【DLできるテンプレート公開】ペルソナとは?作り方の5つのステップや具体的な活用方法を解説
この記事でわかること
- ペルソナとは何か
- マーケティングにおいてペルソナを設定する目的
- ペルソナの要素例
- ペルソナを作成するための5つのステップ
- ペルソナ作成のポイント
- ペルソナの活用方法と事例
執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀
マーケティング担当者のなかには、「ペルソナは聞いたことはあるが、具体的な作り方が分からない」「作ったものの社内でなかなか活用できない」などのお悩みを抱えている方は多いのではないでしょうか?
ペルソナとは自社の「最も商品・サービスを購入・利用してほしい象徴的なユーザーや顧客像」のことを指し、マーケティングにおいて大変重要な要素です。
このペルソナを正しく設定できていれば、マーケティング部門含む社内関係者で顧客に対する意思統一が図れ、商品・プロダクト開発においてもマーケティング施策においても顧客のニーズを掴むことができます。
しかし、何となくペルソナを設定してしまうと、自社の商品やサービス、マーケティングにおいても価値を届けるべき対象を誤ることになり、無駄な労力をかけてしまうことに繋がりかねません。
本記事では正しくペルソナを設定して、実際の現場で活用でき、顧客にとっても価値のあるサービス開発やマーケティング施策に活かせるよう、4つのステップでペルソナの作成方法を紹介し、更に現場での具体的な活用法まで紹介したいと思います。
実際の現場でペルソナを検討するにあたって活用できる、ペルソナ作成テンプレートを公開しておりますので、是非こちらのテンプレートも活用してみてください。
参照:【Power Point】ペルソナ作成テンプレートのダウンロード
参照:【Google Slide】ペルソナ作成テンプレートのダウンロード
目次
1.ペルソナとは?
ペルソナとは自社の「最も商品・サービスを購入・利用してほしい象徴的なユーザーや顧客像」のことを指します。
よく混同されるものとして「ターゲット」がありますが、ターゲットとはセグメントした市場のうち、自社製品やサービスを投入する「標的」市場のことで、それに対してペルソナは名前や年代、性別などの属性情報や職務上のミッションや課題、行動特性まで具体的な1人が想起できるレベルで具体的に顧客像を作り上げます。
参照:現場でも混同しがちなセグメンテーションとターゲティングの違いとは?
2.マーケティングにおいてペルソナを設定する目的
商品やサービスを提供する上で、様々なユーザーのニーズをすべて漏れなく満たそうとすると、予算も工数などのコスト負荷も高くなり、更にコミュニケーションやチャネルが分散することで結局どのユーザーのニーズも十分に満たすことができなくなることがあります。
それ以外にペルソナを設定する目的には以下のようなものがあります。
1.顧客解像度を上げることで課題や顧客視点での施策を設定しやすくするため
これまで各担当者がそれぞれ「何となく」考えていた顧客イメージを、ペルソナという形で明確に解像度を上げていきます。
自社の顧客像がどういった顧客属性で、どのような職責を担っていて、普段どのような生活をしていて、どのような心理状態にいるのかを深く検討していくなかで、自社の商品やサービスへの不満や解決できていない課題を考えることに繋がります。
その結果、メールや広告、SNS等でのコミュニケーション内容の改善や、サービス開発への活用など、顧客にとってより価値のある商品やサービスの提供、マーケティングコミュニケーションを行うことができるようになり、売上向上へと繋がることが期待できます。
2.社内関係者で顧客像に対する認識を統一するため
マーケティング部門の他にも営業部門やカスタマーサクセス/サポート部門、商品・プロダクト開発部門など顧客に関わる様々な部門の関係者と、自社の顧客像に対する認識を統一することで、判断基準が明確になりブレなくなります。結果、各意思決定や部門間調整も迅速に行うことに繋がります。
3.ペルソナの要素例
ペルソナを検討するにあたってどのような要素を盛り込むべきかと悩まれる方も多いかも知れません。ここではペルソナに盛り込む要素としてどのようなものがあるかをご紹介します。ここで挙げる例以外にも、商材やターゲットセグメントによっては別の要素もありますので、あくまで参考としてご活用いただければと思います。
■デモグラフィック情報
- 年齢
- 性別
- 所属部署
- 役職
- 会社分類(上場/未上場)
- 従業員数規模
- 売上規模
- 組織の中の役割とミッション
■サイコグラフィック情報
- 最近の業務課題
- 最近の関心事
- 行動特性
▼完成したペルソナの一例
4.ペルソナを作成するための5つのステップ
ここからは実際のペルソナの作成方法を以下の5つのステップに分けて解説していきます。
もちろん作成方法は様々ありますし、業態業種・提供サービスなどによっても変わってきますので、基本型としてご覧ください。
①重点セグメントの設定
②定量・定性データの収集
③共通項の抽出
④情報を言語化して顧客像を仕上げる
⑤ペルソナの確認
1.重点セグメントの設定
