SFAとは?基礎知識からCRMやMAとの違いや導入ポイントをわかりやすく解説

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SFAとは?基礎知識からCRMやMAとの違いや導入ポイントをわかりやすく解説

この記事でわかること

  • SFA導入で解決できる業務課題
  • SFA導入のメリット・デメリット
  • SFA導入時や運用時に気を付けたいポイント
  • SFAの活用事例

執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀

 

顧客情報や商談情報など営業に関わる情報を一元管理・活用して営業支援を行う「SFA」。自社のビジネスプロセスの改善にSFAを活用するか悩む人や、SFAと同様に語られるCRMやMAの違いが分からないという人も少なくありません。

本記事では、SFAに関する基礎知識やメリット・デメリット、CRMやMAとの違い、導入ポイントなどを解説していきます。自社のビジネスプロセス改善に業務支援ツールの活用を考えている人はぜひ本記事を参考にして、検討に役立ててください。

1. SFAの概要

SFAとは「Sales Force Automation」の略語で、日本語で「営業支援システム」と呼ばれています。SFAは顧客情報や商談情報、商談の進捗状況、営業担当の行動などのデータを一元管理・活用することで営業活動の支援を行う業務支援ツールです。

その他にも営業活動の一部を自動化、仕組化する機能など豊富なため営業活動のパフォーマンスの向上、効率化が期待できます。企業の営業活動の目標は自社の商品やサービスを顧客に売り利益を得ることです。営業利益向上にSFAは有効となります。また近年デジタル化が進んだ影響もあり、SFAを含む業務支援ツールは多くの企業で導入され始めています。

参照:CRMとは?導入メリットや機能、選び方やおすすめツールまで解説

参照:マーケティングオートメーション(MA)とは?機能や選び方、おすすめツールまで紹介

SFAとCRM・MAとの違い

SFAと同様に語られることの多い業務支援ツールとして、CRMとMAが挙げられます。こちらではSFAとCRM・MAの違いについてみていきましょう。

SFA/MA/CRMの違い

SFAとCRMの目的と役割の違い

CRMとは「Customer Relationship Management」の略語で、日本語で「顧客関係管理」と呼ばれています。氏名や年齢などの基本情報をはじめ、自社製品やサービスの購買履歴、購買志向など顧客に関連した情報の一元管理が可能です。

SFAは「営業支援システム」と訳される通り、顧客や商談情報、営業の行動情報などを一元管理・活用することで、営業活動を可視化し営業パフォーマンスを向上させるといった「営業活動を支援することを目的に設計されたシステム」になります。

それに対してCRMは「顧客関係管理」と訳される通り、「顧客」を主語として、顧客情報や購買情報、顧客の行動情報などを一元管理・活用することで、顧客とのエンゲージメントを向上させるといった「顧客関係性を強化するための活動を支援することを目的に設計されたシステム」になります。

上記の目的の違いから、一般的にはSFAとCRMの役割として営業プロセスのなかで担当する領域が異なります。具体的には、SFAが「リードから受注」までのプロセスを担うのに対して、CRMは「受注から活用やロイヤルカスタマー化」といった受注後のプロセスを担うといった違いがあります。

SFAとCRMの機能の違い

CRMには主に以下のような機能が備わっています。

  • 顧客情報管理機能
  • データ分析機能
  • プロモーション管理機能
  • セキュリティ機能

顧客情報の管理や活用ができるCRMですが、SFAにできる営業関連の情報管理や効率化などの機能は備わっていません。

SFAとMAの目的と役割の違い

MAとは「Marketing Automation」の略語で、「マーケティング活動を自動化するツール」のことを指します。自動化できるマーケティング施策として、顧客へのメールの配信や自社サービスへの顧客の行動履歴の分析などの単純作業が挙げられます。

SFAが「営業活動を支援するシステム」であるのに対して、一般的にMAは「営業が対応する前の見込顧客に対するマーケティング活動を支援するツール」であるという違いがあります。

