアがいくらになったら営業に引き渡すのかを定義します。実は最初にこれを決めるのはとても難しい作業です。ただし、初期段階であまりあまり難しく考える必要はありません。営業部門と連携し、どのような属性の人が商談・受注に繋がりやすいか、または購買行動をしていたら商談・受注に繋がりやすそうかの仮説を洗い出し、まずは仮説ベースで設定することで問題ありません。

4.スコアの調整

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前の手順で確認したスコアに対して加点や減点の調整をしていきます。運用が始まったあとは調整の機会は数多く発生するので、まずは有望リードの基準にしたがいスコアの調整を行います。

5.有望リードの抽出条件とアクションの設定

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決定した有望リードの基準にしたがって、その基準を満たしたリードを抽出する条件及び、抽出後にMAからどのようなアクションを行うのかを設定します。

具体的には「基準を満たすリードは営業に割り当てる」「基準を満たすリードは営業に通知をする」などのアクションを設定します。

6.スコアリングの精度を上げる

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ここがスコアリング運用において一番重要なパートといっても過言ではありません。運用後、営業部門と定期的にスコアの精度について、実際の商談結果や受注結果のデータや定性情報をもとに、有望リードの基準を見直します。

見直したリード基準に基づいて、スコアの調整を行いスコアリングを最適化していきます。

このサイクルを回すことが、スコアリング運用において最も重要であるということを改めてお伝えします。

参考:【完全ガイド】Account Engagement(旧 Pardot)のスコアリングとは?スコアリングカテゴリとの違いや活用方法を解説

5. スコアリングの活用が進まない理由

ここまで解説してきたスコアリングも実際の現場ではなかなか活用が進んでいない、進めていたが頓挫したということが多々あります。筆者も実際の支援現場でよくこういった場面に立ち会います。

なぜスコアリングが進まないのか、ここではその理由をいくつか紹介したいと思います。

適切なスコアが分からない

特に運用初期でよくある課題が、「適正なスコアが分からない」という課題です。スコアの付け方が分からないために、導入自体が進んでいないというケースもよくあるのではないでしょうか。

これは考えてみれば当然で、始めてもいないので適正なスコアが分かる人は誰もいません。スコアリング活用の大原則は「運用しながら最適化」していくことにあります。まずは仮説として、「どういう属性・行動を取ったリードは見込み度が高いと言えるのだろうか」ということを営業部門と共に考えてみましょう。

それが難しいという方はまずはデフォルトのスコアでスタートするというのも一つです。

デフォルトのスコアで運用した結果、商談に至ったリードや受注に至ったリードがどういった属性で購買行動をしていたのかというデータを集計し、そこからスコアを調整していくという方法もあります。

まずは仮説ベースでスタートしてみるというスタンスで、考えることに時間を取られて動けないという自体は避けましょう。

営業・マーケティング部門の連携が取れずスコアの最適化ができない

「組織が縦割りで営業・マーケティング部門の連携が取れない」もよくある課題として見聞きします。先ほども述べた通り「運用しながら最適化」が大前提なので、運用後、営業からのフィードバックがもらえないのは致命的です。

こういった事態を避けるために、有望リードの基準を決める段階から、もっと言うとMAツールの導入段階から営業部門を巻き込み、活用することでのメリットを伝え続け、協力体制を構築しておくことが重要です。

6. まとめ

スコアリングの仕組みから活用方法、導入手順まで解説しました。ここまで読んでみると少しでも自社でのスコアリング活用イメージが湧いたのではないでしょうか。

スコアリングの設定方法は一つではなく、また、その最適化方法についても様々な方法があります。本記事で紹介した内容も参考に、自社に合ったスコアリングの活用を進めていきましょう。

ストラではスコアリングの活用をはじめ、MAツールの導入や活用において実績をもったコンサルタントが一貫してご支援させていただきます。

スコアリング活用やマーケティングオートメーションツールの活用にお困りごとがありましたら、お問合せフォームより、お気軽にご相談ください。

執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀

大学卒業後、株式会社TBI JAPANに入社。株式会社Paykeに取締役として出向し訪日旅行者向けモバイルアプリ及び製造小売り向けSaaSプロダクトの立ち上げを行う。
アクセンチュア株式会社では大手メディア・総合人材企業のセールス・マーケティング領域の戦略策定や業務改革、SFA・MAツール等の導入及び活用支援業務に従事。
株式会社Paykeに再入社し約10億円の資金調達を行いビジネスサイドを管掌した後、Strh株式会社を設立し代表取締役に就任。

▼保有資格
Salesforce認定アドミニストレーター
Salesforce認定Pardotスペシャリスト
Salesforce認定Pardotコンサルタント
Salesforce認定Sales Cloudコンサルタント

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