自社の事業戦略に基づいて、今後重点的に狙っていきたいターゲットセグメントの設定を行います。重点セグメントを設定するにあたっては、マーケティング部門だけではなく経営陣や経営企画部門や営業部門など関係部門とも協力して設定しましょう。
ここで設定された重点セグメントがペルソナ設計の基本素材となりますので、重要なパートになります。
このステップを飛ばしてペルソナの検討から入ってしまうと、近視眼的に「今」獲得できている顧客像をペルソナに選定し、事業戦略と適合したターゲットセグメントから逸脱したペルソナの設計を行ってしまうリスクがあります。
2.定量・定性データの収集
ここからペルソナの検討に入るにあたって必要な情報を社内外から集めます。収集すべき代表的なデータは以下のようなデータです。
■CRMやSFAに保管されている顧客・商談データ
自社で利用しているCRMやSFAに保管されているデータから、受注した顧客の業種や企業規模、窓口部署の割合や、商品・サービスの利用頻度やユーザー数、部門ごとの受注率の差異、問い合わせ理由や受注理由の傾向などを集計・分析し、ロイヤルカスタマーとなっている自社にとって理想的な顧客を抽出しましょう。
■外部調査データ
消費者行動分析レポートなどから「40代・女性会社員・既婚」といった属性情報や、利用しているwebサイトやアプリなど実態に近い情報を入手できることもあるので、予算に余裕があれば活用してみるのもよいでしょう。
■営業部門やカスタマーサクセス/サポート部門へのヒアリング
上記情報をもとに抽出した顧客に対する、営業部門やカスタマサクセス/サポート部門からの定性情報を収集します。受注理由やその背景、継続理由、使い方などロイヤルカスタマーの定性情報を集めることで、ペルソナの解像度を更に上げることに繋がります。
■顧客や見込み客へのインタビュー
ここまでの情報からペルソナ案をいくつか作り、ペルソナ案に近い顧客に対してインタビューを行います。顧客インタビューは定量データだけでは分からない、行動の裏側にある心理や感情、課題背景を把握できるというメリットがあり、工数負荷はあがるものの是非実施していただきたいです。
3.共通項の抽出
これまでの検討で抽出されたいくつかのペルソナ案の、性別や年代、業種、役職、部署などの「基本属性」、消費傾向や利用チャネル、利用しているwebサイト、アプリなどの「行動属性」、それに加えて、職務やその課題背景に共通する特徴を見つけて分類します。
分類したなかで、複数の分類ができた要素の場合は、顧客ニーズの強さや競合性、市場規模や成長性など踏まえて自社がより受注すべきだと考える要素を選択して、ペルソナの要素を1つ1つ決めていきます。
4.情報を言語化して顧客像を仕上げる
ここまでの検討内容を整理したうえで、本記事で提供するペルソナ検討テンプレートなどを活用して、商品・サービスを象徴するペルソナを作成します。
人物プロファイルを作成するように、分かりやすい人物像に落とし込みましょう。
参照:【Power Point】ペルソナ作成テンプレートのダウンロード
参照:【Google Slide】ペルソナ作成テンプレートのダウンロード
作成されたペルソナが複数ある場合も活用できるテンプレートになっておりますので、是非ご活用ください。
5.ペルソナの確認
作成したペルソナを、営業部門やカスタマーサクセス/サポート部門など顧客に直接関わる部門の担当者も含めて、実際の顧客に照らし合わせて、ギャップがないかを確認しましょう。
ペルソナが現実と大きく異なる場合、次のステップで検討するカスタマージャーニー等の有効性が低下するので、この確認作業は必ず行いましょう。
5.ペルソナ作成のポイント
最初は60-70点のペルソナでよい
初めからあらゆるデータを用意して、長い検討期間を置き100点のペルソナを作成しようと考えなくて大丈夫です。
自社を取り巻く環境は常に変化しますし、顧客に関わる情報を漏れなくすべて集めようとすると膨大な時間を要することがほとんであるため、まずは自社の顧客像について言語化を行い、運用を行うなかで営業やカスタマーサクセス/サポート部門のフィードバクも得てペルソナを磨いていくという前提に立ち、ペルソナの作成を行いましょう。
マーケティング部門だけで完結しない
ペルソナは自社の商品やサービスを象徴する理想的な顧客像を言語化・可視化するものであるため、当然、マーケティング部門だけでなく営業部門やカスタマーサクセス/サポート部門、経営陣との議論とコンセンサスをもって作成されるものです。
検討を進めるにあたっては、検討初期段階から可能な限り関係部門の担当者をプロジェクトメンバーとしてアサインし、マーケティング部門以外の視点も取り入れながらペルソナの作成を進めましょう。
6.マーケティングにおけるペルソナの具体的な活用方法
コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングを行うにあたって重要なポイントは「どんな課題を持っている」「誰に」対して「どのようなコンテンツを」「どのように届けるか」です。この視点を持たずやみくもにコンテンツを制作しても当然高い成果は見込めません。
ペルソナを作成するということは、「どんな課題を持っている」「誰に」を決めることに他ならず、コンテンツマーケティングにおける「的」を決めることです。