担当するプロセスとしても、SFAが先ほど述べた通り「リードから受注」までのプロセスを担うのに対して、MAは「リード獲得からリードを営業に引き渡す」までのプロセスを担うといった違いがあります。

SFAとMAの機能の違い

MAに備わっている主な機能としては以下があげられます。

  • 見込み顧客管理機能
  • キャンペーン管理機能
  • メール配信機能
  • リード管理
  • ウェブサイトのトラッキング

MAは、マーケティング活動とエンゲージメントの自動化に特化していますが、SFAにできる営業活動の管理や取引情報の記録には適していません。

本章のまとめ

こちらの章ではSFAと同様に語られるCRMやMAとの違いについて解説してきました。SFAを導入したほうが良いケースとして以下のケースがあげられます。

  • 営業部門の業務プロセス改善を図りたい
  • 営業関連の情報を一元管理したい
  • 営業部門での売上予測を行いたい
  • 営業結果などの情報から分析を行いたい

このようにSFAは、営業プロセスの効率化や顧客データの管理、見込み客の追跡、売上予測など、営業活動に関わる多くのビジネスケースで有益です。

逆にSFAではなくても良いケースとして以下のケースがあげられます。

  • 小規模ビジネスの場合
  • 営業部門に課題がない場合
  • 使える予算に制約がある場合

業界やビジネスの規模、営業プロセス、予算によってはSFAを導入する必要がない場合があります。次章以降で、よりSFAについて詳しく解説していくため導入検討の参考にしてみてください。

2. SFAが解決・改善できる業務課題

SFAを活用することで具体的にどのような業務課題を解決・改善できるのでしょうか。営業収益とコストの2観点からそれぞれ紹介します。

営業収益観点

顧客・商談情報の一元化

顧客情報を集約し、セグメンテーションや優先すべき顧客の分析などに活用できます。また、社内部門間で情報共有が出来ておらず顧客に個別最適な提案を行ってしまうリスクを防ぐこともできます。

新規需要の発見

SFAに登録されている顧客情報を元にして、まだ開拓できていない顧客(ホワイトスペース)を発掘することができます。また、見込客(リード)や休眠顧客に対する拡販・キャンペーンの実施や管理も行うことができます。

受注率の向上

適切に商談を管理することで、商談フェーズごとに適切なフィードバックやアドバイスをマネジメント及びチームメンバーから受けることが可能です。

また、SFA上で商談に対するアクションを提案することができるなど、受注率向上に向けた効果的な営業活動を行う環境を構築することができます。

営業活動管理

営業の顧客に対する活動やその結果を記録することでそれらをレポートやダッシュボードで定量化することができ、KPIや評価と関連づけることで営業のモチベーションを高め、振り返りも行いやすくなるため営業活動の更なる生産性向上に繋がります。

予実管理・案件管理

営業計画策定後に「勘と経験」に頼る営業活動や管理ではなく、現状と目標に対するギャップを定量的に可視化・把握することができるので、目標達成に向けた打ち手の検討やアクションが取りやすくなります。

コスト観点

営業オペレーション効率化

複数システムにまたがるデータを統合したり、メールやExcel、手元のメモなどオペレーションが分断している作業を1つのシステムで行えるようにすることで、営業の日々の業務の効率化を図ることが可能です。

モバイルの活用

営業が出先でもクイックかつリアルタイムに顧客や商談データを入力できるようにすることで、オフィスに戻り入力を行う手間を省き、顧客訪問や対応など受注に向けた生産的な業務に費やす時間を増やすことができます。

3. SFAの主な機能

SFAに備わる主な機能として、以下の4つの機能があげられます。

  • 顧客管理
  • 案件管理
  • 行動管理
  • 予実管理
SFAの主な機能

上記機能は営業活動のパフォーマンスの向上や分析に役立つ機能です。こちらでは各機能について詳しくみていきましょう。

顧客管理

顧客管理機能は、営業対象となる顧客の住所や正式社名、業種などの基本的な情報から購入した商材、過去の取引履歴など顧客に関わるさまざまな情報を一元管理する機能です。また一元管理された情報は、既存顧客の分析にも活用ができます。

顧客情報の一元管理や分析をすることで、顧客に適した営業方針を立てることができ、かつ顧客一人ひとりのLTV(ライフタイムバリュー)の向上にも役立てられることがポイントです。SFAの種類によっては、アドオンとして著名企業DBとの連携や外部ソース、SNSとの連携などの機能も備わっている場合があります。

案件管理

案件管理機能は、営業活動における案件の進捗状況や詳細な情報を一元管理・活用する機能です。これまで担当個人で把握していた案件情報を組織内で見える化することで、営業ノウハウの蓄積だけでなく、担当不在時の引継ぎにも活用できます。

SFAツールによっては、見積もり注文や契約などの関連情報との紐づけ機能や、売上目標などをまとめる機能が備わっている場合があるのも特徴です。リアルタイムで案件情報が更新されるため、進捗状況の変化に応じてスピーディーに対応ができます。

行動管理

行動管理機能は、営業担当の営業活動の進捗や結果を一元管理・活用する機能です。営業件数や提案数、成約率、受注率などを見える化することで、営業業務の効率化や営業担当者の正しい評価に役立てられます。成約率の高い営業担当者の動きを分析することで、他の社員の教育にも活用可能です。

予実管理

予実管理機能は、集約したデータを活用して、担当者や案件、期間などさまざまな基準から売上予測や実績を可視化する機能です。予算と実績を比較することで営業担当者やチームごとの目標達成率と達成状況を見ることができ、また各データを活用してその後の営業方針や予算の使い方の改善などに役立ちます。

4. SFAを導入した場合のメリットとデメリット

こちらでは、SFAを導入した場合のメリット・デメリットについて解説していきます。

SFA導入のメリット

SFAを導入するメリットとして、以下の4点があげられます。

  • 商談進捗や営業活動がリアルタイムに可視化できる
  • 部内やチーム内で商談情報やネクストアクションなどの行動情報が共有できる
  • 営業業務の効率化
  • 正確に余実の管理をして売上の予測ができる

それぞれ詳しくみていきましょう。

商談進捗や営業活動がリアルタイムに可視化できる

SFAのもつ機能を活用することで、商談進捗や営業活動がリアルタイムで可視化できます。これまで営業担当者以外把握できなかった商談情報や進捗などの業務プロセスをSFAで一元管理することによって上司やマネージャーなど社員が確認しやすくなります。営業活動の可視化によって、より適切なフィードバックを営業担当者へ返すことができ、営業担当者個人の営業内容のクオリティの向上が可能です。

その他にも、成約率の高い営業担当者の商談進捗や営業活動を参考にすることで教育にも活用できたり、営業プロセスにおけるボトルネックを解消するサポートにも役立ちます。そのため商談進捗や営業活動が可視化できることは大きなメリットといえるでしょう。

部内やチーム内で商談情報やネクストアクションなどの行動情報が共有できる

SFAの案件管理や行動管理機能を活用すると、これまで属人性が高かった情報や営業ノウハウを共有できるようになるため営業プロセスの組織化が図れます。特に成約できた商談情報や行動情報を共有することで、成功率の高い顧客へのアプローチ方法を社内で共有することも可能です。特定の担当が売上を向上させるのではなく会社全体で営業力のレベルアップを図れます。

また社内での情報共有の仕組みができることで、営業担当間での連携がとりやすく、不在時に対応してもらった場合の引継ぎも容易です。

営業業務の効率化

SFAを導入することで営業業務の効率化を図ることも可能です。営業業務には日報の作成や顧客情報の整理、資料作成など行う業務の種類は多岐にわたります。SFAでは、営業に関わる情報を一元管理し活用することで一部作業の自動化や効率化が可能です。またSFAツールによっては外部ツールへの情報連携も自動的に行ってくれるため、同じ情報を複数の場所に入力する手間も省けます。