ペルソナという「的」を明確に定義することで、カスタマージャーニーも含めてコンテンツマーケティングを行う上で効果的なコンテンツの制作と展開ができるようになるでしょう。
参照:コンテンツマーケティングとは?成功事例や具体的な進め方、手法まで徹底解説
ソーシャルメディアマーケティング
昨今、BtoCビジネスはもとより、BtoBビジネスにおいてもソーシャルメディア(以下、SNS)から情報を収集するという購買行動を取る顧客が増加しています。
出典:IT Communications社「BtoB商材の購買行動に関する実態調査レポート2023」の調査データを基にStrhが作成
ソーシャルメディアマーケティングを行うにあたっても、自社のサービスや商品にとって適切なプラットフォームを選定する必要があり、「何となく」プラットフォームを選定すると、想定した効果が得られないというケースがよくあります。
また、プラットフォーム選定以外にも、選定したSNSにてどのようなコミュニケーションを行うべきなのかはとても重要な要素になります。
ペルソナを作成するということは、インタビューやデータなどからリアルな顧客像を導き出す過程で、「どういったSNSを活用しているか」「どのSNSから情報収集をしているか」も仮説立てることができ、プラットフォーム選定に役立ちます。
また、ペルソナの課題感や、背景も洗い出すことで、どのようなコンテンツをSNSを通してコミュニケーションすべきかを仮説立てることができるでしょう。
7.国内・海外企業のペルソナ活用事例
カルビー
カルビーでは、当時スナック菓子は20-30代の若い女性層には人気が出ないと考えられていましたが、その常識を打ち破った画期的な商品であったのが「ジャガビー」です。
このジャガビーの成功の裏側では、明確な定量データに基づくペルソナが設定されており、カルビーはペルソナに基づいた商品開発及びプロモーションを行っていました。
▼ジャガビーのペルソナ(一部)
- 27歳
- 独身女性
- 文京区在住
- ヨガと水泳にハマっている etc..
プロモーションを行うにあたってもペルソナの利用チャネルや、ペルソナから好感度の高いモデルを起用するなど、ペルソナに基づいたマーケティング・プロモーションを行うことで、生産が追いつかなくなるほどの商品に成長しました。
出典:日経X Tech
スープストックトーキョー
ペルソナを用いたマーケティングで有名な事例でもある、スープストックトーキョー。細かな設定を行い、明確なペルソナを作り上げているというのが特徴です。
▼ストックトーキョーのペルソナ
ペルソナを細かく設定することで自分たちはどう動くべきか判断基準が明確になり、プライシング含めた様々なマーケティング施策を積極的に打ち出していくことができるようになりました。
出典:logmi
Hubspot
企業向けにCMS・MAツールなどを提供するHubspotは、従業員規模に基づく顧客セグメント別にペルソナを設定しています。「Marketing Mary」は中堅規模セグメントに対するペルソナで2000人以上の大企業向けには「Enterprise Erin」というペルソナを設定しています。
出典:hubspot
このペルソナの特徴としては、ペルソナのチャレンジポイントや目標が具体的に明記されているところにあります。
シンプルなペルソナではありますが具体的なチャレンジポイントやゴールが定義されていると、ペルソナの解像度が一気に上がり、どのようなベネフィットを提供すべきかがより明確になります。
8.まとめ
ペルソナの設定目的から具体的な作成方法や活用方法などを解説しました。顧客像を設定するという意味でマーケティングの根本部分でもあるペルソナ。ペルソナを作成することで様々なマーケティング活動に活用できることをご理解いただけたかと存じます。
また、ペルソナは作成したら完了ではなく、営業部門やカスタマーサクセス/サポート部門のフィードバックを受けて定期的なアップデートを行う必要があり、アップデートを行居続けることで、内外部環境が変わってもブレずにマーケティング活動を行い続けることができるようになるでしょう。
本日解説した内容も参考に、ストラのペルソナテンプレートを活用してペルソナの作成を行ってみてください。
ストラではペルソナの作成支援はもちろん、マーケティング戦略の策定から実行支援まで一貫して実績をもったコンサルタントが支援しています。
マーケティング活動においてお困りごとがありましたら、お問い合わせフォームより、お気軽にご相談ください。
執筆者 代表取締役社長 / CEO 杉山元紀
大学卒業後、株式会社TBI JAPANに入社。株式会社Paykeに取締役として出向し訪日旅行者向けモバイルアプリ及び製造小売り向けSaaSプロダクトの立ち上げを行う。
アクセンチュア株式会社では大手メディア・総合人材企業のセールス・マーケティング領域の戦略策定や業務改革、SFA・MAツール等の導入及び活用支援業務に従事。
株式会社Paykeに再入社し約10億円の資金調達を行いビジネスサイドを管掌した後、Strh株式会社を設立し代表取締役に就任。
▼保有資格
Salesforce認定アドミニストレーター
Salesforce認定Pardotスペシャリスト
Salesforce認定Pardotコンサルタント
Salesforce認定Sales Cloudコンサルタント