特にこれまでExcelなどで顧客情報や案件情報を管理してきた企業は、SFAを導入することでSFAツール内で情報管理や資料作成が完結できることが魅力です。作業系の業務の自動化や効率化を促すため、顧客獲得のための商談準備や商談の時間に営業担当者のリソースを回すことができるため、SFA導入のメリットといえるでしょう。

正確に予実の管理をして売上の予測ができる

正確に予実を管理することで営業担当やチーム、会社の目標への進捗度合いを可視化してくれます。予実管理が正確なため、今後の売上予測が立てやすくなります。正確な予実管理と売上予測によって、営業部門が抱える課題を洗い出せます。例えば売上予測で赤字計上となった部門が出た場合、予実の内訳を確認することで原因分析などが把握できるようになるでしょう。

営業部門の課題が予実管理や売上予測によって浮き彫りになることで、営業目標の達成に向けた軌道修正がしやすくなります。そのためSFAを導入することは、営業目標達成確率を高めてくれるといえるでしょう。

SFA導入のデメリット

SFAを導入するデメリットとして、主に以下の2点があげられます。

  • ツールへの入力が社員の負担になる
  • コストがかかる

それぞれ詳しくみていきましょう。

ツールへの入力が社員の負担になる

SFAは、他ツールとのデータの連動が出来ますが、その元となるデータの入力作業が必須で社員の負担になることがデメリットです。同じデータを何度も入力しなくてすむように、データ連携の設定をSFAで実施する必要があります。

ただ元データさえ入力できればSFAの機能を活用して一元管理・活用が可能です。そのため、事務作業を他の社員やスタッフに移管して作業分担を行ったり、営業作業に充てる時間の見直しをしたりと工夫をしましょう。

コストがかかる

SFAツールは、ID毎に月額や年額契約するケースが多く、利用するユーザーの数が多ければ多いほどコストがかかることもデメリットの1つです。営業規模や予算を考えずに大量に導入しても成果がコストに見合わないケースも少なくありません。

そのため、導入にあたってはSFAツールに利用できる予算と営業規模をしっかりと照らし合わせて、スモールスケールから始めて段階的に導入していくことが重要です。

5. SFA導入と運用の際に気をつけるべきポイント

こちらではSFA導入が成功するために、導入時や運用にあたって気をつけたいポイントについて解説していきます。

SFA導入時に気をつけるポイント

SFAを導入する前に気をつけたいポイントとして以下の観点があります。

  • 導入の目的を明確にする
  • 営業プロセス/マネジメントもセットで改善する
  • 蓄積したデータを分析・活用できる体制(リソース)つくる
  • 入力する項目を絞りこむ
  • 営業メンバーにSFAを利用するメリットを理解してもらう

それぞれ詳しくみていきましょう。

SFA導入時に気を付けるポイント

導入の目的を明確にする

SFA導入にあたってまずは目的を明確にする必要があります。例えば複数の自社ツールで管理してたデータを一元化して営業部門の効率化を図りたいなどです。SFAは、前述の通り営業支援ツールのため営業部門に関連した業務の支援に役立ちます。もし営業活動支援以外の目的の場合、SFAの導入に適さず導入が無駄になるため注意が必要です。

また、SFAは利用できる機能の有無によって月額利用料が上下する場合があります。導入の目的によっては安いライセンスでも大丈夫な場合があるため、SFA導入の目的を明確にすることが必要です。

営業プロセス/マネジメントもセットで改善する

営業部門の情報管理のみを目的とする場合、営業プロセスやマネジメントの改善も考えて導入することがポイントです。SFAは、商談情報の管理だけでなく、一元化したデータを活用して一部営業プロセスの自動化や効率化も期待できます。そのため、営業管理のみ検討して導入してしまうと、導入後に再度営業プロセス改善の検討をしなくてはいけません。したがって、SFAの導入を検討する上でどのように営業プロセスやマネジメントを改善するかも考えることで、SFAの機能を無駄なく活用できるでしょう。

蓄積したデータを分析・活用できる体制(リソース)をつくる

SFAを導入する上でデータ分析や活用する体制を整えることは重要です。蓄積するデータの種類は、利用する営業担当者の立場によっても変わります。例えば、同じ企業でも経営者や管理者、一般社員で立場が異なり編集や参照ができるデータも異なるため導入前にユーザーの立場ごとに活用できるデータのリソースを整えることが必要です。

またSFAで一元管理できると言っても限界があります。導入前にどのデータを蓄積するのかも検討することが重要です。蓄積したデータをどのように活用したいのかも明確にした上でデータのリソースを整えましょう。

入力する項目を絞りこむ

SFAは、前述の通り一元管理する元データは営業担当者に入力してもらう必要があります。導入前の業務で入力してきた項目よりも増えてしまっては、かえって業務の手間が増えてしまい業務効率化の効果を得られません。営業担当者の入力する負担を軽減するためにも入力する項目を絞って最初は始めることがおすすめです。

どうしても入力する項目が多いビジネスモデルの場合は、SFAツールで自動入力する仕組みの開発も検討にいれると良いでしょう。

営業メンバーにSFAを利用するメリットを理解してもらう

SFAを導入する場合、営業メンバーへの理解を得ることはとても重要です。SFAの導入によってこれまでの業務プロセスが大きく変わります。流れが確立していた業務に変化を持たせるため、導入後のメリットがないと営業メンバーの納得は得られません。

導入後の営業メンバーから不満がでないようにするためにも、事前に理解を得ることが必要です。特に導入によるデメリットよりもメリットを感じさせるように説明することで、導入後もスムーズに運用できるでしょう。

SFA運用を成功させるために気をつけるポイント

SFA運用における成功とは「SFAを活用して営業目標の達成や実績の改善ができること」です。SFAを運用する上で気をつけたいポイントとして以下の観点があげられます。

  • 見える化の指標となる「KPI」の測定を実施する
  • PDCAを回し続ける
  • 定期的に入力状況を確認し声掛けする

それぞれ詳しくみていきましょう。

見える化の指標となる「KPI」の測定を実施する

これまでのようにただ案件などの情報を管理するだけではなく、見える化の指標として「KPI」の測定実施を活用することは、SFA運用後に成功するために重要です。KPIとは「重要業績評価指標」を意味しており、SFAでは一元化された情報を活用してツール内で簡単に作成できます。契約成約率や売上単価などの指標をExcelなどに入力してきた作業が、SFAによってほぼ自動になるため積極的に活用したい機能です。

KPIによる測定を実施することで、これまで属人的だった成約率や進捗履歴などの情報を企業やチームで共有できます。SFAの多くは、このKPI作成機能が備わっているため、SFAで業務効率化を目指す場合は積極的に活用したい機能です。

PDCAを回し続ける

SFAの運用にてPDCAを回し続けることも成功するために重要です。SFAでPDCAを回すことでSFAを活用した営業の成約率をあげることができます。またSFA導入当初は、どうしても規模が小さくなったり使い勝手の面で不便なケースが出てきますがPDCAを回すことで、SFAを導入したシステム自体の課題や改善点を見える化させることが可能です。例えば、SFAは各機能の利用率を算出することができるため、PDCAを回し続けてどの機能が使われていないかを知ることで利用を促したり、機能を改善したりできます。

定期的に入力状況を確認し声掛けする

SFA運用で成功するために、定期的に入力状況を確認して利用を促す声掛けをすることも重要です。前述の通り、項目の入力状況や機能の利用率はKPIによって確認できます。営業活動を支援するための機能があるのに使われなければ意味がありません。定期的にSFAを導入した新システムについて声掛けやナレッジなどを発行することで利用率をあげるように促すことが大切です。

6. SFAの選び方

近年では様々なSFAツールが世に出ており、どんなSFAツールを選べばよいか分からないという人は少なくありません。そのため、こちらではSFAの選び方として選ぶ際に注視したいポイントについて解説していきます。

SFAの選び方のポイントとしては8つの観点が重要になります。

  • クラウドサービスであること
  • 使い勝手が良いこと
  • 必要十分な機能と他ツールとの連携など拡張性があること
  • カスタマイズが簡単であること
  • 万全のサポートが用意されていること
  • ユーザーコミュニティが活発であること
  • セキュリティが万全であること
  • アップデートし続けていること

それぞれ詳しくみていきましょう。

クラウドサービスであること

SFAには、自社開発されたものやソフトとしてパッケージ化されたもの、クラウドサービス形式のものと主に3つの形態があり、その中でもクラウドサービス形式のSFAは選ぶメリットが大きいです。クラウドサービスの場合、データを保存するDBなどのハードウェアを一から開発する必要がありません。また、クラウドサービスのSFAは1ライセンス単位での契約となるため、小規模でも始めやすく規模の拡張もしやすいです。

例えば、SFAの検討段階で1ライセンスを実際に使ってみて、自社のビジネスプロセスに合わないなと感じたら契約解除するだけでそれ以上のコストはかかりません。そのためSFAを選ぶ際には、そのサービスがクラウドサービスとなっているか確認しましょう。

使い勝手が良いこと

使い勝手の良さはSFAを選ぶ際に重要なポイントです。使い勝手が良くないと利用する営業担当者からの不満につながるだけでなく、便利なその他の機能も無駄になってしまうため、SFAとしてどれだけ多様な機能が備わっていても使い勝手が悪くて使いこなせなければ意味がありません。多くの予算を費やしてライセンス契約をしても、それによる営業業務の改善効果が見込めなくなるため、費用対効果の面でもマイナスとなってしまいます。

使い勝手がよいか確認する手段としては、SFAのデモ版の利用がおすすめです。実際にシステムに触れて確認ができるため、自社の営業プロセスにマッチするか見極められます。SFAツールの多くは30日前後のトライアルを実施している場合が多いです。そのため、そのSFAを利用するか悩んでいる場合は、デモ版などを活用して使い勝手を確認しましょう。

必要十分な機能と他ツールとの連携など拡張性があること

SFAを導入する際に、まずは業務に必要かつ十分な機能が備わっているか、他ツールとの連動可否などの拡張性があるかも重要なポイントです。まず機能についてですが、どれだけ多彩な機能が備わっていても自社の営業プロセスに必要な機能がなければ活用できません。また機能がありすぎると逆にユーザーの使い勝手を損なう原因になります。

次に拡張性についてですが、基本的にSFAだけを利用するケースは少なく、元々利用していた自社システムやSNSなどのその他サービスとの連携を想定している企業が多いです。例えば、徐々にSFAを活用した新システムに移行するために、旧システムを活用しつつSFAも活用したいという企業が少なくありません。SFAに拡張性があれば、これまでの営業プロセスから大幅に変えずに徐々に新システムに機能を移管することで営業担当者に理解を得ることができます。

カスタマイズが簡単であること

SFAは導入先企業のビジネスプロセスやワークフローによってカスタマイズが必要です。また使い勝手を良くするためのカスタマイズも適宜必要になってくるためカスタマイズが簡単に行えるかも選ぶ際に確認することもポイントとなります。カスタマイズの柔軟性が高ければより高いUIのシステムを開発可能です。

例えば、その時々の営業プロセスで推進している項目などをレイアウトの上部に設置することで利用頻度向上を図るなどカスタマイズの柔軟性が求められる場面が多くあります。そのため、カスタマイズが簡単なSFAツールを選ぶことは重要です。

万全のサポートが用意されていること

SFAを導入するうえでベンダー企業のカスタマーサクセス部門などのサポート体制が万全であるかも選ぶうえでは重要となります。なぜならSFA導入前後のアドバイスや支援、ノウハウの提供など製品マニュアルや公式サイトヘルプでは対処が難しい部分はベンダー企業のサポートが必要不可欠だからです。

例えば、より高い成果につなげるための実務的な利用法のレクチャーや、定期的なアップデートによる改修内容詳細のガイダンスなどサポートが必要な場面は少なくありません。製品マニュアルでの対処の可否に関わらず製品に対する不安を取り除いてくれるサポート体制がしっかりしているSFAを選べば導入後も安心です。そのため、SFAを選ぶ際には万全のサポート体制が用意されているか確認しましょう。

ユーザーコミュニティが活発であること

ユーザーコミュニティが活発なことも選ぶ際に重要なポイントの1つです。ユーザーコミュニティとは、同じSFA製品を使用するユーザー同士で利用方法や疑問などの意見を交わす場のことを指します。なぜ選ぶ上で重要かと言うと、過去のやり取り上に、現状抱えているSFA利用の課題や障害の解消方法などが議論されている可能性があるからです。また、過去に議論されていなくても、そこで相談することで問題解決につながる場合があります。

ベンダー企業からのサポート以外で、有効的な活用方法などのアイデアも意見として取り交わされている場合もあるため、検討時や定期的なアップデートのタイミングで活用できるでしょう。そのため、ユーザーコミュニティが活発なSFAを選ぶことはメリットが大きいと言えます。

セキュリティが万全であること

膨大な顧客情報や商談情報を一元管理するSFAは、セキュリティが万全でなくては意味がありません。特にクラウド上に一元管理するタイプの場合は、データベースが自社内ではないため、万全以上でないと不安な人も少なくないでしょう。また情報漏洩は自社の信用を著しく下げてしまうだけでなく取引先に大きな損失を与える可能性があります。

そのため、セキュリティ対策としてログイン認証や項目の参照権限、データ管理環境などがどうなっているのかを確認することがおすすめです。またSFAの導入実績を確認して、多くの企業で使われている場合はそれだけセキュリティ面でも安心だということの目安になります。SFAのセキュリティを確認する場合は、セキュリティ対策と導入実績を見て判断しましょう。

アップデートし続けていること

SFAは長期的に使用することを前提として導入する企業がほとんどです。IT技術は日々進歩しており、時代に合わせてSFA製品も更新し続ける必要があります。そのためアップデートが定期的に行われることはSFAを選ぶポイントとして重要です。

製品によっては更新頻度が異なり、不定期に細かい修正を行うものや定期的にバージョンアップするものなど様々です。SFAパッケージをそのまま活用する場合はバージョンアップによる改修は少ないですが、自社開発システムと連動している場合は改修の度にリグレッションテストが必要です。そのためSFAの使い方とバージョンアップの頻度も考慮して選ぶとよいでしょう。

7. おすすめのSFAシステム3選

Salesforce Sales Cloud

Salesforce Sales Cloud

Salesforce社が提供するSales Cloudは、世界中で多くの企業で導入されているSFAシステムです。多機能であることに加えて、Salesforce社が提供しているMAツールであるAccount EngagementやBIツールであるTableauなど自社の様々システムとシームレスに連携できる点や、自社以外の様々な基幹システムと連携することができる点が特徴です。

小規模の事業者からエンタープライズ企業まで幅広い企業が、それぞれのニーズに合ったカスタマイズができるといった点やプランも豊富に用意されているといった点も強みでしょう。

参照:Salesforce Sales Cloudとは? セールスクラウドを分かりやすく解説

Dynamics 365 Sales

Dynamics 365 Sales

Microsoft社が提供するDynamics 365 Salesは、複数のモジュールから構成されていて必要なモジュールを選択して利用することができるクラウド型のSFAです。

大企業への導入が多く、同じくMicrosoft社の製品である Dynamics 365やOffice 365、Linkdinなどとシームレスに連携することができるのが特徴です。

eセールスマネージャー

eセールスマネージャー

 ソフトブレーン社が提供するeセールスマネージャーは、国産のSFAで国内を中心に5,500社以上に導入実績のあるSFAです。特徴としてはクラウドだけではなくオンプレミス型でも利用することができる点や専門サポートチームによる定着化支援を受けることができる点が挙げられます。オンプレミス型のSFAシステムの導入を検討されている企業や、国産のSFAにこだわりがある企業におすすめです。

ここで紹介したSFAシステム以外にも多くのSFAシステムが世の中にはありますので、それぞれのシステムのメリットデメリットやコスト、実現したいことに対して備わっている機能などを確認して、自社に合うSFAを選びましょう。

8. SFAの活用事例

最後に、実際にSFAを活用している企業の事例をいくつか紹介していきます。企業の持っていた課題がSFAをどのように活用して結果を出してきたのかみていきましょう。

事例1:パソナ「Sales Cloud」導入事例

パソナ
 

パソナは派遣スタッフの満足度調査において7回連続No1を獲得している人材派遣事業の大手です。派遣スタッフのエントリー作業に手間と時間を取らせてしまう上に、社内管理業務の煩雑化が課題。そこでパソナは派遣ビジネスを支える新システムをCommunity Cloud と Salesforce Platform を活用して開発しました。

特にSFAであるSales Cloudを活用することで、モバイル対応によるどこからでも即時アップロードできる仕組みの整備や、一元化された情報を元に企業と派遣スタッフのマッチング作業の効率化を実現。導入のおかげで派遣スタッフの契約までのリードタイムは3分の1に短縮して、売上拡大に貢献しました。

  • 課題:派遣スタッフのエントリー作業に手間と時間がかかる、社内管理業務の煩雑化
  • 活用方法:派遣スタッフ・派遣先企業情報の一元化、分析
  • 効果:派遣スタッフの契約までのロードタイムの短縮、派遣事業の売上拡大
 

事例2:アコム「Mazrica Sales(旧Senses)」導入事例

アコム

アコム株式会社は、ローン業界のリーディングカンパニーです。お金や保証という差別化が難しい商品を扱うため、提携先に寄り添ったフォローの強化が課題としてあげられ、提携金融機関との関係性の向上にSFAの活用があげられました。

導入後の変化として、メンバー事、顧客ごとの営業活動の記録化、その記録を社内で共有することで営業活動の属人化の解消や部内コミュニケーションの活性化などが実現しました。

  • 課題:営業活動の属人化、コミュニケーションの円滑化
  • 活用方法:顧客情報、営業情報の一元化、社内コミュニケーション
  • 効果:営業活動の記録化、情報の共有、部内コミュニケーションの改善

9. まとめ

ここまでで、SFAツールの基本機能やメリット・デメリット、導入プロセスにおけるポイント、成功事例などを紹介してきました。SFAツールは、顧客情報や案件情報などの営業に関する情報を一元管理・利用して営業活動の効率化や営業成績の向上を図るツールです。

SFAの導入効果を少しでも高めるために、機能への理解も必要ですが、それ以上に改善したい自社ビジネスプロセスとSFAツールの相性をしっかりと理解して正しいツール選びをすることが重要といえるでしょう。

本記事で紹介した導入事例のツールの他にもさまざまなSFAツールが存在します。営業部門における課題や目的によっても適したSFAツールは変わってくるため、SFAツール選びにお悩みの際にはお気軽にStrhにご相談ください。

SFAツールに関するご相談はお問い合わせフォームよりご相談いただけますと幸いです。

Salesforce、Sales Cloud、及びその他はSalesforce, Inc.の商標であり、許可のもとで使用しています

 

執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀

大学卒業後、株式会社TBI JAPANに入社。株式会社Paykeに取締役として出向し訪日旅行者向けモバイルアプリ及び製造小売り向けSaaSプロダクトの立ち上げを行う。
アクセンチュア株式会社では大手メディア・総合人材企業のセールス・マーケティング領域の戦略策定や業務改革、SFA・MAツール等の導入及び活用支援業務に従事。
株式会社Paykeに再入社し約10億円の資金調達を行いビジネスサイドを管掌した後、Strh株式会社を設立し代表取締役に就任。

▼保有資格
Salesforce認定アドミニストレーター
Salesforce認定Pardotスペシャリスト
Salesforce認定Pardotコンサルタント
Salesforce認定Sales Cloudコンサルタント

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